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初めて出会ったのは、放課後の公園だった。
夕日が街路樹を長く伸ばす頃
小さなブランコに1人で座っている子がいた。
足は地面に届かず、手には何も持っていない。
なのに何かぎゅっと抱きしめる姿勢で俯いてた
和臣はベンチに座る前にそっと声をかけた。
「こんな時間まで一人?」
少年は一瞬こちらを見て警戒心を露骨に顔に出した。
「…知らない人に話しかけられても無視してって言われた。」
「…偉いね」
和臣は笑って距離を取ったまま紙袋を開ける
「これ僕が作ったんだ。良かったら食べる?」
少年は目を細めた。けれど数秒の沈黙ののち、そろりと手を伸ばして袋を受け取った。
「…おいしい。」
「口にあったみたいで良かった。」
和臣は優しく微笑んだ。
それが少年とのはじまりだった。