テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
ふざけちゃいられないってわかってるよ
でも、ふざけないと…
…少しでも、冗談を混ぜないと、
自分が恐怖に気づいてしまう。
なんちゃっ、て…?
鋭い瞳。
普段は優し気に細めているそれが、僕を射る。
無理やり作った声も、状況に合わないテンションも、防衛策。
罪悪感。
僕は、こうして失った。
そして、今は失わせる側。
この事実を今暴いてもいいのだろうか。
今の僕の目はきっと、真っ黒だ。
役割を失い、希望を失い、灯していた灯を失った車両の虚ろな目。
今ここで自分の名前を教えて、この「お願い事」を取り消して、彼女たちを僕と同じ目にあわせることを止めたい。
…所詮マリオネット。
僕もそんなもんだ。
でも、今回は…
…今回だけでいい。少しなら抗えるはずだ。
運命の歯車を曲げたら、社会という線路が崩壊する?
そんなの、僕があいつに言われたただの噓だ。
僕にできることをする。
東京メトロ。
こんな形で彼女たちに逢うとは思わなかった。
なんとかしてみせる。
僕…都営地下鉄大江戸線の手で。
7
#青春?
君ヶ代 八千代
187
コメント
3件
読了しました。side B、つまり別視点が入ってきたことで、物語に一気に奥行きが出ましたね。「ふざけないと恐怖に気づいてしまう」という冒頭の一文にグッときました。無理に明るく振る舞うその裏に、ちゃんと罪悪感と葛藤がある——彼がただの加害者じゃなくて、自分もまた誰かに操られた被害者なんだと分かる構成が上手い。大江戸線としての使命と、個人としての良心の板挟み。このジレンマがこれからどう動くのか、すごく気になります。