テラーノベル
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マイナーカプの小話たちを詰めました。最初に百合があるので苦手な方はスクロールして、読まないようご注意ください
・親愛、今はそれだけで(露日⚠GL)
ガラス張りの壁から差し込む眩しい日差し
モスクワの空港の一角に、一際目立つ存在がいた
目鼻立ちの整った美しい顔、スラリと伸びる長い脚
表情筋が機能しているのか分からないと評されることもあるクールさ
どこを切り取っても”美しい”
そんな彼女がロビーで佇んでいると、視線の先から小さな人影がトテトテと近づいた
「あっ、ロシアさん!こんにちは!」
頭一つ下から見つめる上目遣いの黒
鈴を転がすような声
そして、笑顔の後ろで咲く幻想の桜
ああ、なんて可憐で愛らしいのだろう
「Привет、日本」
表情を緩めて、小さな体を腕に収める
柔らかくて甘い香りがする、力を入れたら崩れてしまいそうな、華奢な体
ぽすっ、と自分の厚い胸に顔が埋まった日本。みるみるうちに真っ赤になる顔は、まるでイケナイコトをしてしまったかのようだ
女同士で何を恥ずかしがっているんだか
チュッ
薄桃色の唇にそっと自分の唇を重ねる
時にして一瞬だったが、しっとり吸い付く柔らかい唇は離れきる最後までくっついて、数秒のように感じさせる
もっと、と強請られているようで。こんなに可愛いなら、もう一度…いや、何度でも奪ってしまいたい
「っ……!!?」
日本が、目を見開いて硬直する
その一瞬すらも、目を逸らさず見つめた
真っ赤に染まる顔はサクランボみたいで、美味しそう
「…え、ッあ…ろしあさ…」
「これがロシア式の挨拶だ」
「何を恥ずかしがってるんだ?ただの挨拶だぞ?」
「で、でも口にキスは…」
「大丈夫、親愛の証だ。私はお前のことを大事な友達だと思っている。だから、いいだろう?」
あくまでも、自然に笑ってみせる
これが”普通”だと教え込むように
「わ、私もロシアさんのことは大事だと思っていますが…」
「お友達同士でのキスは、その……恥ずかしい、というか…」
「…私とのキスは嫌だった?」
あからさまにしょげてみる
日本がこの顔に弱いことは調査済みだ
「嫌じゃ、ない…です……」
目を逸らしながら、震えた声で答える日本
そういう騙されやすいところも可愛いな
「ふふ、そうか」
「何度もやればそのうち慣れるさ」
もう一度、キスを落とす
耳が真っ赤になっているのが愛おしい
慣れてきたら、今度は”恋人のキス”を教えてあげよう
それまでにどうやってこの想いを伝えるかだが…
企む彼女の表情は、他の誰も見ることが出来ない、美しく甘いものになっていた
ロシアにおいて女の子同士の唇へのキスは割と一般的で親愛の証らしい(情報が古いかも)。てことは合法的に露日百合ができるってこと!?ってことで書いてみました。
ボンキュッボン高身長美女とふわふわかわいい系の低身長女子の挨拶甘々キッス見たいです…その文化知らなくて顔真っ赤にする日本(♀)へ見たこともない柔らかい笑みを浮かべるクールビューティロシア(♀)の絡みは良いぞ…
でも正直友達から急にキスされたらビビりますよね。私はハグでもビビります。昔はよくやられましたが未だに慣れません。スキンシップって難しいね。
・満員電車パート2
以前、「思いつき短編集」で掲載した満員電車ネタの続き?です。今回はちゃんと物語形式にしましたよ。
印日の場合
会社の帰り、たまたま出会ったインドさんと乗った電車は、いつも以上の、まさに”満員”
でも、これを逃したら、アニメのリアタイに間に合わない
仕方なく、無理やり体をねじ込んで乗車した
発車して、ガタガタと揺れる車両
それに合わせて、左右からぎゅうぎゅうと押される苦しさに、精神がすりへる感じがした
「ゔっ、くるし…」
「おっと……この混み具合、日本は慣れてないのか?」
「この苦しみは…いつまで経っても慣れません」
ふーん、と僕を見つめるインドさん
そういえば、インドの満員電車はこれ以上なんだっけ…
それに比べれば、日本の満員電車なんて苦でも無いのかもしれないな
そんなことをぼんやりと考えていると、インドさんが、何かいいことを思いついたような笑顔を見せた
「よし、スペースを作ろう!人波はこうやって流れを読むんだ。こう、少し斜めに身体を……」
「うわっ!?」
僕の腕を引いて、体勢を整えていく彼
すると、魔法のようにスペースができていった
「す、凄い…スペースが……ちょっとできてる!!」
「だろ?俺、満員電車歴は長いんだ」
「でも……」
目を伏せて、僕を再び見つめる
「……あと5センチくらい足りないな」
腕を掴んでいた手が、するりと僕の腰を抱き、グイッと自身の方へ引き寄せる
そのせいで、全身が彼と密着する形になってしまった
「うん。これなら二人とも潰れずに済むぞ」
美しいご尊顔で、にっこりと笑う
でも、僕はその顔をじっくり拝めるほどの余裕がなかった
いやいやいや!無理無理無理!え、インドさんの体温めっちゃ高くない!?
