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3 - 嫉妬と本音とコーヒーの香り

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2025年07月12日

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午後の空気は、いつもより少し重たく感じた。


わしはルカと手を繋いだまま会社の敷地を出て、コン○二でアイスを買って、ベンチに座っていた。ルカはチョコミント、わしはバニラ。会話がたわいもないもので、空気が軽やかだった。


「お前、あいつらにモテてんな」

ルカが突然そんなことを言った。アイスを1口かじりながら、にやりと笑っている。


「モテてるとか、そういうんじゃないよ。わしは、ただイタズラしてるだけ」

そう言うと、ルカはフッと笑った。

「イタズラにしちゃ、ちょっと本気に見えたけどな。…特にあの二人には」


わしは言葉を返さず、空を見上げた。昼の青空は何も知らない顔をしていて、眩しくて、ちょっとまぶたが暑くなった。


一方その頃、オフィスの休憩スペースでは、夢魔とすかーが珍しく2人きりで向かい合っていた。コーヒーの香りが漂う静かな空間。どちらも黙ったままだが、空気にははっきりとした緊張が満ちていた。


「……なぁ、夢魔?」

すかーが先に口を開いた。普段の関西弁も、今日は抑え気味だった。

「俺ら、たぶん同じこと思ってると思うねん」


夢魔はコーヒーを口に含んだあと、静かにカップをテーブルに戻した。


「ルカ、邪魔だな」

淡々とした声だが、その裏には確かな怒りと焦りがあった。


「佐藤、俺らがちょっと気を抜いたら、あんなヤツに持ってかれるような女じゃないやろ」

すかーが小さく笑ったが、それはどこか自嘲にも近かった。


「なぁ、すかー?俺たち、ちゃんと”伝えて”ないよな」


「……せやな、守ってるつもりで距離取ってたんかもな」


2人の言葉はどこか噛み合っていないようで、でも確かに重なっていた。


「今夜、奪い返す」

夢魔が立ち上がった。

珍しく静かな闘志が灯っていた。

すかーも黙って立ち上がる。


「佐藤が”本気”になる前に、な」


その夜、仕事が終わる頃、おふあの雰囲気は妙にざわついていた。ルカとわしは、さっさとタイムカードを切り、出入り口へ向かおうとしていた。


が。


「佐藤」

静かに呼び止めたのは夢魔だった。スーツの上着は脱いで、シャツの袖をまくっていて、いつもより砕けた雰囲気……それでも、目は一切笑っていなかった。


「少し、いいか?」

わしが言葉に詰まっていると、今度はすかーが隣から声をかける。


「佐藤、今日は俺と飲みに行こうや。話したいこと、あんねん」


ルカがすぐさま一歩前に出る。

「すまんけど、佐藤は今日、俺と約束してんだわ。部長も課長も、”業務外”の話はすんなや」


「”業務外”の話こそ、今しなあかんやろが」

すかーの関西弁が強く出た瞬間、オフィスの空気がピリついた


わしは真ん中で、ただ困ったように笑うしか無かった。

「やれやれ……」

だけど、ふと目が合ってしまった。

夢魔の切なそうな、それでいて強い視線。

すかーの、どこか諦めたような、それでも必死な表情。


ーーわしは、このままで良いんだろうか。

だけど、その迷いを断ち切ったのはルカの無邪気な笑顔だった。


「行こ?ネグちゃん。ゲームして、カプ麺作って、夜更かししよ?」


「うん、行こっか」


わしはそのままルカの手を取り、2人の視線を背にオフィスを出た。


その夜、ルカの部屋。

ゲームのコントローラーを握りながら、わしは何度も夢魔とすかーの顔を思い出していた。


「なあ」

ルカが、ゲームの合間にポツリと言った。

「本当にいいのか?」


「何が?」

わしは聞き返す。


「お前、本当は……」


「……」

わしは、コントローラーをそっと置いた。


そして、静かに言った。


「わしは今、”イタズラ”をしているだけ。でも、ずっとは続けられない。」


その言葉にルカは少しだけは寂しそうに笑った。

「そっか、…まぁ、せめて今夜は、ちゃんと笑ってくれよな?」


「うん」


わしはその言葉に、ふにゃっと笑った。

だけど、その笑みの奥には、明日には戻れなくなるかもしれない”何か”が、静かに灯っていた。

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