???side
それは私に向けられた言葉ではなかった
放課後、他クラスの私は
幼馴染の勝己と一緒に帰ろうと
勝己のクラスまで来ていた
勝己のクラスのドアに手を
かけたとき、その声が聞こえた
その言葉は私に向けられたものでは無い
勝己 出久
幼馴染が幼馴染に向けて言った言葉
でも、なぜかものすごく胸が痛くなった
理由は簡単。1つしかない。
私も、〝無個性〟だからだろう
その言葉を聞いた瞬間、
私は屋上へと走り出していた
タッタッタッタッ
ガチャ バタン
???『ハァッ ハアッ』
走って階段を上がってきたからか
呼吸が乱れている。
いや、走ってきたからだけじゃないだろう
きっと、私が動揺してるせいだ
私は、個性はないけれど
生まれつきの身体能力が高いらしく
クラスでも運動は一番できるといわれている
勝己に
「お前、運動神経、バケモンかよ」
と言われたことがある。
出久にも
「なんで、そんなに運動神経がいいの!?」
と聞かれたこともある。
自分にはよく分からなかったけど。
そんなことを思いながら
私はフェンスの近くに寄った
〝 屋上からのワンチャンダイブ〟
それができたら、どれだけ楽になるだろう
少なくとも、〝無個性〟からは
開放されるだろうか?
たったそれだけ。みんなと違うところは
ただ、〝個性〟という能力がなかっただけ。
そもそも、人はみんな、
〝無個性〟だったんだ
突然変異で、〝個性〟が現れたってだけで
他は一緒の人間だ。
違うところなんて、〝個性〟があるかないか。だけど、たったそれだけで
〝いじめ〟がうまれる
あぁ、この世はなんて理不尽なんだろう
このとき、私の中に2つの言葉が
思い浮かんだ。
1つ目は先ほどの勝己の言葉
来世は個性が宿ると信じて
屋上からのワンチャンダイブ!!
そして、もう1つは
幼いころ、私が無個性と
判明した時に勝己に言われた言葉
???『ヒグッ グスッ 』
『私も個性…欲しかった…』
『みんなを守れるヒーローに
なりたかった…』
『勝己を出久を…守りたかったのに…』
勝己「バーカ お前は、俺に
守られていればいいんだよ」
「俺はお前を守れる、ヒーローになるんだ!」
「オールマイトみたいなみんなを守れる
ヒーローになっ!(*´罒`*)」
「だから、それまで待ってろよ!」
???『ッ うん!』
???『…懐かしいな』
『ワンチャンダイブは
もうちょっと先でも、いいかもね。』
勝己の夢を…
そして私を守るって言ってくれた、
彼の言葉を蔑ろにできないからさ
せめて、彼が高校に、雄英に
入学するまでは、私は生きよう
???『……』
そんなことを思いつつ
私は屋上をあとにした
勝己「あっ!おい!!」
「???、どこに行ってたんだよ!」
???『ごめんごめん。 ちょっと…ね。』
『先に帰っててくれても良かったのに』
勝己「……」
???『勝己?』
どうしたの?と私が聞くと
勝己「いや、さっさと帰るぞ」
と言って1人で歩いていってしまう
???『あっ、ちょっと待って〜!』
先に行ってしまった勝己を
追いかけ、横に並ぶ
???『勝己はさ、雄英の
ヒーロー科志望なんでしょ?』
勝己「おう」
???『頑張ってね』
『私はヒーロー科は無理だけど』
ヒーロー科は無理。
自分で言っても少し傷つく
でも、無個性だからしょうがないよね…
勝己「…ヒーロー科は無理でも、
普通科ならいけるんか?」
???『普通科か〜。』
『私なんかが受かるかな〜?』
私はとりわけ頭が
いいって訳でもないからな〜
どっちかというと悪い気がする…
そんなことを思っていると
勝己に
勝己「お前が受かんなかったら
全員、受かんねぇよ」
と言われた。
???『…え?』
勝己、何言ってるの?
勝己「は? お前、気づいてねーのか?」
…何に?
???『…?』
勝己「お前、テスト、オール100点で
期末テストとか毎回1位だろ?」
…え?
???『私が?』
そんなわけないでしょwと言うと
勝己「…お前、テストの順位見てるか?」
と聞かれた
え? 順位? テストの?
???『何それ?』
そんなのうちの学校にあったっけ?
勝己「お前な〜(。´-д-)ハァー 」
え? ため息つかれた←
勝己「まぁ、とにかく、
お前は絶対に雄英、来いよ」
???『そこまでいうなら
普通科、受けてみようかな』
勝己「! …まってるからな((ボソッ」
! まってるって、言われても
勝己だってまだ雄英、合格してないのに
勝己のことだから
合格は確実な気がするけど
まぁ、
???『頑張ってみようかな』
今はまだこれでもいいかもね
*???『* ( *´∇`*)フフッ 』
勝己『何、笑ってんだ』
???『ううん、なんでもない』
『ただ、勝己と同じ高校に
行けるかもしれないことが嬉しいから』
勝己「行ける”かも”じゃなくて
来いよ、絶対に」
???『うん!』
私はこの世界に耐えきれなくて
勝己をおいて死んでしまうかもだけど
私がこの世からいなくなるときまで
勝己と一緒にいさせてください
いつか、個性がない時代へ。
そして、そんな時代が来ますように。
あと、少しだけ生きてみようかな
そんな思いを胸に、
私は明日へとふみだします
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!