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【Side】アン
― 今の電話、レオ君か? ―
『うん。多分、来てくれる』
― でも、大丈夫なんか? ―
『多分……え、大丈夫だよね?』
隣りにいるギルと、作戦を練るあたし。
このピアスは、顎の振動を使って声を出さなくても会話することができる。
だから、今のあたし達の会話は、全部無言だ。
「金目の物を出すんだ!!」
黒服の声に言われて、ギルは自分の首にかかった麻袋を握りしめた。
あの麻袋には、“六角形のルビー”が入ってるんだ。
あたしと同じぐらい、大切なルビーが。
「そこのお前。その握りしめているものを出すんだ」
「ちゃうちゃう、こらただの御守りや。こんなもんで腹は膨れんで」
「いいから出すんだ」
そう言われて、ギルは渋々麻袋を地面に置く。
「そこのお前も、首につけてるやつを置くんだ」
そう言われて、あたしもチョーカーを床に置く。
― やばいで。ルビー取られてもうた ―
『どうしよう、ギル……』
― とにかく、相手の意識を俺から逸らすんや ―
『が、頑張ってみる』
あたしは、ギルと作戦を練る。
やっぱ、このピアス便利だ。
後でマキにお礼言っとかなきゃだ。
「お前らの目的はなんや!!」
平次が黒服に向かって叫ぶ。
隣でギルは、黒服達にバレないように麻袋からルビーを取り出す。
「知りたいなら教えてやる」
そう言って、男は銃を、平次に向ける。
そして、告げる。
「あの世でな」
この間、約一秒。
「平次避けて!!」
あたしは平次に向かって叫ぶ。
そして床に置いたチョーカーを拾ってエメラルドを指でなぞる。
全神経をフルで働かせ、反射的に平次に向かって走る。
今は相手を、地に伏せさせることだけを考える。
多分、ギルも協力してくれるはずだ。
― モード:BEAST CHAIN 黒服の男たちを倒すんや ―
ピアスから、ギルがモードを使う声が聞こえる。
すると、野生のカラスや、犬たちが。
銀行の中に入ってきて。
黒服の男達を、襲った。
まるで、なにかに操られるように。
あ、ちなみに、モードがなにかは、後で説明するね。
カァン
銃を足で蹴り上げて男の首に手刀を落とす。
「な、なんや……?」
その端で呆然とする平次達。
それを横目で見ながら、あたしは動物達に襲われてる黒服に次々と手刀を入れていく。
― 数分後 ―
気絶した黒服達を縛り上げるあたしとギル。
遠くでは、平次が呼んだ警察がサイレンを鳴らして近づいてくる。
「すごかったなぁ! アンちゃん!」
「う、うん……」
少なくとも、平次に見られちゃったのは失敗だったけど……。
多分、なんとかなる。……なるよね?
すると、ピアスからノイズが聞こえた。
ジジッ
― 聞こえるか、ナノ ―
ギルとは違う声。
『どうしたの? レオ』
あたしの_相棒@バディ_で幼馴染、レオだ。
― 警察が近づいてるんだが、何をやったんだ? ―
『ちょっと、銀行強盗があって……』
― ……ハァ ―
ちょっと大袈裟にため息をつくレオ。
この様子じゃ、後でなが〜い説教になるだろうな。
『ギルぅ、助けてぇ……』