｢月降る夜の一室で｣コンテスト作品

今回は林檎様のコンテスト参加させていただきますｯ！

題名は｢月降る夜の一室で｣

…題名から神ｯ！

主は月を物理的に破壊することしか思いつかなかったので☆

そのまま描きます！

林檎様ｯ…もしこうして欲しいということがございましたら💬くださいｯ…

(本当にお時間あればｯｯ！！)

それではどうぞ！

桃視点

俺の家には綺麗な子が居る

かぐや姫、と言うらしいが本人からは｢水｣と呼んで欲しいと言われているのでそう呼んでいる

水はとっても容姿端麗で

こんな俺の傍になんていていいのかと思う

水)桃ちゃーんっ！

桃)はーい、なに？

水)なんか…触ってたら花瓶割れちゃった…泣

桃)あら、怪我はしてない？

水)大丈夫っ！

桃)じゃあリビングにいてねーw

水)はーい！

彼は力加減がよく分かっておらず、こうして度々花瓶や皿を割る

その片付けは俺なんだけど…w

彼が一体どこから来たのか、俺は知らないし知らなくていい

こうして2人でずっと過ごせたらなw

水はこの令和では見ないような何重にも重なった着物を着ていて、

それは何故か脱げないらしい

…風呂の時だけ脱いでた記憶が((

まぁ、他人の俺が何か言う訳にも行かないしなw

水は同居人、特別何かある訳では無い

彼との出会いは、ちょうど…１ヶ月前くらいかな？

ここに来たばかりで何も分からないから、家にしばらく泊めてくれと頼まれたっけw

それを許可した俺も俺だけど…w

いやさぁ！その時はまっじでかわいい女の子にしか見えなかったのよっ！

襲うつもりはなかったけど…可愛くて…ねw

それから１ヶ月、この不思議な関係が続いていた

その1ヶ月で俺の気持ちは少し左右され、今では…

好き、なのかも知れないと1人思う

ある時の夜、俺は水の部屋に呼ばれた

こんこんっ…

水)はーい？

桃)入っていいー？

水)…いーよ

がちゃっ…

ゆっくりとドアを引く

そこには何か思い詰めたような表情でこちらを見ている

想い人が居た

桃)どうしたの？

水)っ………

上を見上げて戻ってこない

ベットの上に軽く座っている彼

ゆっくりと口を開いた

水)んね、桃ちゃん？

桃)なに？

少し焦る

彼は今までこんな重苦しい空気を作ったところを見たことがなかったから

水)僕が、どこから来たか知ってる？

桃)わかんないよw

水)…そーだよね

水)引かない？

桃)もちろん、水がどうであろうと

桃)俺らはずっと暮らしてたわけじゃん？

水)…そっか

ベットからギシッと音を立てて立ち上がった

その後、部屋にあるカーテンを勢いよく開けた

シャーッ…

綺麗な半月の日だった

水)…あそこ

ピッと指を指したのは…

月だった

桃)…え…？

水)僕、月から来たんだ

水)正確には逃げ出してきた、かなw

桃)えっ…？えっ…？

こんな夢物語のようなものが目の前で起きていることに頭が追いつかなかった

水)僕はおとぎ話の中のかぐや姫だよ、？

水)月に閉じ込められてたの

水)だからこんな高い着物を着てるの

桃)っ……

言葉が出なくなった

かぐや姫のストーリーは俺は知らないが

物語のプリンセスは、最期…大変なことになる、そう思っていた

水)…僕、今夜にはお迎えが来るんだ

桃)っえ？

水)月に帰らなきゃ行けないの

桃)っ…やだ…

ぼそっとこぼれた俺の本音

水)っ…僕だって…嫌だよっ…泣

彼の声が震えていた

きちんと見ると涙をこぼしていた

水)…桃ちゃん？泣

桃)なーに？

最後は優しく綺麗にしよう、そう思ってたのに

水)これ…ね

手から粒状の物を出した

そのまま水はパクッと口に入れたがごくんっと言う飲み込んだ音は聞こえなかった

唇に暖かい感覚がし、びっくりして目を開くと今度は舌が入り込み、くちゅくちゅと音を立てる

口の中に入った舌が先程の粒を持ってきて、パキッと音がしたと思えば半分に割れた粒を2人で分け、飲み込んだ

桃)っは…？///ぴくっ

水)…これ、不死の薬なの

桃)っえ…？？

水)…っ僕は、今日で月に帰るけどっ…助けに来てねっ…泣

水)何年でも、何十年でもっ…何千年でも待ち続けるからっ！泣

桃)っん…わかったっ…！泣

桃)必ず、助けに行くからっ…！

ぎゅうっと…互いに抱きしめ合った

水)……桃ちゃん？ 

優しく、声を掛けてきた

桃)なーに？

水)僕ね、この１ヶ月で桃ちゃんへの気持ち変わったんだよ？

水)｢同居人｣から、｢気になる人｣に

