続き。
🐷side
🐷「っ、ふー……」
脚に付着した返り血は直ぐに落とせたのだが、腕がなかなかしつこく、手こずってしまった。
服が黒いから目立たないだけマシだが、時間が経つと本当に厄介だ。
🐷「あ、早く変わってやんねーと……っいしょ」
足が酷く疲れて重たい。
深夜まで動き回っていたらそれもそのはず。
建付けの悪い湿った木の扉を開ける。
🐷「お先ー、入っていいぜ…って……どした?」
暗い部屋には暖かそうなランプと冷たいブルーライト。
心做しか張り詰めた空気と緊張感。
ぱっ、と見開かれた翡翠色の目に反射していた青白い光は、彼の目を釘付けにしているようだ。
🍌「……」
あー聞こえてねーな、これ。
入り込みすぎるとこうなるのは彼の長所でもあり短所でもある。
彼が本気で夢中になる、画面の中身が気になった。
🐷「🍌…どした、任務じゃないのか?」
🍌「……!あ、もう上がってたんだ。」
🐷「……やっぱ気づいてねぇんだな。」
🍌「悪い。自覚はないけど随分入り込んでたみたいで、」
🐷「……見せて、それ。」
🍌「あっ、おい……!」
半ば強引に彼の腕から取り上げた。
冷たい光に綴られたものが隅から隅まで氷のように鋭い。
読み進めては頭に飲み込ませてを繰り返し、
そして今、俺は恐らく先程の🍌と同じ表情をしている。
まぁ此奴ほど美しい顔立ちにはなれないが。
☃️と、🍆。
かつて俺らと活動していた2人。
いつから忘れていたのか、見当すらつかない自分が恐ろしい。
本気で大切に思った仲間。
いつから別れてしまったのかすら分からない。
でも、B・Bの文章を見る限り……
俺は、俺たちは。
_______________仲間だった2人をこの手で殺さなければいけないようだ。
🍌side
彼が目を見開く。
衝撃的だろう、当たり前だ。
かつての仲間を殺せなんて非情な任務が、B・Bの手によって下されるなど思いもしない。
🍆なんて、俺からすれば仲間以上の存在だったのに。
この職業に自分の情など持ち込んではいけない。
相手がどんな人だろうと。
相手にどれだけ想いを馳せていようと。
殺すのが責務、宿命。
個人の意思で殺めないことを選べば。
わざわざ聞かされてはいないが……恐らく命はないだろう。
🐷「……そうか。」
🍌「……っ、ああ。」
込み上げてきそうな感情は抑えて。
頭に入れるのは任務だという事実だけでいい。
……顔なんて思い浮かべてる場合じゃないのに。
🍌「……そろそろ洗ってくるわ」
🐷「ん、タオルそこかかってる。」
彼の言葉に返事もせず顔を背けてシャワールームに逃げて
少し乱暴にドアを閉めた。
🍌「はぁ……っ…」
水音で自分から零れた声をかき消す。
この精神状況では、明日まともに任務を遂行できるわけが無い。
かといって気持ちは捨てられない。
🍌「っ明日なんて、一生来なけりゃいいんだよっ……」
叶わぬこと。
こぼした言葉に自分の首が絞められてゆく。
言われたことを淡々とこなせる方だった俺を
「恋」などというたった一文字でここまで狂わせたのは貴方だ。
コメント
4件
フォロー失礼、、、
感動!、、、
感動した🥹