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[ いつかまた_ ]
『 サーシャ .ᐟ 』
俺を呼ぶのは ,灰色の髪を束ねていて ,水
色の目をした “人間” 。
『 なんかぼーっとしてるけど、? 』
「 いや ,なんでもない。」
『 なら良いんだけど… 』
『 魔物狩りに行かないとっ。』
「 そうだな.. 。」
『 こっちは片付けたよ。』
「 こっちも片付けた。」
『 あそこ ,誰か倒れてない…? 』
「 ネイサン…? 」
思いもしていない。別れは唐突で ,現実は
す ぐそこにあった。
毎日 ,ネイサンは1輪の花を持って来てい
た。 その1輪の花はネイサンの血で赤く染
まっていた 。
月が隠れる夜。月の代わりに純白の花が仄
かに光る_
俺とカナエは仄かな光に囲まれなが ,星空
を見上げている。
Nathan Cleveland と書かれた墓石に背を
向けて_
「 奪われた命は.. 戻らないんだな… 」
奪われた命の意味は運命 _
これを今日初めて ,自分を目の前にして学
んだ。
“吸血鬼” と言う種族で生まれてきた以上 ,
魔界では亡くなると言う概念は無いに近い物
でもいつか亡くなるのが人間 ,それはカナ
エも同じ_
こんな事考えたくはなかった_ 。
風が吹き ,仄かな花と俺の髪が一緒に星空
に吸い込まれていく 。
魔力が無くなって来て ,髪が抜けてしまっ
た 。
『 僕の血が必要なら ,いつでも言ってよ』
髪が抜けた俺を見てカナエはそう伝えてき
た ,
「 満月が暴れすぎたからその反動だ… 髪も
すぐ戻るから問題ない_ 」
わかりやすい言い訳をして誤魔化した 。
この時は ,カナエの血を貰うなんて思いも
していなかった …
数日後_
『 サーシャ… 』
「 あぁ… 今日 ,”あいつ”が来る… 」
“あいつ” … カナエと俺が追っている人物,
魔界の牢獄から脱獄した大罪人の 呪術師
俺は魔力が足りなかった ,今の魔力じゃ呪
術師には敵わないのが分かりきっていた ,
「 カナエ… 血 ,その… 分けてくれねぇ
か? 」
『 ん ,いいよ。サーシャが求めてるなら
ね 。』
カナエは迷わずそう言った。
「 痛かったら言えよ… 」
< カプッ”
人間の血 ,最後に飲んだのはいつか…
思い出すこともできないくらい前 。
いつもの血液パックとは程遠い味 。
『 さ ,サーシャ…” ? 』
「 あ ,ご. ごめん… 」
血を飲むことに夢中になっていた。
申し訳ない… と思っていた時に
『 僕も行く… 』
カナエがそう呟いた。
「 おまッ 何言って… 」
「 だって… 死ぬかも知らないんだぞっ? 」
『 僕は少しでも… サーシャの役に立ちた
い… これは僕のサーシャへの願い。 』
「 …… 死なないって約束するか…?」
『 ………… 約束する… 』
もう失いたくなかった。カナエには最後ま
で生きて欲しいから…
サーシャがずっと戦ってくれてる中…
僕は端に座り込んでいた ,
僕が思っていた以上に 呪術師 は遥か上の存
在だった…
それでも ,少しでもサーシャの役に立つ ,
これを使えば… 倒せるかもしれない…
“ 最後の切り札 “
記憶の片鱗と引き換えにもの凄い魔力と威
力を得られることだ出来る。
最後の力で立ち上がり ,切り札を使った_
「 _ ェ .ᐟ _ナエ !! 」
「 カナエ!!! 」
サーシャの声で目を覚ました。
どうやら戦いは終わり ,勝ったらしい…
『 俺ッ カナエが居なかったら… 負けてたか
もしれない…ッ ありがとう… ッ 』
サーシャが泣きながら伝えてくれた。
嬉しかった。サーシャの役に少しでもなれ
たのが。
「 カナエ… ? 」
サーシャの手を残りの力で握りしめて ,
最後に伝えた。
『 ごめん… 僕 ,約束破っちゃうかも ,』
「 嫌だよッ … カナエが居ないとッ 俺ッ… 」
『 僕… サーシャの役に立ててッ良かった 』
「 … ッ 」
『 僕… 生まれ変わってもサーシャに逢いに
行く ,この約束は絶対破らない。約束し
てくれる? 』
「 あぁッ 俺もお前が呼べば何処へだって逢い
に行く。約束するよッ 」
『 ありッ がとう _ 』
そう言うとカナエは笑顔のまま冷たくなっ
