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私、みぞれは今、”めめ村学園”の校門の前にいた。
…まさか、私がこの学園に入学できるなんて…
この学園は基本的に入学試験で合格して、晴れて学園に入学することになる。
正直言って、私はあまり強くない。どちらかと言うと弱いほうだ。
けど特別にランダムに選ばれる推薦枠としてこの学園に入学することになった…というわけだ。
…いや、でも…私なんか弱いし、絶対卒業できるわけがない…どうしよう…
そう思っていると、突然校舎の方からドカーン!という音が聞こえた。
「ま、魔獣が来たぞ!」
ま、魔獣!?
魔獣というのは、魔力を持った動物のこと。中には厄介な能力を持つ個体もいる。
「…ぁ…ぁ…」
魔獣の姿を見た瞬間、私は恐怖とその圧倒的な魔力を前に、気を失った。
「………」
それに向かって拳を叩き込む。
…生きてる
私は吹雪を降らせる。
…死んだか、…………交代
「…!!…っ!」
「…!?…………!!」
誰かが私を呼ぶ声が聞こえる。
「…大丈夫!?」
ゆっくり目を開くと、二人の男女が私を見る。
「…どこか痛いところとかは…」
「え、えっと、大丈夫です…」
私がそう言うと、男の人のほうが「よかった…」と息を吐いた。
「…あの、あなた達は…」
「あ、名前言ってなかった!私の名前は柊鳴ヒナ!今日からここの一年生!」
「俺は柊鳴ルカ、二年生。」
「…私は雪白みぞれです。一年生です。」
「いやーびっくりしたよ!学校来たら魔獣とみぞれさんが倒れてるんだもん!」
ヒナさんが明るく言った。
「…あのさ、みぞれさん。」
「?なんですか?」
「…あの魔獣…みぞれさんが倒したのか?」
ルカさんは真面目な目で私を見る。
え…
「いやいや!違いますよ!そもそも私凄く弱いですし!」
私は顔横に振って否定する。
「…いや、でも…」
「というかみぞれさん、自分のこと弱いって言うんなら、なんで入学できたの?ここきついよ?」
「あ…それは…」
私は推薦枠としてここに入学することになったと二人に話した。
「あー…そういえば推薦枠もあったね。」
「…まあ、確かに。」
二人に納得してもらえて私はほっとする。
「…今学校から連絡があって、魔獣が出たから急遽入学式延期だって。」
「そっかー…じゃあこれから私とみぞれさんは学生寮に?」
「だな、俺はこれから色々対処しないとだからここで。」
ヒナさんと二人でルカさんを見送ったあと、ヒナさんが私の方を振り向いた。
「それじゃあ行こっか!」
「はい!」
「…生徒会長、よかったの?あの…雪白みぞれっていう子を入学させて。」
私、御前崎八幡宮 悠は生徒会長の方へゆっくり顔を向けた。
「一見、あの子は強そうじゃない。むしろ弱い、なのになんで…」
「…あなたも”一見”と言ってるじゃないですか、あなたの思ってるとおりですよ。」
生徒会長が窓に向かう。
「…あの人は強い。なにか強大な力を持ってる。…それが暴走しないように、能力をコントロールするために入学させたんですよ。」
…まあ建前だろうな
生徒会長が私の方を振り向いた。
「…それに、面白くなりそうじゃないですか。」
生徒会長…墓社めめが微笑みを浮かべてそう言った。