テラーノベル
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そう言って母さんは病室から出て行ってしまった。
陣内さんは病室に入って来て、僕がいるベッドのそばの椅子に座る。
「陣内さん。僕が眠っている間、そばに居てくれていたと母から聞きました。
ありがとうございます。」
「…シバが心配していた。光ちゃんも、ニコも、葛城さんも。」
「…はい。」
「いっつも聞かれた。俺が仕事場に来るたびに才木はまだ目を覚さないのかって。ほら、みんな忙しいから来れねぇんだよ、事件の後処理とかで。だから暇な俺が行ってやってたんだよ。」
「ふふ、すみません。 」
「お前の妹も、俺がここに来る時、いっつも泣いてた。早く目を覚ませってな」
「そうなんですね。後で安心させてあげないと。」
「お前の母ちゃんも本当は泣きたいだろうに、ずっと妹の手を握ってんだ。…強いよな、本当に」
「…そうですね。」
次々と陣内さんの口から言葉が溢れてくる。ついには陣内さんの目からも涙が流れた。
白い部屋に、機械の電子音だけが響いている。
しばらく沈黙が続く。
「え、陣内さん?」
「お前が目を覚まさない間…ずっと生きた心地がしなかった。俺のせいで死ぬんじゃないかって。
俺なんかのせいで…また失うんじゃないかって…怖かった。 」
「…」
「…本当に目が覚めて良かったよ。おかえり。才木」
気づけば自分の目からも涙が流れていた。ああ、本当に目が覚めて…
また陣内さんのそばにいることができて…良かった。
「…ただいま。陣内さん。」
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