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(え…どうして桃田さんが…。泣いてる…?)
教室に入りづらいし、桃田さんに声もかけにくい。
(でも、バッグがないと帰れない…)
悩んでいると、ポケットに引っ掛けていたボールペンが、床に音を立てて落ちた。
(あっ……)
その音に気づいた桃田さんが、僕を見る。
「…桧山くん?」
桃田さんの目元は赤くなって濡れていた。
やっぱり、泣いていたんだ。
「ご、ごめん桃田さん…、黙って見てて…。バッグを取りに来ただけだから…」
「ううん、大丈夫だよ」
桃田さんはそう言うと、バッグを持ってきてくれた。
「はい、これ」
「あ、ありがとう…」
「…じゃあ…」
桃田さんがまた教室に戻っていった。
あんなに元気がない桃田さんを見たのは、初めてだ。
(大丈夫なのかな…でも、変に聞いたら迷惑かな…)
悩んだけど、聞くことにした。
「あ、あの…桃田さん」
「どうしたの?」
「え、っと…大丈夫…?」
いざ聞こうとすると、上手く言葉にできない。
「大丈夫って?」
「あ、いや…その、泣いてたから」
…どうしよう。傷つけちゃったかな…。
恐る恐る桃田さんを見ると、桃田さんは椅子に座って、僕に手招きをした。
「桧山くん、おいで。隣に座ってよ」
「?…う、うん」