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「やっぱりダメか!他に方法は……」
「考えている場合じゃない!扉から逃げるぞ!」
「でも、そっちは……!」
僕は扉を開けた。そこにはゾンビが三体立っている。もうこうなった強行突破で進むしかない。
三体のゾンビは二人の足音を聞きつけて、やってくる。その他にも教室からゾロゾロとやってきた。
これではどう考えても逃げることができない。全速力で走り続ける。
誠は階段を下っている途中手を離し、息をゼエゼエとあげる。彼は頭はいいが、運動はできないのだ。息切れがしていた。
僕は手を掴んだが、誠はそれを拒否する。悲しげな表情を浮かべていた。
「何してるんだ!早く逃げるぞ!」
「ごめん……僕はこれ以上逃げられない。君だけ生き残って!」
「そんなことできないよ!友達を見捨てるわけには……!」
手を伸ばそうとした瞬間、ゾンビが彼の肩にかぶりついた。階段の上で倒れて、ゾンビに押し倒されてしまう。
僕は絶望的な気持ちのまま、彼の分まで生き残ることを決意。逃げることにした。
しかし逃げれば逃げるほど、ゾンビの数が明らかに増えていく。繁栄するのが早すぎる。
学校のチャイムが鳴り響き、朝礼が始まる時間になる。朝礼などしている場合ではない。とにかく逃げないといけない。
チャイムが鳴ったことにより、音に反応してずっとスピーカーの近くに停滞している。これはチャンスだ。
図書室に入って、本棚の近くに隠れていれば大丈夫だろう。そう浅はかな考えから入ると、そこには一人の女ゾンビが立っていた。
この時間に図書室にいるなんてありえない。紛れ込んだのだろうか。
おかしなことに、ゾンビが口を開いている。
「ぐぁ……ほっん……」
「えっ……本……?」
「ほっん……くれぇ……」
ゾンビなのに、言葉を喋っているように聞こえた。知性が残っているのだろうか。
とりあえず彼女が欲しそうな本を探す。
僕は適当に本を探して、彼女に渡した。しかし不機嫌になってしまい、本を床に投げつける。
「これじゃ……なぁい……たぁんぺん……グァァァァァァ!」
短編小説は山ほどあるので、どれなのかわからない。題名を聞こうとしたら、雄叫びを上げてどこかへ行ってしまった。いったいなんだったのだろうか。
とりあえず図書館の一番奥にある本棚へ向かった。ここに隠れていれば大丈夫だろう。
そう確信して入ると、そこにゾンビが一匹いた。逃げようとしたが、捕まってしまう。腕を強く握られた。
「ぐぁぁぁ……!」
「やめろ!離れろ!離れろって!」
ゾンビから切羽詰まった顔で離そうとしたが、力が違いすぎる。全く歯が立たない。
抵抗するのが限界になり、ゾンビに首を食われてしまった。痛くて、死にそう。
「うっ……死ぬ……」
首から緑色になって腐敗していき、徐々に緑色になっていく。このままではゾンビ化してしまう。やばい、意識が遠のいて……。
目が血走った瞬間、そこでブラックアウト。真っ暗になって、気を失ってしまった。
「うっ……」
目が覚めると、図書室だった。あの時と全く変わっていない。本棚のある場所から体を起こす。なぜ生きているのだろうか。
ゾンビに喰われたら、ゾンビになって人間を食べるのに全く人間を食べたいという欲求はなかった。
早く逃げたいという感情と状況を理解したいという気持ちが入り乱れている状態だ。
先ほどのゾンビはいなくなっていて、図書室には僕ただ一人。外に出てみると、ゾンビで溢れかえっていた。
しかし、僕が近くに来ても襲われることもなかった。見向きもされない。
立ち止まり自分の腕を捲って見てみたら、緑色に変色していた。ゾンビになっているのは確かだが、理性もちゃんと残っている。いったいどういうことだ?
「ゾンビになったのに、何故だ……」
言葉を発することもできるし、腕や脚をなめらかに動かすこともできる。考える頭もある。もしかしたらゾンビウイルスの抗体があるとかだろうか。
「よりによって、抗体があるのは僕かよ……仕方ない、生存者を……とはいっても、この格好じゃ驚かれるよな」
逆に殺されかねないが、そんなことを言っている場合ではない。彼らを救わなければ。
とにかく教室を一つ一つ探していく。やはりゾンビしかいない。生存者はいない。
外に出て、橋を渡り隣の校舎へ向かう。三年の校舎なら生存者がいるかもしれない。
三年の教室をくまなく調べると、扉が開かない教室がある。3-2教室だ。教室の引き戸を何度も叩く。
「初めまして、生存者のみなさん。僕は怪しものではありません。中に入れてください。敵意はありません。貴方方のことを守りたいんです」
そう告げると、引き戸が少し開いた。しかし、僕の姿を見て皆叫び声を上げる。
「きゃー!ゾンビ!」と女の子が叫んで、机の下に隠れて小刻みに震える。
「下がってください。私があいつを退治します」と眼鏡のしっかりしてそうな男の子が、ボクシングのような構えるポーズをする。
「無茶よ!またアタシの友達みたいに喰われちゃう!」
「えっーと、本当に敵意はないですって。こんな見た目だけど、襲いませんよ。あはは」
笑って誤魔化したが、やはり皆恐ろしいのか震えていた。一人を除いては。
「ふん、くだらない」