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︎︎⚠︎︎注意⚠︎︎
・ご本人様方には一切関係がない
・捏造、妄想要素が激しい可能性あり
・特徴を捉えきれていない部分が多々あり
・恋愛要素はないが友情的てぇてぇ要素が多い?
・【Potion Craft】というゲームをオマージュしている設定、名称が多い。
※GTAの役職も人物設定に関与している
・投稿頻度がノロマかつ不定期
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行ってらっしゃいませ!!
あれから数日、奇妙な毒の騒動は収束へと向かっていた。魔法陣の組み換えでマナの調整を可能にし、一般ヒールでも治せるようにするなんて所業を、あの2人は成し遂げてしまったのだ。
(本当に凄いなあの2人は。やっぱ叶わねぇよ。)
それでもポーション屋には、絶えず顧客がやって来る。元々体質的にヒールが合わない人、持病に響いて治りにくくなってしまった人など、事情は客それぞれだ。いくらヒールに革命が起きたからって油断は出来ず、そういう人たちの為にポーションは欠かせない。俺が治癒士になってやりたかったこと、ポーションを極めようと思った理由はそれが全てで、俺の唯一の存在意義でもあった。
「そういえば、ぐちーつが今研究してんのって【賢者の石】だっけ?」
「え、そう!この前レシピ買い取ったんだけど、よく見たらぱちもんでさぁ~;;」
「あのさ、王都の図書館にコレかも!?みたいな書物を見つけたんだけど、一緒に「行くわ。」……え!?」
「んふっ、食い気味だったなぁ(笑)」
「え、来てくれることあんだ!!」
「賢者の石って言われたら、そりゃ行くだろ。」
錬金術師としてかなりまともな回答をしたはずが、何故か2人は笑っている。俺からすればそれは嘲笑されているようで、何が可笑しい!?とキレ気味に返した。しかし、それはさらに2人のツボを押してしまったようで、独特な笑い声は加速していく。
(よく分からんけど、楽しそうならいいや。)
そう受け入れてしまったのが、良くなかった。
「うわ、今日【建都記念祭】じゃねーか。お前ら謀ったな?」
治癒士になってから初めて、数年ぶりに王都へやって来た訳だが、それが1年に1度の記念日となると久しぶりとは言い難い。街中が人で賑わい、これでもかと言うほど着飾られている。そう、俺は賢者の石にまんまと釣られ、王都の祭りに来てしまったのだ。
「なぁぺんさん、どうなんだ?」
「いや、久しぶりにどうしても3人で行きたくて!賢者の石はえっと、嘘だけど……。」
「……おいらっだぁ?なんで正直に言わなかった??」
「え?だって王都だし祭りだから人めっちゃいるし、お前絶対来ないやん。てか、今まで俺が正直に誘ってたけど「これからも店番。」つって毎回断られたし。」
ぺんさんの純粋な言い訳とらっだぁの鋭い正論により、俺の肩身は急に狭い。今の流れ的に嘘ついてごめん帰ってもいいよ、ではなかったのか。逆に帰りづらくさせられらてしまい、ため息をつきながらぽりぽりとこめかみを掻く。
「マジでお願い!!ぐちーつの欲しいものは、俺らが全部奢るから!」
挙句、そんなことをぺんさんに言わせてしまい、申し訳なくなった俺は、出店の端から端までを指差してにんまり笑った。
なるせにもなんか買ってくか、とらっだぁが言い出し、各々が散らばってお土産を選ぶ。建都記念祭では、交流の深い各所から商人が集い、様々な物が売られている。案外、賢者の石に関する書物が1、2冊ぬるっと手に入るかもしれない。そんな微々たる可能性を信じて回っていると、遠くから女性の悲鳴が聞こえてきた。その方向へ視線をやると女性の夫らしき人が倒れ、離れていても身体が痙攣しているのが分かる。そこにペんさんがいち早く駆けつけ、周囲の人に声を掛けていた。俺も行かなきゃ、と野次馬をかき分けて向かおうとすると、悲鳴をあげた女性、その近くにいた老人、俺の前にいた人など、次々に何かを発症して倒れていく。色んな所から悲鳴が上がるわ、その場からいち早く逃げようとするわ、であっという間に祭りどころではなくなった。しかし、市民がパニックに陥るその光景は、有名な亡者物語(ゾンビ映画)のようで、もはや別の意味では”祭り”と化していた。
