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僕は杉琴歌澄。皆京郷の中で初めての人間だ。まず皆京郷とはなんなのかを簡単に省略して説明すると、優しさがいっぱいある町、とでも言っておこうか。ここでは皆が楽しく過ごしていて、お互いに生き甲斐を探しあったり、またそれを発揮しあったりする場所だ。君たちの世界で言うユートピアっていうやつかな?犯罪も殺人もない素敵な町なんだなと思う。
いや、思った。あの日がくるまでは。
ある日、僕と朔葉お姉ちゃんはいつも通り寝る支度をしながら世間話を交わしていた。「あそこのパンケーキどう?」とか、「最近天気悪いよね〜」とか、何気ない会話に集中しながらゆっくり淡々と支度をこなしていった。すると急に外からいつも通りの(?)叫び声が聞こえた。僕は酔っ払ってるねこ(という名前のキャラクター)が叫んでると思って、特に気にしなかった。だけど次第にそれは数が増えていった。僕はそれでも、あたおかなねこが宗教的なものでもやってるのだろう。と窓を見て勝手に思っていた。だってよくそこら辺で寝てるねこが居るんだからしょうがない。まあ、犯罪率は極めて低いけど、変な奴はたっくさんいるけどね。そして叫び声が少し高くなった瞬間、窓になにかのどこかの身体の部位が弾き当たった。血飛沫と共にその部位は飛んで行って、窓をバウンサーにして地面に生々しい音を立てて落っこちた。僕が呆然としていたその瞬間、弾丸が窓を貫通し寝る支度をしている僕の右頬のすぐ側を通って壁にぶつかった。僕は朔葉お姉ちゃんと目を合わせ、武器、チャクラムを持って外に出た。
そこには悲惨な光景が広がっていた。ねことにゃんこの死骸とその体液が夥しい量重なっていた。月光で体液は不気味に光り、死骸の中にはまだ生きながらえているねこもいて、見るだけで背筋が凍る思いをした。そして朔葉お姉ちゃんが気配を感じたらしいから障害物の奥に隠れて、僕と朔葉お姉ちゃんの絆業で<セブンスサーマルチャクラム>を発動した。これは斬れ味が良いチャクラムで敵を探知し、そのまま突き刺す絆がないと出来ない業だ。そのままだよ。すると少し経った時、「んはぁっ!!」という何かの声と共にチャクラムとチャクラムを結ぶ糸に大きな振動を感じた。そして振動がした糸を手繰り、 チャクラムが刺さっているところを見ると、そこには僕より小さな子供の左腕と右足に貫通まではしなかったがチャクラムが刺さっていた。
子供の手にはピストルが小さく握られており、子供は痛みで涙と喘ぎ声を出していた。朔葉お姉ちゃんが近づくと、子供はそれに気づき強く当たった。「近づいてくるなっ!これ、お前らがやったんだろっ!」震える声とは思えないほどはっきり聞こえた。頭に血が上って血流が良くなったのか、左腕と右足から流れる血は少しだけ多くなった。そして朔葉お姉ちゃんがピストルを取ると、子供はまた強く当たった。「なにをするんだぁ!私の銃を取るなっ!返せっ!」朔葉お姉ちゃんはそんな事気にせず子供のポケットの中に入っていた弾丸を出し、ピストルに装填して子供の額に向けた。子供の顔はさっきの威勢いい表情から一気に青ざめた。「や、やめ…」子供は声が小さくなり、なんか全体的に態度も小さくなったような気がした。
朔葉お姉ちゃんが何個か質問をした。「あなた、名前はなんて言うの?」「えっ…でも…」「名前は?この小さな額に穴を開けたくないんだったら答えて。」と朔葉お姉ちゃんはピストルで額を軽く2回当てた。子供は痛みで涙が止まらない中、更に脅しまでかけられてもう降参状態だった。「えっと…茲許梓珠玖…です…」「へぇ。」朔葉お姉ちゃんはその梓珠玖という名の少女をじっと見た。そして朔葉お姉ちゃんが麻酔注射を取り出して腕と足に刺し、チャクラムをゆっくり抜いた。朔葉お姉ちゃんは包帯等の簡単な応急処置が苦手なので僕が包帯を巻くことになった。そして「あなた以外にも、こんな凄惨な事をする輩がいるの?」「…はい」元の悪い時代のお姉ちゃんみたいな口調をし始めた。そして僕が1つ聞いてみた。「君は、どうしてこんな事をするの?」「それは…」そして梓珠玖が涙をぐっと堪え始めて話した。
