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餅千 @ 別 后 。
俺が幼少期の頃、よく遊んでいた“すち”と言う男の子がいた。その子は神社の外に
出れなかったのをよく覚えている
春の陽射しが、神社の古い瓦屋根に柔らかく降り注いでいた。よく晴れた日だった
すちは俺の手をそっと握る。
🍵「ねぇ、いるまちゃん
俺をずっと感じて…、忘れないように」
小さな声が震えていた。まだ幼い体から漏れる不安と期待。すち なりの俺への縋りだったのだろう
突然言われたものだから、俺は少し首をかしげた
📢「…? 一緒に遊ぶんだろ? 行くぞ」
すちは小さくうなずく。その時の俺は縄跳びがしたくて仕方が無かったから深く聞かなかった
…それが裏目に出たのは2年後のことだった
🍵「…うん」
すちは愛おしそうに微笑んだ
その瞬間、桜の花びらが二人の周りを舞い、手を離しても心が繋がっていることを教えてくれるようだった。
そこから2年の月日が流れた。
ある晴れた日の事だった。
神社の境内は、昼間でも少し陰鬱な空気が漂っていた。すちは大人の手に連れられ、
着飾られた服をまとい、神社の奥へ歩いていく
シャンと鈴のと下駄の音が響く。綺麗に飾られた境内の階段。
その時覚えているのは気持ち悪いくらい
村の皆が笑っていたことだった
その日初めて、すちが生贄だった事を知った
人集りが俺を阻む中、最後の階段
すちが俺を見つけ、そっと微笑んだ
🍵「ごめん、いるまちゃん…ずっと一緒には居られなかったね」
そう言って、悲しげに笑う。
違う。そうじゃないっ、謝罪なんてしなくていい、゛
📢「っ、すち゛!やめて゛っ゛」
今すぐに駆け寄りたかった。抱きつきたかった
でも近くの大人に止められ、声は掠れる。
📢「やだっ゛、すちっ゛、すちっ、゛」
「やめなさいッ、いるま」
📢 「ねぇっ、 ねぇッ!゛、 すちぃ゛!」
指先が空を掴むようにすちを追う。
すちは口パクで
「…ごめんね」
とだけ答え、泣き笑いのように薄く微笑む。
触れられない距離感に、心が引き裂かれるような痛みが走った。
また10年の月日がたった
神社の扉を押す手が、ほんの少し震える。
📢「…、懐かしい」
静かな境内に、昔と同じ木の香りと風が漂っていた。瓦屋根に日が降り注ぐ。
神社は劣化…、廃墟のようになっていた
📢「…すち、…久しぶり(笑」
声変わりで低くなった俺の声に、俺と同様大きくなったすちは目を大きく
🍵「ぇ…、いるまぢゃン? …なんで?」
少し伸びた髪に深みが増した紅色の瞳。その愛おしさに心をくすぐられ、そっとすちの頬に手を添える。
📢「忘れるわけないだろ?」
すちの体が一瞬硬直する。
手の温もりが、幼い頃の約束を呼び覚ます。
📢「迎えに来た…、♡」
すちの息が少し乱れる。
🍵「っ、なんで、」
📢「ほら、行くぞ?」
すちは足を踏みとどまる。動けない理由なんて、もう無いはずなのに。
🍵「…村の人が居るから、行けないよ…俺は、
守り神で…」
俺は視線を強く向け、にやりと不敵な笑みを向けた
📢「…守る村が無かったら、守り神は卒業でだろっ?(笑」
すちは息を呑む。綺麗な喉が上下する。
🍵「はっ、?」
📢「…村は焼き払ったから」
手を取り、静かに引き寄せる。
📢「いこ? すち」
すちは泣き笑いで、俺に体を預けた。
🍵「…ぅん、いるまちゃんっ」
桜の花びらが舞う中、二人だけの世界が再び、壊れかけながらも美しく繋がった
コメント
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好きだ。