テラーノベル
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地獄って言うのは悪いことをした人が死んじゃって罪を償う場所だと思ってたいた。
僕は死んだ…筈なのに。体の痛みを感じてパチ、と目を開ける。え、なに?ゴツゴツした地面に横たわってて、一体何が起こってるの!?と驚いて飛び起きる。辺りを見渡しても赤い空に瓦礫だらけ。何ここ何これ。流石の僕も焦っていたらコツコツと誰かの歩く音が近づいて来た。
「貴様が、新たに生まれた悪魔だな。」
そう言われた時に感じた事は、僕って実は人間じゃなくて悪魔だったんだ。と本気で驚いた。それからここが地獄だって事、悪魔は負の感情から生まれる事、そして破壊神と言う事を教わった。だから僕はちゃんと人間だったみたい。ちょっとだけホッとした。
ここが地獄なら、僕は悪いことをしたって思われたんだと思った。それはそれで別に良いけどね。
僕が辺りをキョロキョロ見回すものだから、何だと言われた。隠す事でも無いから素直に鬼とか居るのかと思った!と話せば「人間にはそういう考え方もあるようだな。ここは俺が拠点にしているのであって罪人を裁く場所ではない」と淡々と告げられた。
まだ少し幼かったから何となくだったけど、悪魔はたった今僕がなったことで存在してるって事が分かったし、破壊神って言う神様とも出会えたから、鬼だけ居ないというのが少し残念だった。もうちょっと夢見させてくれても良いのになぁ〜とむぅとする。
地獄の本拠地、悪魔を集めているらしい所に連れられた。それにしてもお空は真っ赤だからちょっと暗いし、さっきまでは道がガタガタで瓦礫とか色々落ちてたから歩きづらかったなぁと、一息付く。暫くここで待て。と言って廊下を進んでいく。見えなくなる程遠い道のりから誰かを連れてきていた。
ふわふわした白い髪の毛に、赤い瞳の子がむすっとして本を片手に持っていた。「ねね、君だぁれ?」と聞いても何も答えず僕をじっと見つめていた。見兼ねた破壊神… ボスにしようかな。ボスが言うには少し前に、ここに来た同じく悪魔だ、と。同世代ぐらいだろうと紹介してくれたらしい。
ボスは忙しいらしい。白髪くんに部屋に案内してやれと一言。すぐにどこか消えた。何が忙しいんだろう。地獄のテーマパークでも作るのかな。それとも破壊神だから瓦礫でも壊すのかな。と考えていたら白髪くんが「ここだ」と案内してくれた。
「ありがと〜!☆ねぇ、折角だし一緒に…」
話かけようとすると彼は僕に興味が無い見たいで、部屋に案内してくれた筈なのにもう居なくなっていた。まるで忍者みたいで、白髪くんに興味津々になる。
僕はその日から、白髪くんの部屋に、毎日話しかけに行くことにした。
「僕は”レローゼ”だって〜!よろしく〜!」
「…」
「ねぇねぇ、それ何読んでるの?」
「…」
「名前はボスが自分で聞け、キリッ…って!」
「…」
「んねぇ名前教えて〜?」
はじめはどれだけ話しかけても、無視を貫き通されていた。それでもめげる事を知らない僕は話かけた。それからも毎日、好きな物は?色は?食べ物は?と本を読む男の子のそばで毎日毎日話しかけていた。
何なら興味を示すのか、どんな事なら楽しいと思うのかを考える時が楽しいものになっていた。 地獄に来た方が幸せだなんてちょっと変わってるかもしれないけど。
そうしてある日、今日も来たよー!とドアを開けて入るとあまりにもしつこいと思われたのか、白髪くんは読んでる手より大きな本をぱたりと閉じて、こっちに顔を向けた。
「…うっとうしい、話しかけるな」
「………は」
これで諦めただろう、と思った男の子はまた本を開こうとした瞬間
「は……初めて反応してくれた〜!」
「これから何話そっか!?あ、それかぁ〜…一緒に遊んじゃう!?」
「……遊ばない」
「え〜?遊ぶの楽しいのに〜勿体ないな〜」
話しかけてくれたということは、ちょっとは興味を持ってくれたんだと認識して更に喋りかけるようにした。
そうするとこの日を境にちょっとずつだったけど話してくれるようになった。
「その本なぁに?おもしろい?」
「…知識をつけるために読んでる」
「そっかぁ〜…じゃあ僕も読む!横しつれーしまーす!」
言い出したら聞かないのを知ってるのかはぁとため息をついて、「騒いだら見せない」と渋々承諾してくれる。分厚い本を読みながらも僕の話を真面目に聞いてくれた。公園ではこの遊具が面白い、前に貸してくれた本面白かった、鬼ごっこしない?と以前に興味を持ってくれた話をベースにして遊びに誘ったり、楽しんで貰えるような話を一生懸命考えた。