「私は異界調査隊員の一人で、私含めないで他に4人…いや、5人いるんだけど…私はまだ入ってから1年も経ってないの…この隊員の目標はただ一つ、その星の生物を全滅させること。私達はここからとても離れているピアコル銀河群の一つの惑星、サーグラ惑星郡に住んでいるの。最近そのサーグラ惑星郡が、おんだんか?によって住めない状況になりそうだった。だから住める惑星を探すたに、私たち異界調査隊員がはけん…?されたわけ…。」
その話を聞いた瞬間どこからか少女のような声が聞こえた。「その事情を話すなと言ったはずだ!!」僕と朔葉お姉ちゃんは声の聞こえる方へ目を向けると、梓珠玖の頬に直接付いているマイクのようなものからだった。「事情を話してしまったら、どうなるか分かっているな!!」と言われると共にマイクが時限爆弾のように時間を測りだした。朔葉お姉ちゃんが取ろうとするも、梓珠玖は震える声で話した。「これは死ぬまで取れないんだ。」僕は絶望したが、もっと絶望したいのは梓珠玖だったはずだ。朔葉お姉ちゃんはチャクラムを取り出して、「我慢してね!」という声と共に、マイクが埋め込まれている頬を切り裂き、マイクを引き抜いた。血と皮膚が摩擦によって爛れ梓珠玖が「うがぁぁっ…」という声を出した末、朔葉お姉ちゃんは僕にマイクを渡して投げろというジェスチャーをした。僕は思いっきり投げて、とても遠くに飛んだ。次の瞬間、目映い光が周りを光らせて、一瞬だけ昼が出来るほど明るくなった。そして大爆発した。付近の様子は焼け野原になっていた。梓珠玖は朔葉お姉ちゃんにくっついて歔欷きをしていた。
朔葉お姉ちゃんは梓珠玖について調べる為、僕は道路の死骸処理をする事になった。もちろん一人だと心細いので、純恋とコンピレートにも来てもらった。生々しい音が聞こえる中、ほとんど処理が終わったので、家の中に純恋とコンピレートもお邪魔してもらった。梓珠玖はまだ静かに泣いていて、朔葉お姉ちゃんは調理をしていた。純恋は陽気に梓珠玖に近づいて、「大丈夫?痛そうだね。治してあげよっか?」と言った。そしたら梓珠玖は目を輝かせて「お願い…」と言った。純恋は包帯を剥がすと、爛れて焼き跡が付いた頬を見て、「こりゃ難しそうだね…」と呟いたが、手をかざして待つと、緑色の光が頬を覆った。「この状態でちょっとだけ安静にしててね!」と純恋が言うと、梓珠玖はこっくり頷いた。その間に料理が完成したので、僕は配膳した。治癒が終わって純恋が手をかざすのをやめると梓珠玖はそのまま寝てしまった。すると急にコンピレートがスカートの中に手を入れた。純恋が困惑するなか、コンピレートはなにかを探るような感じだった。コンピレートはなにかを握って取り出した。すると戦利ナイフが出てきた。僕はナイフを見てもなんとも思わなかったが、純恋はまた困惑していた。その時梓珠玖が起きて、慌ててナイフをコンピレートから取って、背中に隠した。「ちょ、ちょっと!私のスカートの中見たなっ!?」「いや見てはないけど…」とコンピレートが返した。そして朔葉お姉ちゃんが梓珠玖へ「その服装じゃ寝づらいんじゃない?寝巻きに着替えて寝た方が良いよ。」と言い寝巻きを渡した。梓珠玖は初めて見るような顔をして、着替えようとしたが、「み、見るなよっ!」と言って物陰に隠れた。
出てきた梓珠玖の姿は完全に女児そのもの。さっきまで銃を構えていた子とは思えない程…可愛い。そして純恋とコンピレートは帰る支度をしている中、梓珠玖と朔葉お姉ちゃんは先に布団の中に入って、僕は純恋とコンピレートを送る事にした。帰り際、梓珠玖の「あと4人…いや5人いる」という言葉が少し引っかかった。送り終わり、布団に入ったが、朔葉お姉ちゃんは完全に寝ていたので、僕も寝ることにした。10分くらい経っただろうか。左腕を引っ張られた。その方向を見ると、寝れてない梓珠玖がこっちを見ていた。「怖い…寝れない…」そんな風に小声で呟いてきたので僕は寝かしつける事にした。胸辺りをゆっくり叩いてあげて安心させる安直な方法でやっていたら、気づいたら寝付いていた。
僕もまた寝ることにしたが、いつもより虫の声がよく聞こえるような気がした。明日はこの事件をフロントバースに報告しないといけない。話によれば残り4、5人が不法侵入してるってことなんだからね。国にとっては困るものだろうからね。