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今回、ミヅキさんの設定をお借りしました!

誠にありがとうございます!!(((o(*゚▽゚*)o)))♡




注意

日アメです!

アメリカ病み

死ネタ

アメリカ可哀想あり

史実には関係ありません

政治的な意図はありません


以上が大丈夫な方はどうぞ!


















「おらッ!金払ってんだからもっと良く泣けねぇのかテメェ!!」


「ひッ…..ごめっ、…ごへ”んなさ”ッ……」


「はぁ〜ぁ、イイな、そうだよ、初めからそうしときゃ良いんだ。さぁてと、あ〜、スッキリしたわぁ」


そう言って男は、この薄暗いパープルの部屋から出て行った。



嗚呼、あぁ、漸く解放された。

青く膿んだ脇腹の痣から鈍い痛みが腹中へ広がって、骨にまで響く。キラキラと高級感のある輝きを放つ金の装飾達が、己の汚さを強調しているようで、憂鬱とした気持ちが喉を絞める。俺は、必死にもがいてたどり着いた木製のサイドテーブルに置かれた、一つの手鏡へと手を伸ばした。先程打たれた時に出来た頬の赤みは痛々しいほどになっていて……。これではきっと客は取れないだろうな。

どうしよう、またおーなーさんに迷惑をかけてしまう。

どうしよう、どうしようッッ



罪悪感はやがて恐怖へと変わる。


『この出来損ないが!』

『奴隷のくせに』

『お前はもう用済みだ、せいぜい地べたに這いつくばってその薄汚い命で足掻くんだな』


「ぃやッ…..ごめんなさい、ごめ、なさっ…おねが、….捨てないでッッ」


殴られて、蹴られて、さんざ罵倒されたあの日々が、心臓を鷲掴みにしている。

おぼつかない呼吸を何とかしようと空気を吸えば、喉に何かがつっかえた様に塞がっていて、思うように肺に酸素を送れない。あぁ、喉の奥が焼けるように痛い。

目の前の天幕が、あの日の鉄格子に見えた。

手を伸ばせば、また鎖が鳴る気がして。

逃げられない。どこにもいけない。


___リカ。


__アメリカ!!


「ヒュッ….ハッ…..お、おーなーさ….?ぁ….やッ…ごめ”んなさ….」


「”オーナーさん”じゃなくて、日本で良い。とりあえず落ち着け」


「ヒュゥ…ヒュゥ….ハァ……ごめ、なさぃ…..」


「こういう時は、ごめんなさい、じゃなくて、ありがとうって言うもんだよ」


「….ありがと、日本」


「気にするな、呼吸はもう整ったか?」


「うん…..ありがとう……..」


優しく背中を摩り、俺の呼吸が落ち着くまで見てくれる男。

高そうな黒のスーツを身に纏う彼、日本は、「あぁ」と素っ気ない返事をするが、その顔は、今までの誰から向けられた顔よりも優しく、温かいものだった。


そう、唯一俺を「人間」として見てくれる彼に、俺は、叶うはずもない恋心を抱いてしまっていた。

______________________


いつだったか、数年前の、俺が初めてこの娼館に来た頃。俺はイギリスと言う男の奴隷であった。あいつは随分と自己中心的なやつで、奴隷は消耗品扱いだ。

俺はそんな奴にこき使われ、そして利用価値が無くなったと同時にここへ捨てられたのだ。

初めて見た時は、心躍ったさ。だってそうだろう?今まで奴隷として暗くて狭い独房の中を、他の奴隷達とぎゅうぎゅう詰めにされて寝入っていたのに、この場所では見渡す限り光る金の装飾がそこら中に散りばめられているのだから。男は良い服を着て、良い女を侍らせながら豪快にワインを飲み干す。女は、そんな男を煽てて良い酒を共にするのだ。

全てが夢のような光景だった。これからこんな、皆が笑顔に溢れるこの場所で働けるのだと、世間知らずな俺はそう思っていたんだ。

いや、本当は気づいていたのかもしれない。……ここが結局は、地獄であると言うことに。




「さっさと歩け、この不良品が」


「、いッッ….」


この屋敷の中でも特に荘厳な作りの扉を前にして、俺は思わず見惚れてしまう。すると、それに苛立ったイギリスに、先日焼かれた箇所を、その尖った靴先で嬲られた。


「ほら、何ぐずぐずしてるんだ。早くその扉を開けなさい」


どうせ奴隷の俺に命令を退ける力なんぞない。触ることを躊躇してしまうぐらいに綺麗に磨かれた扉のノブを掴み、押し開いく。



現れたのは、先ほどのホールとは打って変わって、落ち着き感のある執務室。___そして如何にもここのトップであろう男だった。


「こんばんは、イギリスさん。先日おっしゃっていた奴隷はその子ですか?」


「こんばんは、日本さん。えぇ、そうです。もうコレはスクラップも同然ですからね、どうせなら最後まで社会に役立たせてやろうと思いまして」


「なるほど…..見た目は___。」


きっと、俺の今後に関する話をしているのだろうが、俺はそれよりも、この夢と金を詰め込んだ様な光景に見惚れていた。机の上に置かれた高級時計に、高そうなインクと羽ペン。天井から吊り下げられる小さめのシャンデリアに、部屋の隅に置かれた水々しい緑の観葉植物。どれもこれもが、俺が一生目にすることはなかったものであろう。


「やぁ、君。この部屋が気になるかい?」


……俺に、話しかけたのか?


