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「中也、またお主は一人で勝手に…」
「だってつまんね〜もん」
「ま、この通りじゃ鴎外先生」
「困ったね〜」
二人の大人に囲まれている少年は中原中也。とある病により3ヶ月前から入院をしていた。
「ま、取り敢えず一旦病室へ戻りなさい、午後からは何にも無いから」
「じゃな」
上からそう俺に促すのは此処の病院の院長である森先生。中年男性で少し胡散臭い大人だ。然して賛同するのが俺の担当の尾崎先生。森先生は子供に少し距離を取られているけど尾崎先生は逆で子供に大人気だ。
森先生が子供に心を開かれない事は入院当初は判らなかったが、過ごしていく内に何となく判って気がした。
「ほら、何ぼーっとしておる。午前の検査疲れたかのう?ゆっくり休んでおいき」
「…はい…」
病室に戻っても何もねぇから外に脱走したのに、中島っていう若手の先生に捕まってしまった。
ベッドに横になっていたらする事も無く、院内に流れるオルゴールが子守歌みたいで、気付いたら寝てしまって居た。
「…がまた……から………うーん」
「……かえ?……まぁ……だし…じゃろ…うん」
「それも……じゃぁ…ここに……」
しゃべり声が聴こえる。此処にって、何がだ?
「んっ…」
「おや、起きたかえ?」
「おはよう中也君」
「…なんで此処に?」
壁の隅でコソコソと二人で話し込んでるのを不思議に思った俺は二人に訊いた。二人は「んー」とか「それは…」とやけに濁して、怪しさ満載だった。
「何か有りますよね?」
俺の確信付けるような云い方に、隠しても無理か、と呟いた森先生が云った。
「実は此処の病室に君とは別にもう一人入れようと思ってね。何せ君一人には十分なくらい広いだろう?」
確かに、云われればそうだ。俺の病室は個室ではなく後三人は難なく入れる程だだっ広い。
「…そうですか…其れよりも俺ともう一人の部屋になるって事ですよね」
「まぁそう成るのう」
「其奴、どんな奴ですか」
「其奴って…君ねぇ、もしその相手が君より年上だったら」
「んなもん関係ねぇです。どうせ同じ部屋ってだけで仲良くするなんて事有り得ませんよ」
其れは本心だった。別に部屋に人が増えたってどうでも良い。一緒だから仲を築こうだなんて考えてもねぇ。どうせ仲良くしたって直ぐ離れていくだけだ。
「それよりも、其奴こと教えて下さい」
仲良くするつもりはねぇけど一応少ない事でも知っておきたい。全く知らないとなると居たくもねぇ雰囲気になってしまうから。
「んーと…まぁ、君と同い年の子だよ」
「中也と同い年だからのぅ、上手く出来たらなぁと思っておったのだが」
あぁ、あの時の会話はそういうことだったのか。
「ふーん、そうですか」
「はは、興味無いねぇ…」
「まあまあ、と云う事だから、把握しとくんじゃぞ」
そう云い残し、二人は出ていった。
「其奴、何時来んだろ」
俺はそう云い、もう一度寝に付いた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
やけに騒がしいな。そう思っていたら意識が浮上し、目に光が差し込む。朝か。
にしては朝から騒がしい。
俺はなんだと思い、意識が覚醒し、騒がしい方に顔を向ける。
「はぁん??」
「おや、起きていたのかい?おはよう中也君 」
「ほら、中也、昨日云った子だ」
俺の正面にはベッドが追加されていて(いつの間にか)その上に見知らぬ子供が居た。尾崎先生が云うには昨日の云っていた子だったらしい。
「さあさあ、先ずは自己紹介だね」
自己紹介だなんて、どうでも…
「どうでも良くない?彼の子一生仲良くしないって決断した顔をしてるよ」
喋った!?いや、喋るか。っていうか遮られたんだが…。なんだ彼奴。
「あ、この子は太宰君って名前だよ。それであの子が中也君」
彼奴、太宰って名前なんだ。ていうか、何だあの包帯、厨二病なのか…?
「…ねぇ君さ、僕の見た目になんか要らない事思ったよね?」
「は、はぁ?べ、別になんも思ってねぇよ」
何だ彼奴…うわぁ、俺の苦手なタイプだわぁ。もう無理だな。仲良しこよしは夢のまた夢。出来るわけがねぇ!!
「森先生や、本当に大丈夫なのかえ?」
「んー、思ったよりも水と油だね…まぁ大丈夫じゃないかな」
投げやり過ぎだろ。
「あ、二人共、私達他に診てくる子がいるから此処出るね。又来るから」
そう云って森先生の後に尾崎先生も出ていった。
暫くシーンとした静けさが病室に残る。嗚呼、本当嫌いな雰囲気だ。
そんな静けさな雰囲気を壊したのが意外にも…。
❦𝑒𝑛𝑑❧
続きは反応が良ければ……(˙꒳˙