でも確かに、スペースはある……あるけど……
これ絶対……わざとじゃないよね?インドさん天然だよね???
……って、顔めっちゃ近っ!?
触覚、温もり、香り…
色んな情報が頭に渦巻いて、思考を鈍らせる
「…日本?」
黙りこくった僕を心配してだろうか
インドさんの大きな手が僕の頬を撫でる
「こういうの、日本じゃNGか?」
そして、申し訳なさそうに、凛々しい眉がしゅんと下がった
ああ、そのギャップは追い打ちだって…
「だ、ダメじゃない、です…けど…」
「そうか。なら良かった」
下げた眉がキリッと上がって、いつものように、明るく微笑むインドさん
どことなく、嬉しそうなのが、さらに彼の魅力を引き立たたせていた
「次はもっと広いスペースを作れるよう頑張るから、今日は我慢してくれ」
より強く、隙間なく密着するよう、逞しい腕が僕を包む
ふわりと香る、スパイシーで魅惑的な、彼の香り
完全にキャパオーバーな僕は、今日の夕飯はカレーにしよう、なんて考えしかできなかった
希日の場合
日が落ちていく茜色の電車の中
パンパンに詰め込まれた人の波の中で、暗い顔をしている日本
苦しみに呻いていたその時、何者かに後ろから抱きつかれ、ふわっと身体が浮いた
「えっ!!?なんで僕浮いて…!?」
「落ち着いて、日本。落ちたりはしないから」
背後から聞こえる、おっとりとした声
振り向くと、そこには、彫刻のような整った顔があった
「ぎ、ギリシャさん…」
「久しぶりだね、日本。会えて嬉しい」
ふわりと微笑む姿は、神を模した芸術品のよう
美しさに、何もかもを忘れそうになる
でも、眼下からの痛いほどの注目が、それ以上にいたたまれなかった
「…ギリシャさんって翼持ってたんですね」
「これは非常用。自分をさらけ出すようで嫌だけど…日本になら、いいかなと思って」
パタパタと上下に動く、純白の翼
綺麗だな……いや、そんな場合じゃないんだって
「あの…目立っちゃってるので、降ろしてもらえますか?」
「でも、そしたら日本…また苦しい思いするよ?」
「ここなら狭くないし苦しくないでしょ」
「それはそうですけど…」
騒ぎが広がったのか、僕らの真下に人が集まってくる
まずい、早く何とかしないと…
「…というか、翼持ってるなら飛んで帰れるのでは?」
「…確かに」
ちょうど駅に止まって、扉が開く
人波の上を並走するように、改札口まで飛ぶ僕ら
どうやら、ギリシャさんは僕を離すことを忘れてしまっているみたいだ
改札に着いた途端、ギリシャさんはそっと僕を降ろす
「……形式だけでも、通さないとね」
そう言ってICカードをかざすと、再び僕を抱え、ふわりと夜空へ飛び出した
満天の星に広がる、白の翼
僕をしっかり包む、細く強い腕
そして、僕を優しく見つめる、空色の瞳
神秘的ともいえる姿に、またもや僕は魅了されてしまう
神に見初められた人間というのは、こういう気持ちなんだろうか
神聖な空気を浴びすぎて、脳内が浄化されてるみたいだ。何も考えられくなる
ぼーっと、すぎていく街並みを上から眺める
でも、その景色はだんだんと知らないものになっていって…
あれ…これ僕の家の方じゃない。むしろ…真逆
ようやく目覚めた本能が肌を粟立たせる
「ギリシャさん…?これって今家に連れて行ってくれてるんですよね…?」
「そうだけど…だって、帰るんでしょ?“僕の家”に」
「……帰ろう。僕の神殿へ。もちろん、“君の部屋”は、とっくに用意してあるよ」
バサリと増えた二枚の翼が、僕を包み込んで、視界を奪う
真っ暗な世界で、小さく聞こえた穏やかな笑い声は、まさに神隠しのようだった。
コメント
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希日も印日も久しぶりに見ました最高です!!ありがとうございます! ところで貴方の小説を3次創作という形でイラストで描いてもよろしいでしょうか?嫌だったら気にしなくても大丈夫です 長文失礼しました💦
希日いい印日ーーーー供給過多で死にそうです!!!