「何黙ってるんだ、これからお前の主人になる人の言葉が聞けないのか?」


イギリスがそう言って俺をはたく。思わず脚の力が抜けてしまい、俺はその場に倒れ込んでしまった。


「ぁ…..えと……..はぃ」


身体を震えさせる様な冷たい床に手をつけ、男の質問への返答をする。……何とも温かな笑みだった。白い肌に浮かぶ真っ赤な太陽から、頬に、指先にその赤みを伝わらせていて、まるで赤子の様に血色の良い男。

何とも優しそうで___。


俺はきっと、この時から日本の事が好きだったんだ。


______________________


「アメリカ、…..大丈夫か?」


ハッと気がつくと、目の前にはしゃがみ込んでこちらを覗き込む日本の顔があった。彼の吐く言葉は何処までも温かくて、まるで自分が自由に生きても良い存在なのだと、不相応にそう思ってしまう。


「ぇぁっ….うん、大丈夫!ありがとな、もう落ち着いたよ。それと…..また迷惑かけちゃって、ごめんなさい」


「謝らなくて良い。とにかく….もう落ち着いたな?」


コクリ、と軽く頷けば、日本は安心したように顔を緩める。俺の為に、ここまで心配してくるなんて。彼は本当に良い人だな。だからこそ、俺なんかが求めて良い相手なんかでは無いと知ってしまって。俺は、鎖だらけの箱にもう一つ、感情を押し込み、鍵の数を増やした。


______________________


次の日も、次の日も、俺の身体には幾つもの痣ができる。脚に、腹に、腕に、たまに顔にも。普通、娼館でここまで傷だらけになる事はあまり無いけれど、俺は男娼で元々そう言った人はあまりいないし、居ても金持ちな為、俺みたいな薄汚い元奴隷よりも値の張る男の方へと行く。あげく、俺には色気も無くて、けれどもここの誰よりも一層発作の強い為、ストレスの溜まった下級層の奴らが俺の元へ来るのだ。

こんな環境でも俺が文句の一つも言えないのは、この娼館のルールである「客は従業員に対して、死ぬような事以外の何でもして良い」と言う決まりのせいだ。それが嫌なら辞めるのが普通だが、俺は捨てられた元奴隷。辞めることなどできやしないのだ。

……いや、それで良い。それが良い。俺がここで働いている内は、おーなー…..。日本は俺の事をきっと見ていてくれるはずだから。案外、ストレスの捌け口を求めてやってくる男は多いし、俺は結構、叩くと良く鳴く玩具として巷では有名だから。だから、俺を指名する客は意外にもいる。だから、だから、俺はまだ、用済みでは無いから…..だから…..!!!

この気持ちはしまっておくから、だから。


「すきッ、すき….ッ、だいすきッなの….ごめん、ごめんなさい….にほん、ッ…..」


想うことぐらいは、どうか許してほしい。


______________________


今夜は実に綺麗な空だ。まん丸とした月が冷たい金色を放っていて、星々はそれに呼応する様に白銀に染まる。その中に一際目立つ赤の星が、アメリカと重なって見えてしまう。


「….アメリカ、か。奴隷にいちいち構うのはやめるって…..そう決めたのにな」


「アメリカって…..、オーナー、また仕事中に抜け出して、あの奴隷のところに行かれたんです?」


「別に良いだろ、…..仕事は終わらせてるし」


「だからって毎度毎度これだとこちらも困るんです!もう少し私の負担も考えて下さいよ!」


「分かってる、分かってるよ…..」


つい溢れてしまった溜め息が、静寂の広がる部屋では異様に大きく響いていた。


______________________


ある日を境に、日本が俺の元へと来なくなった。


「うそだ、そんな….日本にも見捨てられたら…..おれ、…」


じゃらじゃらと異質な金属音が耳を掠める。あの日の絶望から1人抜け出して、身分不相応な恋に酔い痴れる俺を責め立てる数々の同胞奴隷達の声が聞こえる。目の前で無惨に使い捨てられた、ボロ雑巾の様な彼らが。かつて同じ様に使われていた己が。

最低限の命を保障されたこの空間で伸う伸うと生きている俺が憎くて憎くて堪らないと。身体に刻まれた無数の打撲痕や、鞭打ち痕が、それらを幻聴から幻覚へと形を変えさせ、俺を絶望へと堕とすのだ。



嗚呼、最早彼にも捨てられた俺が生きている意味など無いに等しい。今も尚鼓膜を刺す鋭い幻聴に流される様に、俺はそっと首に手を置く。


「でも、やっぱり___すき…..なの。最期まで、….大好きだよ」


溢れてやまない想いを今すぐに消し去ろうと、手に込める力を強くする。もう意識が朦朧として、乱れた呼気は音を無くした。

涙に歪む視界の先で最期に見えたものは。

___真っ赤に燃え上がる太陽だった。










「アメリカッ….嫌だ、逝かないでくれッ!!俺は、まだ…まだ….。__言いたい事が、あったんだ…..ッ」


しかし、輝きを失った赤い星は、もう二度と、光る事はなかった。

この作品はいかがでしたか?

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コメント

6

ユーザー

うああぁぁありがとうございます!!!こんなにレベルの高い作品を読むことが出来てめっちゃくちゃ嬉しいです!!!♡私にこんな文才はないのでまじリスペクトです!!!✨️絶望の中の光が消えていくさまを表現するのが上手すぎる!!!!メリバとか死ネタ大好物なので、とても刺さりました…!!読むのが遅くなってしまい、申し訳ありませんでしたm(_ _)mこれからもゆきのまふまふさんの作品楽しみにしてます!!♡

ユーザー

うぐ……儚いっ!凄く儚いっ!それでも何故か未来があるような妄想をしてしまうんだ…!ほんとに何で!? 敬語じゃない祖国さんもこれはこれでいいっ!日アメのバトエンメリバハマりそうで怖いっ…!

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