ホークスの熱愛報道が出た。
すごく美人な女優との熱愛報道。
世間はすごく騒がしい。
『俺は恋愛する気ないですよ〜笑』
あの日の言葉を信じた私が馬鹿だった。
ホークスはかっこいいし、強いし、ファンサも欠かさないし、すっごく速いし、頭も良い。
いつかこうなることはわかっていたはずなのに。
「 …寂しいな 」
そう呟いた時。上空から風を切る音がした。
「 なんかありました? 」
にこにこしながら手を振るNo.2。
今日も本調子だ。
「 ホークス…!別になんでもないですよ 」
ほんとかな〜と言いながらこちらを見つめる。
全てを見抜いているかのような目だ。
「 でも寂しいって言ってましたよね 」
「 なんかあったんでしょ?話聞きますよ〜 」
熱愛報道が出たと言うのにヘラヘラしている。
本当にNo.2ヒーローなのかも怪しい。
心底腹が立つ。
「 …ホークスは恋愛する気ないんですよね 」
口走った言葉。もう巻き戻せない。
微かな動揺を悟られないよう、 淡々と呟く。
「 え? あー、そうですね!ないですよ 」
「 なら、あの熱愛はなんなんですか? 」
「 あの人と付き合ってるんですか? 」
驚いたような顔。驚くのも無理はない。
だって、〝そんな〟素ぶり見せたこともないから。
私の問いは流されたまま、 沈黙が二人を包む。
「 答えられないならもういいです 」
居ても立っても居られず、
苛立ちに任せて足を運んだ。
いつもならこんなこと言わないのに。
「 ◯◯さんっ、待って!、誤解です! 」
上下に肩を揺らしながら私を呼び止める。
きっと走って追いかけてきたんだろう。
「 誤解?腰に手を回してましたけど 」
「 こけそうになった所をたまたま助けたんですよ! 」
こんなヘラヘラしてるんだ。
きっと嘘に違いない。
「 どうせ嘘なんですよね、もういいですから 」
しつこいヒーローだ。
私なんかいらないならすぐ突き放してほしい。
「 本当です! 付き合ってなんかないです! 」
「 だって俺っ、…あなたのこと好きだから、 」
「 え? 」
この時、世界は一度動きを止めたと思う。
しばしの沈黙を遮ったのは彼の方だった。
「 あー…、かっこわる 」
その場にしゃがみ込むNo.2。
耳はほんのり赤く染まっている。
「 ホークス恋愛しないんじゃないんですか? 」
「 それは!、あなたがそういうの興味なさそうだったからそう言ったんです! 」
「 …まじで勘弁してください 」
不貞腐れたような、照れたような顔で、
そっぽを向いている。
「 私も好きです、ホークス 」
しゃがみ込んだ彼に手を差し伸べた。
握られた手がやけに熱い。
「 調子狂いますよ、ほんと 」
そう言いながらも彼の顔は笑っていた。
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