てしまった_ 。
俺はカナエと教会に帰り ,棺桶にそっと入
れてあげた。
持っていた百合の花が俺の涙で濡れていた
濡れた百合の花をそっとカナエの傍に ,
” 9本 “ 置いた。
「 俺はお前が生まれ変わってもッ 絶対逢いに
行くからな…? 絶対ッ 約束破るんじゃねえ
ぞ……ッ 」
「 またな…ッ 」
そう言って魔界へ帰ろうとした ,
『 またね_ 』
あのいつもの声が聞こえた気がした ,
1年後_
あの日からカナエを忘れる日など1日もな
かった。
逢いたい_
そんな気持ちがいつも俺を邪魔する。
気分晴らしに人間界に行ってみようと思い
姿を変え ,適当にな場所に降りた。
奥には小さな街 ,降りた場所は少し開けた
道のような場所 。
「 はぁ~ なんもねぇ~ 。 」
街に入ったらなにかあるかもしれない。
そう思い探索してみた……が
特に何も無く終わってしまった。
「 はぁ~ 疲れた。」
人も居ない静かな道 ,歩くのも疲れたので
飛んで来た道を帰ってた。
ベンチに1人 ,座って寝ている奴が見えた
バレたらややこしくなると思い歩いて前を
通る事にした。
通る前にそいつが起きた。あのまま通ってた
らバレてた なんて思いながらそいつの前を
通ろうとする。
「 カナエ…? 」
『 えーっと… どちら様ですか…? という
かなんで僕の名前… 』
髪や服 ,他にも違う所はある ,だけど
ぴったりカナエと重なって見えた。
「 あぁ ,ごめんなさい… 亡くなった奴に凄
い似てて … 」
『 なんか興味深いですね… 少しお話聞いて
もいいですか? 』
断る理由なんてない。だから隣に座っ
て話す事にした。
『 僕は “かなえ” です。』
「 あぁ… 俺は… サーシャ… 。」
もう一度 ,サーシャと呼んで欲しかった。
いつの間にか口走ってサーシャと名乗って
いた。
それから カナエ の事を色々話してみた。
『 そう言えば… 僕1年分しか記憶が無いん
ですよね… こんな “運命” みたいな事あ
るんですね 笑 』
「 そう言えばなんで軍服を ,? 」
『 あぁ… 他の国と戦争が起きちゃって
軍に入れられたんですよ 。』
「 えっ… それって…… 」
『……大丈夫ですよ必ず生きて帰るので』
『 明日も逢いに来てくれますか? 』
「 もちろん…… 」
{ かなえ ~ 呼ばれてるぞ~ }
『 今行きます!! 』
『 ごめん時間切れ ,じゃあまた明日ね。 』
「 ん ,じゃあな… 」
そこからは毎日逢いに行った。楽しそうに
話してくれる 。 俺はいつの間にか
かなえ を カナエ と 重ねて接するように
なってしまった。
戦争 ,ここにずっと引っかかってしまって
いた。もしかなえが死んだら、?
なんて想像してしまう_
数週間後_
いつも俺よりも先にベンチに座っているかな
えが今日は居なかった。
忙しいもんな… なんて思いながらベンチに
座って待っていた。
{ 君が… サーシャ? }
見たこともない奴が俺に話しかけてきた。
「 え ,あ、はい… 」
{ 俺はかなえの同僚だ。かなえにこれを
サーシャに渡して欲しいと頼まれてな。}
{ 受け取ってくれ… では失礼する… }
かなえから手紙… 内容は予想も出来なかっ
た。
サーシャへ
まずはごめん。 実は僕 ,他の国の方に爆弾
を持っていく ,まぁつまり自爆っていう役
目だったんだ。これは自分で選んだ役目だか
ら。生きて帰る…なんて言ったけど無理な事
は最初っからわかってたのにごめん。
また僕が生まれ変わっても逢いに行くから
待っていてくれたらうれしいな。
逢いに来てくれてありがとう。
俺はこの手紙を泣きながら読むことしか出
来なかった。
生まれ変わっても逢いに来てくれるし逢いに
行く。
俺は カナエ に逢えるまで絶対諦めないと決
めた。
数百年後_
『 ChroNoiRが 』
「 なんかやるーーー 」
俺は葛葉として 叶 と今は相方としてやって
いる。
あれから何回も転生しては亡くなってを繰
り返している。
まだ カナエ には出逢えていない。
でも俺は今の 叶 も大事にすると誓った。
カナエ とは約束した。
絶対逢いに行くって。
だから俺は
[いつかまた]カナエ に逢える時まで待っ
ている。
[ いつかまた_ ]
~ end ~