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みぃ
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『誰も覚えていない夜』
「消えた一票」
――中央ホール。
モニターに残された、たった一つの表示。
【???→???】
誰も言葉を発しない。
さっきまで騒がしかった空間が、嘘のように静まり返っていた。
心音「……これ。」
ロゼ「うん。」
心音「本当に、誰か一人分だけデータがないんでしょうか。」
にしき「その可能性が高いですね。」
まぜ太「……でも、おかしくないか?」
ぷりっつ「何が?」
まぜ太「俺たちは35人いた。」
まぜ太「昨日の投票も、35人分あったはずだ。」
まぜ太「なのに――」
まぜ太「なんで一票だけ『???』なんだ?」
ななもり。「……。」
ななもり。もモニターを見つめる。
ななもり。「確かに、不自然だね。」
あっきぃ「誰かの名前が隠されてるってこと?」
ロゼ「あるいは。」
ロゼ「システムが意図的に隠している。」
みかさ「……なんのために?」
誰も答えられない。
そのとき。
モニターが切り替わった。
【投票結果の時間を終了します。】
【これ以上の確認はできません。】
ころん「えっ。」
ゆた「待ってください!」
画面が暗くなる。
最後に残ったのは――
【???→???】
その文字だけだった。
そして、それすらも消えた。
らお「……。」
ちぐさ「……何だったんだろ。」
らお「分からない。」
ちぐさ「怖いな……。」
らお「大丈夫だから。」
ちぐさ「……うん。」
ちぐさは小さく頷いた。
その様子を、少し離れたところから誰かが見ていた。
――そして。
すぐに視線を逸らした。
しばらくして。
話題は再び、昨日の投票へ戻った。
莉犬「……俺、ちゃんと言っておく。」
ころん「?」
莉犬「俺がころちゃんに入れたのは、本当に発言が少なかったから。」
ころん「うん。」
莉犬「でも、今は少し違う。」
ころん「……?」
莉犬「昨日の投票を見たら。」
莉犬「ころちゃんを疑ってる人が多すぎた。」
ころん「……。」
莉犬「だから逆に、俺は今――」
莉犬「ころちゃんを疑う理由が薄くなった気がする。」
ころん「……ありがとう。」
莉犬「まだ完全に信じたわけじゃないけどね。」
ころん「それでいいよ。」
その会話を聞いていたゆたが微笑む。
ゆた「よかった……。」
ころん「ゆた。」
ゆた「はい?」
ころん「……なんか、安心した。」
ゆた「僕もです。」
しかし。
少し離れたところでは。
みかさ「……るぅとくん。」
るぅと「はい?」
みかさ「昨日、俺に投票したよね。」
るぅと「……はい。」
みかさ「理由、聞いてもいいですか?」
るぅと「……。」
るぅとは少し迷った。
そして。
るぅと「……正直に言います。」
みかさ「はい。」
るぅと「昨日、みかさくんがあまり話していなかったからです。」
みかさ「……そうですか。」
るぅと「ごめんなさい。」
みかさ「謝らなくていいよ。」
みかさ「このゲームなら、仕方ないですし。」
るぅと「……。」
みかさ「でも。」
みかさは少しだけ笑った。
みかさ「今日も俺を疑うなら、ちゃんと理由を言って下さい。」
るぅと「……はい。」
その会話を見ていたさとみが近づいてくる。
さとみ「みかさ。」
みかさ「さとみくん。」
さとみ「大丈夫か?」
みかさ「はい。」
さとみ「無理すんなよ。」
みかさ「……ありがとうございます。」
――その一方。
てるとは、るぅととメルトのところへ戻っていた。
メルト「てるとくん。」
てると「はい?」
メルト「昨日、結構疑われてましたよね。」
てると「うん。」
メルト「……怖くないんですか?」
てると「怖いよ。」
メルト「……。」
てると「でも。」
てるとは微笑む。
てると「怖がっているだけじゃ、何も変わらない。」
るぅと「……。」
るぅとは、そんなてるとをじっと見ていた。
――何か。
少しだけ。
引っかかる。
けれど。
その正体は分からない。
昼。
食事を終えた頃。
再びモニターが点灯した。
【本日の議論時間】
【01:59:59】
そして、その下に。
新しい文字。
【本日、二名以上の人物を疑うことは禁止されています。】
全員「……!」
まぜ太「一人に絞れってことか。」
ぷりっつ「昨日よりキツいやん……。」
あっきぃ「一人しか疑えないなら、慎重に決めないと。」
心音「……。」
心音はモニターを見つめた。
――一人。
今日、自分が疑う相手を。
たった一人に決めなければならない。
しかも。
その選択が――
夜を越えた先の未来を変える。
ロゼ「……なら。」
ロゼが全員を見る。
ロゼ「まず、それぞれが誰を疑っているのか。」
ロゼ「理由を聞こう。」
ななもり。「そうしようか。」
一人ずつ。
少しずつ。
名前が出ていく。
「ころん。」
「てると。」
「そあら。」
「ちぐさ。」
そして――
ついに。
ある人物の名前が出た。
???「……俺は。」
全員の視線が集まる。
???「――まぜ太くんを疑っています。」
まぜ太「……俺?」
あっきぃ「……。」
ぷりっつ「……。」
ころん「……。」
まぜ太は少し黙った。
そして。
まぜ太「……理由を聞かせて。」
???「昨日。」
???「ころんくんを強く庇っていたからです。」
まぜ太「……。」
その瞬間。
昨日までの会話が。
全員の頭の中に蘇った。
――誰かを庇う。
――誰かを信じる。
それさえも。
今では疑う理由になる。
まぜ太「……なるほどな。」
まぜ太は、静かに笑った。
まぜ太「じゃあ。」
まぜ太「俺も、ちゃんと考えないとな。」
その目から。
さっきまでの余裕が――
少しだけ消えた。
――第13話「消えた一票」終わり。
コメント
2件
第13話「消えた一票」、読み終えました……。 投票結果に「???→???」だけが残って消えるの、かなり不気味だったね。 35人全員の票があるはずなのに、一票だけ消えるってどういうことなんだろう。 しかも今日からは一人しか疑えないルールで、より心理戦が深くなってきてる感じがする……。 まぜ太くんを疑う声が出たときの空気感、すごくリアルに伝わってきたよ。 次がどうなるか、気になって仕方ないです。