テラーノベル
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天楽°
71
781
#創作
ゆずき
193
バキバキバキ
木が折れるような音が響き、林の樹木が一本動き出した。幹にある三つの洞がちょうど顔に見える。え、怖い。
「何あれ!」
「トレントか、こんな街近くにでるなんて珍しいね」
「怖くないの?」
「んー」
バキバキという音がどんどんと近づいてくる。えーっと、かなり怖いんですけど……。
「リサ様、後ろに下がってください!」
ルードがそういうと同時に、トレントの大きな一枝がこちらに振り下ろされた。
「「風の精霊よ!」」
アリスとルードが同時に、魔法を発動し後ろへと跳んだ。私はアリスに抱き抱えられて難を逃れる。
アリスが数メートル多く後ろへと跳んで、私を下へと降ろした。
「リサちゃんはここに!」
そして、構えているルードの隣へと向かう。
うぅ、無力……。って思ってる場合じゃないよね。 何か起こった時にすぐ対応できるように、しっかり構えておかないと! 危ない時は、バレてしまってでも魔法を使う! そう心に決めた。
「ルード、ボクは火が苦手だから足止めに回る! 火の魔法をよろしく!」
「はい!」
そう言って、アリスはサーベルを抜きルードは杖を構えた。
トレントはもう一度大きな枝を振りかぶり、アリス達に狙いをつける。
トンッ
アリスが、空に跳び上がり、狙いを定められないようにリズムよく空を蹴っていく。
トレントの枝が伸びてくるより先に剣でザンッザンッと切り払っていく。剣で戦う彼の姿を見るのはこれが初めてだ。
華麗に空を舞うアリスを見て、私は達人の剣舞を見ているような気分になった。剣も強かったんだ……。
「火の精霊よ!」
アリスの翻弄に合わせるようにルードが炎の塊を数発トレントへ放つ。
何本かの枝葉に火がつくと、トレントは慌てたように暴れた。
バサッ
ザザザァァァーーー
トレントは燃える枝を自ら落とし、林の奥へと逃げていった。
「水の精霊よ!」
水の魔法で、燃えている枝をアリスが消火した。
「あーぁ、リサの魔力貰い損ねちゃった。彼の魔力もまあまあだったけどね。――でも、なんで呼んでくれないの?」
サラが突然、横に現れ耳元にフッと息をかけたので驚く。
「ひゃぁ」
「リサちゃん!?」
「リサ様!」
二人が駆けつけてくれる。すみません、何でもないです。
「あの、頭に葉っぱか何か落ちてきたみたいで……。すみません、大丈夫です」
ワタワタしながら、私は何でもない事を伝えると、彼らはホッとした表情を浮かべた。
サラ、いたずらはやめてー!
クスクスと笑いながらサラは続けた。
「次は呼んでね?」
フッと消えながら投げキッスを投げてきたので気持ちスッと避けておいた。なんで避けるのー! って聞こえた気がするけどきっと気のせいだろう。
うーん、次って言われても……、アリスと何かをしゃべっているルードを見る。彼がいると、使えないんです。……魔法。
次がないことを祈りながら、私は立ち上がった。
「トレントは大人しい魔物なのに何でだろうね」
「ですね、何か起こっているのでしょうか?」
えっと、あれが大人しい? 何かの間違いですか?
コメント
1件
第71話、読みました。トレントとの戦闘、迫力がありましたね。アリスの剣技が初めて見られて、あの華麗な動きには驚きました。達人の剣舞――まさにその言葉通りです。ルードとの連携も見事で、火の精霊と風の精霊を同時に使う息の合った戦い方に惹かれました。一方でリサの「魔力を使えない」というジレンマが物語に奥行きを与えていますね。サラのいたずらも良いアクセントで、クスッとしました。次が気になります。