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まだまだ10月初めだと言うのに辺り一面ハロウィン1色だ。どこのスーパーもコンビニもせっかちにも程がある。私自体は大してハロウィンに興味は無いのだが……。
「おい、これなんだ。」

「なんかすごいお祭りでもあるんですか?」


2人がココ最近ずっとソワソワしている。2人が楽しんでるなら、この浮かれた雰囲気も悪くはない。ハロウィンを知ってるか聞いても知らないらしい。2人して目を輝かせてこっちを見るから自然と頬が緩む。2人は元々まともな生活はしてなかったからか、砂糖が大量に使われているお菓子は高級というイメージがあるらしい。お菓子くれないとイタズラするなんて言ったら殺されるだろとこの前説明した時は言われてしまった。間違っているとわかっていてもいつか壊れると分かっているからこそ、今のこの平和を少しでも噛み締めていたい。なんて酷いやつなんだ、私は。


「ふふ、ハロウィンが楽しみだねぇ。」











「お菓子くれないとイタズラしちゃうぞ!」

「しちゃいますよ!」


勉強をしていて扉をノックされたと思って扉を開けたらこれである。ノリノリの2人を横目に、ヘラヘラしながら手を振る男子2人の嫌な顔が腹立つ。敦はまだしも一輝まで……。幸い、どうせ来るだろうと思っていたから何個かは用意してある。


「馬鹿どもめ、安心しろ。菓子はある。」


その言葉に凛がつまんねぇ!と顔をしかめる。こいつらのイタズラなんてまともに食らったら部屋が無茶苦茶になるに違いない。陽子までムスッとした顔をするから、残念だったな、と伝えておいた。敦も心なしか不機嫌そうである。クズどもが。けれど、私もたいがいクズである。こいつらは菓子を持ってきているのか、と考えてしまうあたり。


「……トリックオアトリート。」

「え?」

「だから、トリックオアトリート。菓子くれないとイタズラする。」

「えっ……も、持ってない。」


見るからに焦っている4人に笑いが止まらない。トリックオアトリートなんて言ったが、イタズラなんて大層なものは考えてなかった。だから、さっきあげたやつを没収することにした。その後は残念そうな顔をする5人を部屋に入れて、ちょっと雑談して、そのまま寝落ちして気づいたら朝だった。閉じ忘れてたカーテンから朝日が差し込んでくる。ほぼ同時に起きた一輝と顔を見合わせて、笑う。その笑い声にみんな起きて、見事に寝落ちしたな、とまた笑う。ふと、ドアに目をやると、長い髪をなびかせた前世の私がこっちを見ていた。口に目をやると、よかったねと口パクして、微笑み、消えた。こんな日々を平和と言うのだろう。そう思うと安堵する。


「ふふ、さて僕はそろそろ支度しに部屋に戻るとするよ」

「オレも〜」

「じゃあまた放課後!ですね!」

「ああ、またな。」

「うん!じゃあね!!」


4人が去って、部屋が静かになった。


「さて、私も準備するかな。」


今日も始まったばかりである。

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