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夏の暑さも和らいで来て、秋が訪れる。今日は10月31日。ハロウィンだ。街もハロウィン仕様になり、ジャック・オー・ランタンやコウモリなどの装飾がされている。俺はバイト終わり、パンプキンパイを作っていた。パンプキンパイの生地をオーブンに入れ、タイマーをセットする。
「後は待つだけだ」
パイが焼ける間暇だから諒真と話そうとしたが、諒真の姿が見当たらない。
(あれ…諒真がいない)
さっきまでソファーに座ってたのに。
「諒真〜?」
そう言うけれど、返事がない。
俺は不思議に思い、部屋の中を探す。諒真の部屋に入り少し進むと後ろのドアがバタンと閉まる。
「わっ!」
俺は恐る恐る後ろを向く。そこには、吸血鬼の仮装をした諒真が居た。
「えっ、何してんの」
「いや何って、吸血鬼の仮装ですよ」
「…なんで吸血鬼?」
「それは…」
諒真はニヤッと笑ってこっちに近づいてくる。
「今日は俺が吸血鬼になろうかなって」
「そうかよ…」
「はい。なので、血吸わせてくださいよ」
「は?何言って…」
俺が言い切る前に、諒真は俺にキスをする。
「おい、諒真」
「なんです?」
「いや…」
俺がそこで言葉を止め、黙り込むと、諒真は俺を後ろの方へ押す。俺が思わず後ずさると、後ろのベットに当たり、そのまま倒れる。
「わっ」
そんな俺の上に諒真は乗っかる。
「瞬さん、自分から寝転がってくれたんですね」
諒真はそう言いながら俺のシャツのボタンを数個外す。
「いやっ、ちがっ…」
俺が否定すると、諒真は俺の首筋にそっとキスをした。
「あっ」
思わず声が漏れてしまい、俺は恥ずかしくなる。そんな俺を見て、諒真はニヤッと笑う。
「じゃあ、今から血吸いますね」
俺の首筋に諒真の唇が触れる。しばらく触れ続けた次の瞬間、首筋が少しチクッとする。顔を上げた諒真は、俺の首筋を見て、ニヤッと笑う。
「血吸ったから跡、付いちゃいました」
「跡って…」
「キスマですよ」
諒真のその言葉で俺の顔は赤く染まる。
「何してんだよ!見えたらどうす…」
諒真は俺の言葉を遮るように俺の口にキスをした。
「大丈夫ですよ。ちゃんと見えないとこにしましたから」
俺はそれを聞いてほっとする。
「あ、でも…」
「でも、なんだよ」
「シャツじゃないと見えちゃうかもです。仕事中は大丈夫ですけど、私服で出かける時は見えちゃいますね」
そう言って諒真はふふっと笑う。
「まじかよ…」
「はい。まじです」
「もう俺しばらくシャツしか着れないじゃん…」
「それ言ったら、俺だって瞬さんの噛み跡隠すためにいつも首隠れる服ですからね?」
諒真のその言葉に俺は申し訳なくなる。
「そうだよね…ごめん」
「いいですよ。全然」
「ほんといつもありがとう」
俺がそう言うと諒真は嬉しそうに笑う。
「じゃあ、お礼だと思って今から俺がやることに目つぶってくださいね」
そう言った後、諒真は俺の口にキスをする。何回か唇を重ねた後、諒真は俺のシャツの残りのボタンを開け始める。
「ちょっと待って、パンプキンパイあるから!」
俺がそう言っても、諒真は手を止める素振りは無く、すべてのボタンを外した。
「俺はパンプキンパイより瞬さんの方が食べたいです」
そう言って諒真はニヤッと笑って俺のお腹にキスをした。
「もう…」
呆れた俺は諒真にされるがままにされるのだった。