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#いるなつ
3e1
718
# 梅雨の妖精
209
六月の終わり。
高校では文化祭の準備が始まろうとしていた。
ホームルーム。
教室はざわざわしている。
担任が黒板を叩いた。
「静かにー」
少しだけ騒ぎが収まる。
「文化祭実行委員を決めるぞ」
その瞬間。
教室中が静かになった。
嫌な沈黙である。
誰もやりたくない。
そんな空気だった。
「立候補は?」
誰も手を挙げない。
予想通りだった。
すると。
後ろの席の男子が突然立ち上がった。
「はい!」
嫌な予感。
なつは思った。
そしてその予感は当たった。
「こさめくんがいいと思います!」
🦈「え?」
こさめが固まる。
教室が笑いに包まれる。
「確かに」
「向いてそう」
「人当たりいいし」
次々に賛成の声。
🦈「ちょっ」
こさめが慌てる。
🦈「こさめそういうの向いてないよ!?」
「向いてる向いてる」
「向いてない!」
全然説得力がなかった。
担任も苦笑している。
「こさめでいいか?」
教室中から賛成の声。
決定だった。
🦈「えぇぇぇ!?」
こさめの悲鳴が響く。
なつは笑った。
すると。
「もう一人必要だな」
担任が言う。
教室が再び静かになる。
その時だった。
🦈「なつくん!」
こさめが振り返った。
🦈「助けて!」
🍍「嫌だ」
即答。
🦈「なんで!?」
🍍「面倒だから」
🦈「裏切り者!」
こさめが騒ぐ。
教室が笑う。
すると。
誰かが言った。
「あ、確かになつでいいじゃん」
静寂。
なつが固まる。
「確かに」
「仲良いし」
「ちょうどいいじゃん」
おい。
待て。
嫌な流れだ。
「じゃあなつで」
担任が言った。
🍍「ちょっ」
反論する暇もなかった。
拍手。
決定。
🍍「終わった……」
なつが机に突っ伏す。
隣では。
🦈「仲間だ!」
こさめが嬉しそうだった。
全然嬉しくない。
放課後。
実行委員の初会議。
🍍「帰りたい」
なつが言う。
🦈「こさめも」
🍍「じゃあ帰るか」
🦈「だめだよ」
当たり前だった。
二人でため息を吐く。
その様子を見ていた先輩たちが笑っていた。
「仲良いね」
🍍「違います」
🦈「違うよ!」
息ぴったりだった。
だから余計に笑われた。
会議が終わる頃には外は夕方になっていた。
🦈「疲れたぁ」
こさめが机に突っ伏す。
🍍「まだ一回目だぞ」
🦈「もう無理」
🍍「早い」
二人で教室を出る。
廊下を歩いていると。
👑「あれ?」
聞き覚えのある声。
みことだった。
🦈「みこ兄?」
👑「迎えに来た」
当然のように言う。
🦈「なんで」
👑「終わる時間知らなかったから待ってた」
なつは呆れた。
過保護である。
かなり。
すると。
みことがなつを見る。
👑「実行委員なんだって?」
🍍「なんで知ってるんですか」
👑「こさめちゃんがさっき連絡してきた」
早い。
情報共有が早すぎる。
👑「大変そうだねぇ」
みことは笑う。
👑「頑張って」
🍍「先輩も手伝ってくださいよ」
👑「やだ」
即答だった。
その帰り道。
こさめは楽しそうに文化祭の話をしていた。
クラスで何をやるか。
どんな出し物になるか。
まだ何も決まっていないのに。
すでに楽しそうだった。
なつはそんな様子を見ながら思う。
こういう顔を見ると。
やっぱり放っておけない。
気付けば。
そんなことを考えるようになっていた。
その頃。
家では。
らんがソファでくつろいでいた。
そこへ帰宅したみことが一言。
👑「らんらん」
🌸「なに」
👑「こさめちゃんとなつくん、文化祭実行委員だって」
らんが固まる。
🌸「……」
🍵「らん兄?」
すちが首を傾げる。
数秒後。
らんがゆっくり口を開く。
🌸「文化祭」
🍵「うん」
🌸「準備」
🍵「うん」
🌸「放課後」
🍵「うん」
らんは天井を見上げた。
嫌な予感しかしない。
🌸「青春じゃん……」
すちとみことは顔を見合わせた。
そして同時に思った。
また始まった。
コメント
1件
読み終わったよ〜!文化祭実行委員に巻き込まれるなつ、笑ったわ。即答で「嫌だ」って言うとことか、らんの「青春じゃん…」で察する感じとか、キャラの空気感がすごく伝わってきて好き。こさめとなつの掛け合いもテンポ良くて、思わずニヤニヤしちゃった。青春漫画の匂いがプンプンして、これからどう転ぶか楽しみ!藍翠さん、今回も良いシーンありがとう🔥