倒れた者の多くは市民で、中には聖職者、俺らと同じ治癒士もいる。患者には黒い斑点模様が見られ、明らかに衰弱スピードが早い。ひと目で分かる、これはかなりの猛毒だった。毒源や毒の種類、与えた犯人などは分からず、治療薬を作るためにのこのこと採血もしてられない。大聖堂からの応援も恐らく時間がかかる、まさに非常事態だ。
「おいおい、どうする。この患者数を俺らで捌くなんて無理すぎない?そもそもどんな毒かも分かんないのに。」
「何言ってんだよらっだぁ、やるしかないんだよ!!俺は自分の命削ってでも、この人たちを救いたい。」
「うん、そりゃ治癒士として救いたいのは山々だけどさ……。どうぐちつぼ、俺らが救える見込みはある?」
「そうだなぁ。こりゃ〜もう……、猛毒と俺らの根性勝負だな!」
「こ、根性??」
要は、猛毒のダメージ量より回復量が上回れば良い、というなんとも無謀で脳筋な作戦だった。しかし、それを可能にする奴がここにいる。回復速度が異常で、広範囲ヒールが使えるらっだぁだ。
「はいはい俺ね!え、でもずっとは無理だよ?すぐ疲れちゃう。」
「いや、俺いつものポーションつって、らっだぁにちょっと違うやつ飲ませてたんだけど……。どう最近、マナ切れで疲れることなくない?」
「あ……確かに、ここ最近はマナ切れ起こさなかったかも…。え?マジやる、お前。」
「ほらねェ?つまり、そのポーションの効果で、らっだぁはほぼ無限にヒール使えるってわけだから頼むわ。」
「ワーーオ。」
「お、俺は俺は?ぐちーつ。」
「ぺんさんは……、別にこれといって飲ませてはない、けど。」
「……けど??」
猛毒を喰らって少し時間が経っているなら、全身を巡る途中でどこかに溜まっている可能性がある。そして、臓器が完全に毒で犯されてしまえば、らっだぁのヒールでもどうにもならない。そんな時、損失部位を復活させてしまうほどの、回復力が異常なぺんさんのヒールがあれば、正常な状態に戻せる。
「ただ、そんなのを何人もやってたらぺんさんの身体が持たない。そこを俺のポーションで補助するって感じやね。」
「そんなこと出来ちゃうの?俺のヒールで、全員救える……?」
「おう、絶対救えるぜ。とにかく、どっかでポーションを作らなきゃなんだが、大聖堂でもだいぶ距離あるんだよな……。」
「ぐっちゃん、俺ワープゲート作れるぜ。」
「キャーーー!!る、るせさんかビックリした。」
「……え、なるせくん!?なんで王都に?」
「いや、なんかこの前ぺいんとに付けた盗聴石から、困ってそうな声がしたんでね。」
「はぁぁー!?そんなん付けてたの!?」
「ごめんごめん。で、どうする?ポーション屋までひとっ飛びだけど。」
「ナイス!行こう!」
〈らっだぁ専用ポーションの作り方〉
→マナを溜める器を増大させる効果
①臼にマナポーションの材料を入れてすり潰す
②水の入った大なべに①を入れる
③大スプーンでかき混ぜる
④ ふいごを使って軽く熱す
⑤ひしゃくで水を足して微調整
⑥臼に増大効果ポーションの材料(炎の草、血のトゲ、悪臭キノコ、炎黄水晶)を入れてすり潰す
⑦大なべに入れてかき混ぜる
⑧月光の塩を少量加える
⑨ふいごを使って一気に熱す
⑩微量の冷却・保存魔法をかけたびんに移す
⑪コルクで栓をしてラベルを貼り付けたら完成
〈ぺいんと専用ポーションの作り方〉
→毒に犯された臓器を”視る”ことができ、ヒールの再生力を底上げする効果
①臼に魔法視力ポーションの材料(魔女キノコらミズハナ、メイジベリー)を入れてすり潰す
②水の入った大なべに①を入れる
③大スプーンでかき混ぜる