桃)っ……

水)桃ちゃんは？

桃)…ばーか、俺もだよ

水)…やっぱり？

桃)分かってたの？

水)なんとなくw

桃)…きちんと言わせて

ぱっと、体を離した

桃)…貴方が好きです、//

水)っ…ぼーくも！

また俺らは抱き合った

今度は最初よりも長く

愛し合うように

りんりんりんりんっ♪

水が抱き合っていても分かるほどびくっと肩を跳ねさせた

桃)…水？

水)……っ…泣

水)お迎え、来たみたい

桃)…そっか、

水)大好きだよ、桃ちゃん

桃)俺も、w

水)いつまでも、待ってるからっ…！泣

桃)わかったって…w泣

がちゃっ…

窓が開いた

そこからぴょんぴょんと顔の無いうさぎが4体入ってきて、神輿をだし

水に入るように待っている

水)…桃ちゃん？

桃)なんだよっ…？泣

水は前を、俺は水と同じ方向を向いているので顔が互いに見えない

水)僕の顔、見たの桃ちゃんが初めてなんだよ、？

桃)……？

水)みーんな、このうさぎさんみたいに顔がなくって、声も出せないの

桃)っ…そっか…泣

水)僕のハジメテ、とったんだから

水)責任とってねっ…！泣

桃)もちろんっ…！一生かけても助けるからっ…！

そんな会話をして、水は神輿に入っていった

窓から入ったうさぎ達はまた窓から神輿を出す

りんりんりんりんっ♪

その音色と共に月へ水は姿を変えた

桃)っ……

桃)っぅ”っ……泣

俺は大声を上げて泣いた

周りの迷惑を考えられるほど脳は発達していなかった

普通の人よりも、長い時間待つかもしれない

でも俺は水を必ず助けに行く

そう誓った半月の夜だった

50？？年＿＿＿＿

あの日から1000年以上が経った

俺は何度も月へ行ったが水の居るような場所はひとつもなかった

やっぱり夢でも見たのかと思うが

俺が歳を取らないことから本当なのだろうと信じる

月へ行くたびに金が大量にかかった

月だけでもう何億使ったものか…

抜け殻のように月へ行く日々を過ごしたある日

テレビから流れていたニュースに耳を傾ける

『 えー…緊急のニュースです』

『 今夜、定年劣化により月が崩れるとされました』

桃)っ…は？

俺は信じられなかった

まだ水を助けれて居ないのにっ…

月にいる水は…死んでしまうっ…？

いやだ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だっ！！

何度も何度も！会いに行こうとしたのにっ…

桃)全部無駄だったのかよっ…？泣

ベットで泣きじゃくり

気付かぬうちに寝ていた

起きたのは夜7時

ハッキリと月が見える

水を求めるようにベランダへ出る

がららっ…

外は少し寒く、紺色で俺を悲しみへ引きづりこみそうだ

やっぱり涙が止まらない

ボロボロとベランダで泣き崩れる

何度も彼の名を呼びながら

？)もー、なんでそんな泣いてんのさっw

ついに幻聴まで聞こえるようだ

？)…桃ちゃん、ただいま

この声は、妄想ではなく耳から感じた

ゆっくりと顔を上げると

紺色に染まっていた空に、1人

水色に輝く物が見える

肌寒かったのに、誰かに抱きしめられているかのように暖かくなった

桃)…みずぅ”っ…？泣

水)そうだよ、水だよ

水)遅くなった、ただいま

俺の涙は再びこぼれ落ちた

桃)…なんで戻って来れたの？

水)えっとねー…僕は月に住んでたって言うか

水)月に埋められてたって感じだから月がぶっ壊れてくれたから僕も戻って来れたんだよねw

桃)…ごめんね

水)？？どうしたの？

桃)おれ、助けに行けなかった”っ…

水)え…桃ちゃん何回か来てくれてたじゃん

桃)っえ？

水)ほら、たまーに月に来てくれてたの知ってたよ？

水)すごい音してたからw

桃)っみずぅ”っ！

最後の別れの時と同じように抱きつく

頭を撫でられる俺より一回り小さい手

この感覚のために何千年、俺は待ち続けた

水)…ね、桃ちゃん？

桃)んっ…なーに？

しゅるしゅると音を立てて堅苦しい着物を脱ぐ水

ベットに座る

水)僕、服脱げるようになったの

水)もう月も無くなるから

水)僕と、付き合って何千年も待ってくれた桃ちゃん

水)僕として…みない、？///

少し照れた顔でこちらを見る

桃)っ…/

桃)俺で良ければっ…/

今日の月は綺麗な満月

崩れかけている月

月の欠片が闇へと降り注ぐ

月降る夜の一室で

愛し合う者2人の

甘い声だけが響き渡っていた

｢月降る夜の一室で｣

end