テラーノベル
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都会の喧騒から遠く離れた、霧が立ち込める深い森の中の小さな村。その奥にひっそりと佇む、ガラスの美しい温室のような調合室。それは、3人が営む小さな香水店。
『ここを抜ければ…失くした記憶に会えるってホントかな……』
そう、ここは記憶に出逢える。香水店。
すがるような思いで、緑が深い森を抜け、木々の隙間から溢れる柔らかな光を頼りに歩く。森の開けた場所に現れたのは、色とりどりのハーブや見たことない美しい花々に囲まれたガラスの調合室。
ドアを開けると、カランと澄んだ鈴の音が響く。
「いらっしゃい。よくあの深い森を抜けて来てくれたね。」
上質な仕立ての深い緑のエプロンを見にまとった店主、大森が穏やかな微笑みで今日も客を優しく迎い入れた。
客は小さな声で話始める。どうやら、記憶は忘れたいのにも関わらず、相手の匂いだけは忘れられないそう。
そんな彼女に大森は優しく頷き、香水のレシピを頭の中で書き出す。
「若井~白い薔薇と…雨上がりに採れたミントを」
店の奥からひょこっと顔を出し頷き、また奥へ戻っていく若井。数分すると、少しぶっきらぼうな手付きで、素材を運んできた若井。彼の手が触れると、植物たちはまるで息を吹き返したようにフワリと強く香り立った。
大森がガラスのフラスコに素材を入れ、ゆっくりと回すと、透明だった液体が淡いペールトーンの紫色へと変化していく。
「さ、仕上げだよっ」
大森の合図で藤澤がアンティークのピアノの前に座る。彼が奏でる、きらきらと跳ねるような優しく軽やかな調律が調合室を満たしていく。音の振動に合わせて、フラスコの中の液体が目に見えて鮮やかに、宝石のように輝きを帯びていった。
今日も、3人は世界に1つの幸せの香りを作っている。
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⚙️~……設定
大森元貴 香水店の店主。調香師。
若井滉斗 香水店の植物の調達師。
藤澤涼架 香水店の調律師。ピアニスト。
#二次創作
た ると。
310
#ミセス
コメント
1件
読み終わりました。記憶に出逢える香水店、という設定がもう素敵ですね。大森さん・若井さん・藤澤さんの3人それぞれに役割があって、特に藤澤さんのピアノの調律が仕上げの工程になるという発想がとても好きです。音の振動で液体が輝きを帯びる…科学的でありながら魔術的で、世界観にぐっと引き込まれました。これからどんな「記憶」のお話が待っているのか、楽しみです。