所詮人ってもんは嘘で塗り固められている。
俺もそうだ。
嘘で塗り固められた笑顔。
嘘の信頼。
俺がこう思うようになったのはいつ頃だろうか?
少なくとも兄妹や幼馴染みと仲が良かった頃は違っただろう。
いつの間にか俺は、強さに執着していた。
強いあの人についていくためなら何でもした。
でも、その執着すらも嘘だったのかもしれない
信仰、執着、あの人に尽くすたびに俺のなにかは悲鳴をあげていた。
気づかないフリ。
そうしたら、何でも乗りきれる。
だからッ!だから俺は!
無視してきた。
体が、心が、悲鳴をあげようとも。
第一話【馬鹿げた願い。】
「ハァッハァッ」
息をきらしながら俺は起き上がる。
たまに夢に出てくる。
《ハル兄!》
と笑いながら呼びかけてくる妹や
《春千夜!》
と遊びながら話しかけてかる幼馴染みの夢。
あの夢を見るたびに思う。
この頃戻りたいと。
でも、分かっている。
そんなの叶うはずもない願いなことや
自分でも笑えるほどの”馬鹿げた願い。”
と言うことも。
ガチャッ
「おはようございます。ニコッ」
いつものように王である首領に向ける笑顔。
「あぁ。」
それに対し素っ気なく返す返事。
ガチャッ
「おはよう。」
鶴蝶を始め、俺の5分ほど後に入ってくる幹部達
幹部達はトラブルがない限り会議が始まる5分前には会議室にいる。
あの灰谷兄弟ですらいるのだ。
「会議を始める。鶴蝶」
「はい。昨日、取引先との取引内容が敵組織に流出した。これは裏切り者と考えるのが妥当だ。そこで九井に調べてもらった。九井頼む」
「了解。これが怪しいと思った者達の資料だ。まず、A太、これは三途直属の部下の部下で当たっているか?」
「当たってるぜ。」
「そうか。A太、こいつは去年6月辺りに梵天に入った。その前の職歴が不明。こいつの同僚によると時々不審な行動をとるそうだ。電話が来たら必ず誰にも聞かれない場所に行くそうだ。そこで、三途、頼めるか?」
「おう。ちょっと鎌かけてみるな。」
「頼んだ。次に怪しいと思ったのは、コイツ瓦城千咒だ。」
ビクッ,俺だけでなく、武臣も反応した。
首領も多少反応したように見えた。
「あれ?そいつって確か梵の」
灰谷兄が言う。
「そういえばそうだったきがする。」
それに反応した弟の方も
「あぁ、そうだ。」
九井が肯定した。
だが、アイツには敵組織に流す理由があるのか?
いや、ないはずだ。
そもそもなぜアイツがここにいる?
…もし、もしアイツが裏切り者だとしたら…?
…殺すしかない。
殺したら…願いはもう叶わない。
いや、もう、叶わない…だって
1人の幼馴染みの場地はもう死んだ。
でも、場地の墓の前で3人で笑えば叶うかもしれない。
…起きたばかりに考えていたこととま反対な考え
でも…そんな馬鹿げた願いを俺は……
叶えたいと思ってしまった。
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