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「ふう……」
疲労感たっぷりのため息が聞こえてきて、ベロニカは読んでいた本から顔を上げた。
ベロニカの部屋にあるすみれ色の花瓶に、庭師からもらってきた花を生けながら侍女姿のローズが再び深く長い息を吐く。
ローズからこんな風にため息を聞くのは、今日はこれで八回目。
その横顔はうっすらやつれているように見える。
ブラッド公爵家の廊下でローズとサイラスが話している場面を目にした日から、十日ほどが経った。
あれからサイラスはほぼ連日と言っていいほど、ローズに会うためにブラッド公爵家に姿を見せている。
ローズは屋敷を移動する道を変え、サイラスと顔を合わせないようにしているようだが、どういう嗅覚をしているのか、彼は必ずローズの前に現れるらしい。
その＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
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