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flw 様 1400 人 ありがとうございます 😖💘
1500人行けるかな 👀🎶
りうらの好きな人は超が付くほどに鈍感だ。学習面では頭が良い。学習面では。…なのに、恋愛とか人間関係になると急にどこか抜けちゃって、言葉足らずな時もあれば、行動が遅い時もあったし、他にも別になんで気付かないの!とはならないけど、まぁとにかく察しが悪い。
「ないくーん、今日一緒に帰ろー?」
「あ、今日日直だから日誌だけ仕上げちゃってもいい?」
「もちろん、待ってるね」
そう言って、教室から出ずにないくんの目の前の席の人の椅子に座る。クラスメイトだし、ここの子りうら自身も仲いいから許してくれるよね。なんて心の中で言い訳を述べてないくんのほうを見つめてみる。
…まつげ長いなぁ、肌白いし二重幅ぱっちりで鼻が高い。全部のパーツにおいて、完璧で羨ましいな…
「…そんなに見られたら照れる、えっち」
「ごめん〜」
笑いながらそう言って、目線をズラすと今度は後ろの黒板に意識が移る。でかでかと『卒業まであと4日!!』と書かれた文字と装飾された黒板アート。こんな文字を見ると実感湧かないはずなのに、どこか寂しくなるような感情に包みこまれる。
出会いと別れの春。今までの友と別れ、新しい友を探す季節。忙しく大変で、ストレスが大いにかかる1番しんどい季節かもしれない。でもこの季節があることによって今までの大切な人を見つけてこれている。
「りうら〜、帰ろ」
「あ、うん!帰ろ!!」
急いで鞄を手に取り、椅子から立ち上がる。あとないくんと一緒に帰れるのは何回かな。もう4回もないのかな、って考えると胸が苦しくなる。ないくんと同じ大学なのかどうかもわからない。りうらはビビりだからないくんにどこの大学に行くのか噂でさえも情報を手に入れることができなかった。
「もう卒業なんだね〜、早すぎ!笑」
「え、あと何日やっけ?」
「今日であと4日だから、実質もう3日じゃん」
「え、はや。大学やだ〜」
歩きながら他愛もない会話を続ける。ないくんがりうらの歩幅に合わせてくれて歩くスピードもずっと同じ。ないくんは紳士だからしっかり車道側歩いてくれてる。こりゃあモテるよ、現にここに貴方にメロメロな人がいるんですけどね
「え、お前俺なしで生きていけんの?」
「そりゃ、寂しいけど。別に、居ないから生きていかないとかそんなんはないし!」
なんて言ったらないくんは少しだけ目を見開いてその後ふっ、と笑みをこぼした。なんかりうらおかしいこと言ったかな…?
「寂しいんか、お前 可愛いなぁ〜!笑」
「んなッ!バカにしてる!?」
子供らしくわちゃわちゃ楽しく喋っていると、りうらの楽しい気持ちが伝染したのかさっきの楽しそうな表情をもっと楽しそうにして、ニコニコとこちらを見つめてきてくれる。
「りうらは、どんな大学行くの?」
「普通のとこ、偏差値も普通だし本当にド普通って感じのとこ」
別にりうらは主人公になることを望んでないから。人並みの幸せを手に入れて人並みの順調な人生を歩んで静かに居なくなる。それがりうらの望む人生だから、別に大学だって就職先だって普通のところでいいや。って思っちゃうんだよね。
…まぁ、一つだけ叶うのであれば目の前の貴方をりうらのものにしたい。っていう欲張りな願い事があるけどね。
「そっか、俺も本当に普通のところだからまぁ、一緒やね」
「え、ないくんは普通のところなんだ。」
「もっと偏差値高いところとか、ないくんなら行けそうなのに」
なんていうと、あー。って伸ばしてしばらく経ったうちに口を開く。
「別に、まぁいっかなってなっちゃったんだよね」
「俺、意外と寂しがり屋だし。」
言葉通り寂しそうに細められたその目を吸い込まれるようにりうらは見つめてしまう。ないくんが寂しがるほどの人って、誰なんだろう。…そりゃ、こうやって一緒に帰ってるからやっぱりりうらだったりしないかな。って期待しちゃったりするけど結局それはりうらがないくんのことすきだからっていう気持ちが思い浮かんで期待してる理由はそれのせいだよね、ってなる。
「…ふふっ、誰だ〜って顔してる。りうらと一緒に帰ってるのに誰かと離れることが寂しいって、その誰か、りうら以外に誰がいると思ってんの」
なんて、現実かどうか疑いたくなるほど嬉しい言葉がりうらに投げかけられる。それにりうらはなにも答えられず硬直してると、今度はその寂しそうな目が少しだけ、少しだけ憂いそうな瞳に変わる。
「りうらも俺とはなれること寂しいって少しでも思っててくれてよかった。嬉しい、ありがとうね。りうら。」
なんて言われるから思わず涙腺がどうにかなりそうだった。理性なんて切れて、今すぐにでもないくんに抱きつきたくなるほど彼への愛おしさがりうら内で込み上げてくる。
「りうら、こっち見れる?」
「…むり、ないちゃう」
「えー、りうらのお目々見てお話したいんだけどなぁ…」
声のトーンだけでもわかる、ないくん困ってる声色してる。でも向けないよ、ないくんとお別れするの寂しくて泣いちゃう。もっと困らせちゃうよ。
「…りうら、すき」
困らせちゃう、困らせちゃう、って悩んでる間に発されたその言葉。思考を停止してしまうほど衝撃的で喜びが込み上げてきて、幸福感で満たされる言葉。
「…ぁ、ごめん!なんも訊かなかったことにして…」
「むり、聞いちゃったもん。忘れるなんてむり」
「…ですよねぇ、…笑」
ないくんがせっかく勇気を振り絞って気持ちを伝えてくれたんならりうらも伝えなきゃ。
「りうらもすき」
「ないくんのこと、だいすきだよ」
end