テラーノベル
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「ね」
「うん?」
「僕、死のうと思う」
「へぇ」
「いつ?」
「まだ決まってないけど、今年中には…って考えてる」
「ふーん」
「…」
「…」
「聞かないの?」
「なにを?」
「なんで死ぬの、とか」
「聞いてほしいの?笑」
「聞かれても答えれないからあんま聞いてほしくないかも…笑」
「じゃあ聞かなーい」
「問い詰めないんだ」
「君は問い詰めてほしいみたいだね」
「いやいや、そんなことは」
「なんで、聞かないの?って聞いたの?」
「言葉おかしくなっちゃってるよ」
「気にしないで」
「うん」
「母さんにも父さんにも、先生にもめっちゃ問い詰められたから」
「『なんで死ぬんだ』、『まだ未来がある』、『今は辛くてもいつか明るくなる』とか言われた」
「私にもそうやって問い詰めてほしいと言うことか」
「だから違うってば笑」
「そういわれちゃうのが普通だと思ったのに聞かないから、どうしてかな-って思っただけ」
「聞く意味ないじゃん」
「なるほど?」
「うん」
「死ぬのってそんな悪いことなの?」
「今から死ぬ君がそれを気にする?」
「悪いことはなるべくしないほうがいいじゃん…」
「例え悪いことだとしても死ぬのを辞めないでしょ」
「まぁね」
「それで…君は悪いことだと思う?」
「死ぬことも権利だし、絶対に悪いとは言いきれないんじゃない?」
「死ぬのが悪い場合もあるってこと?」
「うん」
「どんな時? 」
「さぁ?それはわかんない」
「そっか」
「一緒に死なない?」
「え」
「ん?」
「君も死ぬの?」
「え、うん」
「だめ?」
「悪いことだったら…君も悪い人になっちゃうじゃん…」
「別にいいよ、悪い人で」
「僕が嫌だ…」
「あははっ」
「君は死んじゃうのに、私のことを心配してくれるんだね」
「ともだちなんだから当たり前だよ」
「死に際まで友達思いな人は少ないと思うよー」
「そうなのかな」
「相当優しくなきゃ人の心配なんてできないでしょ」
「そんな優しくなくても心配くらいできるみたい」
「なんで?」
「僕はそこまで優しくないから」
「優しい人はみんなそう言う」
「君が一番優しい」
「私?」
「そんなことないよ」
「優しいよ」
「嫌われたくないだけ」
「それでも優しい」
「…ふふ」
「ありがとーね」
「うん」
「ついに来たかーーー」
「だね」
「いやー、私楽しみすぎて眠れなかったよ」
「死ぬことを楽しみって言う人は君以外いるかな」
「楽しみじゃないの?」
「楽しみ…ではない」
「ふーん」
「楽しくないことを積極的にやろうとするなんて変わってるね」
「そうだね」
「あ、最期にポテチ食べない?」
「いいね」
「なに味がいい?買ってくる」
「のり塩」
「ご馳走さまでした」
「ご馳走さま」
「さっ、飛ぶか」
「うん」
「最期に、手繋いでいてもいい?」
「可愛いお願い」
「いいよ」
「ありがとう」
「それじゃ いこ?」
「うん」
逝ってきます。
逝ってらっしゃい。
私もすぐいくね
うん。
コメント
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お、?