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彼女彼女は異質だった。
公安じゃ死ぬ覚悟のあるやつなんてザラにいる。
命を賭ける覚悟。
それだけなら珍しくもない。
彼女もその一員だと思ってた。
でも彼女はそこに留まらなかった。
僕は彼女が怖い。
彼女は血を吐きながらも笑う。
骨が折れても前に出る。
公安じゃ珍しくないのに、
彼女だけは…
彼女だけはどうしても 違って見えた。
彼女の目はいつも燃えていて、
特に戦う時なんてそうだ。
あれは覚悟なんかじゃない。
覚悟で収まりきるものじゃない。
覚悟なんて綺麗なものじゃない。
彼女の目にあるのは、
もっと『雑』で、
もっと『乱暴』で、
もっと『醜い』もので、
『救い』なんて、ないものだ。
最初から、
自分が生き残る前提で戦っていない。
僕だって何度も止めた。
戻れないだとか、
取り返しがつかないだとか、
そんな言葉で。
でも彼女は止まらない。
ただ、自分を道具としてしか見てなくて。
そして、
道具道具を使い切るつもりで戦っている。
彼女という道具は、
寿命を削る、という感覚がない。 減っていく命を、数えない。
僕は寿命を武器に出来る。
だから知っている。
一秒が、どれだけ重いのか。
一年が、どれだけ取り返しがつかないのか。
「それ以上やったら、戻れなくなる」
僕がそうこぼした時、
めろは少しだけ不思議そうな顔をした。
まるで、
戻る場所がある前提そのものが、
理解できないみたいに。
その顔を見て
僕は知った。
知ってしまった。
この人は、自分が死ぬ覚悟をしてるんじゃない。 自分が死なない未来を、もう選んでない。
僕は、そんな彼女に嫌気が刺した。
「……君はさ」
言葉が喉で止まった。
責めたいわけじゃない。
理解できないわけでもない。
ただ、
そんな覚悟、持たないでほしい。
自分が死ぬ覚悟なんて、
出来なくていい。しなくていい。
周りが死ぬ覚悟なんて、
そのまま一生出来なくていい。
それでも戦うなら、
せめて…せめて生きるつもりで戦ってほしい。
でも、きっと。
その願いは届かない。
「君はさ、すごいよ。」
本当だ。
本当にすごいから困ってるんだ。
でもこの言葉は、
彼女を肯定する言葉じゃなくて、
これ以上向き合わないための言葉だった。
そうやって僕は、
また一つ、
見ないふりをした。
という天使の悪魔視点の恋姫めろでした。