④ふいごを使って軽く熱す
⑤ひしゃくで水を足して微調整
⑥臼に再生ポーションの材料(ドロイドのローズマリー、テラリア、ヒーラーのヘザー、地黄鉄鉱)を入れてすり潰す
⑦大なべに入れてかき混ぜる
⑧太陽の塩を少量加える
⑨ふいごを使って一気に熱す
⑩ 微量の冷却・保存魔法をかけたびんに移す
⑪コルクで栓をしてラベルを貼り付けたら完成
「これをほぼ毎日飲まされてたんか。てか、お前のポーション相変わらず凄いな。」
「え……これぐちーつが作ったの!?俺の能力に合わせて特別に…マジもんの天才やん!」
そう褒めちぎる2人を見て、伸びていく鼻を咄嗟にしまった。【マナポーション】を念の為にいくつか手渡し、俺は彼らの大きい背中を押す。余すことなく人を癒し、自分の力を惜しまず使い切る、心優しいでけぇ背中。それを支え押してやるのが、最近増えた俺のもう1つの存在意義だった。
「さて、俺も補助魔法陣とか敷きまくちゃおっかな。」
「うぇ〜魔女が直々に!?贅沢だな。」
「実は、黒幕何となく目星ついててさ。同族だから、尻拭いみたいなもんよ。」
「そっか。るせさんはやっぱ凄い、尊敬だわ。」
「ははっ、そんなこと言ってくれんのマジでお前らだけよ(笑)」
大聖堂から応援が来る頃には、患者たちの症状は落ち着いていた。死者も出ず、俺たちは無事に修羅場を乗り越えたのだ。運ばれていく患者たちの顔色や正常な呼吸を見る度、底知れぬ安心感に包まれる。そして、いつの間にか溜まっていた疲労がどっとのしかかり、思わずしゃがみこむと、2つの手が差し伸べられた。
「お疲れ様、大丈夫〜?」
「ぐちーつ、早く帰ろ。今日は俺がハーブティ入れるわ!」
さらに不味くなるからやめて、という辛辣な言葉につい笑みが溢れる。2つの手を取り空を仰げば、辺りはオレンジ色に染まっていた。
「(帰ろう。ポーション飲めばすぐ治るんだろうけど、もっとちゃんと…ゆっくり休みてぇ。)」
「え分かる、記念祭もまともに楽しめなかったし……。あ、じゃあ隣国へ旅行とかどう?」
「うわアツっ!!めっちゃありやね、それ。」
「あれ?俺声に出してた?やべっ(笑)」
「普通に言ってたで。あ、てことはポーション屋さんはしばらく休業な。」
「そうしよう、ぐちーつここ最近めっちゃ頑張ってたし。俺も修道院休んじゃお〜。」
「え?とぅーん院長なのに休めんの?(笑)」
「俺より副院長の方が優秀だから、俺いなくても大丈夫っしょ。少しくらい休める、はず!」
「まぁぺいんと無理だったら、2人で行こうぜ。」
「だな(笑)」
「え、え、え、嘘だよね?嘘だよね??」
「──────(笑)」
「───!?」
王都から少し離れた場所に、ひっそり佇む小さなポーション屋さん。優秀な治癒士が営むその店は、知る人ぞ知る名店で、どんなポーションでも巧みに調合してみせる。さてさて、今日はどんな客がやって来るのか。
(カランカラン)
「こんにちは……。あの、ポーションを作って欲しくて。……えっと、ごめんくださーい?」
「はーいはいはいはい…。」
「あなたが、ここの店主さん……?」
「そうっすよ、えなんすか。」
「あ、いやあの事件を解決した偉大なお方だから、もっと年上かと。」
「おぉ〜噂を聞きつけて来た感じだ。」
「はい、久しぶりに復帰なさると聞いて、早速なのですが……。」
「お!」
今日はどんなポーションをお望みで?
コメント
6件
遅ればせながら最終話まで読ませていただきました、関係性や再解釈があまりにも素敵で噛み締めながら読んでました🙏 ゲームの世界観にVCRの彼らの設定をこうもキレイに再解釈して追加できるなんて…!と感動しきりです。 素敵なお話をありがとうございました😊

最終回の更新、ありがとうございます! ぐちつぼ、もしかしてこれは「これからも外」の逆バージョン...!? 楽しみに読ませていただきました、ありがとうございました!
やばいめちゃいい!!こういう疑問で最後終わる系めっちゃ好きなんだよな〜刺さる