今日もいつも通り、やっほ〜と軽く声をかけてこの子のよいしょと隣に腰を下ろす。
「こんなに話しかけてくるとは思わなかった」
突然そんな事を言われた。やっぱり相変わらず本に目を向けながらだけど。
「?今まで話しかけてくる子とか居なかったの?」
「大抵は無視すれば諦める。お前が変なんだ」
「そうかな〜?僕がそうしたいなって思ったんだもん〜」
こっちをチラリと一瞥して本を置く。
「……シラツチ」
「?」
「…名前だ。おれの」
その時、無性に嬉しくなった。名前を教えてくれる程仲良くなったってことだよね!?僕のお話楽しんでくれたのかな。てことは僕達は「お友達」かな。そうだったら初めての友達が出来たんだ!初めての友達がシラツチで凄く嬉しくなったのを鮮明覚えてる。
「そっかそっかぁ!シラツチかぁ〜!」
じゃあ「しらっち」だねぇとあだ名を付ければ変な名前で呼ぶなと言いつつも、その顔はつい口元が緩んだような笑みが溢れていた。
そうして、しらっちと過ごすうちに、月日が流れて僕は多分20歳ぐらいの年齢になった。今日はしらっちと何して遊ぼうか…くっくっくと笑っていると
「何を笑っている」
「んー?なーんにも〜?ところでボス、これどこ向かってるの〜?」
僕カレーパン買ってきたから食べたいんだけど、ボスがいきなり「付いてこい」なんて言うから。しらっちと食べる予定だったのに。後ろを付いて歩いていたらいきなりピタリと足を止めてたから驚いた。止まるときは止まるって言ってよね!と言おうとした時。ボスの足元に誰かが居るのに気がついた。
「貴様が新たに生まれた悪魔か」
ボロボロの服を着て、凄くやせ細って、栄養が不足して荒れた唇。死因なんてすぐに分かった。手とか小さいなぁ、腕や足は折れそうなぐらい細い。
どうして、こんな子が地獄に落ちるんだろう。
「飢えに穢れて地獄へ落ちたのだろう」
やっぱり、この子は餓死したんだ。…あれ?なんで僕、 こんなにこの子の事考えてるんだろう。何で釘付けにされたみたいに見てるんだろう。なんにも頭に刺さってないし、固定する場所も無いのに。
ボスが今、何か喋ってるのに、何を言っているのか全く頭に入って来ない。
「レローゼ、食料を」
名前を呼ばれて反射的にカレーパンを渡す。そのカレーパンを男の子へと渡される。
あまり手入れされて居ないはずの深緑の髪の毛は物凄く綺麗で。
「お前の飢えを我が………」
もうボスの声が、耳に届かない。鮮やかなオレンジ色が美しい、その瞳に囚われて、何も話せなくなった。
なにこれ。
しらっちと会った時こんな事になってない。
心臓の鼓動が早くなったりしなかった。
見惚れる事もなかった。
こんな、こんな事にならなかったのに。
どうして、どうして、どうして…
「…うめぇ、うめぇ…!」
あ、そっか。そうだったんだ。
僕は大切な友達に出会うために、この子と出逢うために 地獄に迎えられたんだ。この子の声を聞いた瞬間、運命だと思ってしまうほど、僕は、胸の奥から色々な感情がぶわりと舞い上がる。
この子の側に居たい。沢山食べさせたい、この子は何が好きかな、もし無いなら僕としらっちで一緒に探してあげたいな。
…この子はどんな子になるのかな。
どんな名前になるのかな。
ここが地獄なんて信じられない。だって今、天国に居る人達より僕幸せだよ?
「付いてこい」
あ、ボスが居たことすっかり忘れてた。ごっめん☆ 僕の時みたいにスタスタと歩いて行く ボスに、男の子が慌てて立ち上がる。するとぐらりとバランスを崩して地面に逆戻りになる前に、小さく細い体を受け止めた。
「だいじょーぶ?レロちゃんが連れてって上げるよ〜!☆」
「ぁ、ありがと…」
この子は靴を履いてないから怪我でもしちゃったら大変だよね、ひょいと軽く持ち上げれば驚いたようにうわと声を上げる。落ちないようにぎゅうと僕の上着を掴んで、ボスの方を見つめている姿は何だかワンちゃんみたい。
どうか安心してほしい。僕としらっちと、君で、3人で 面白く過ごせるよにしてみせる。
君が望む事ならしてみせる。
危ない目に合いそうになっても助けてみせる。
楽しく過ごせるようにしてみせる。幸せだってとびきりの笑顔で笑ってくれるような、そんな、君の居場所を 作るから。
「あ、そ〜いえば名前言ってなかったね!」
「マイネームイズ、レローゼ〜!宜しくね、ワンちゃん!」
コメント
2件
早速見れて嬉しいです!!🙇🏻♀️ レロフェンだし、文章を書くのも凄く上手ですね!!✨️ 満足度もあって最高でした🫶🏻次回作も楽しみです! flag熱がまた上がったので、私も時期に小説を更新すると思います…🙇🏻♀️