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身体中が痛む。

血が流れすぎた為か、視界はぼやけている。

痛みが辛うじて、私の意識を保ってくれている。


一体どれくらい時間が経ったのだろうか。

私はあれから防戦一方だ。

銃を向ければ神速の拳や脚が襲い、回避に集中する為相手の隙を見つけることさえまま成らない。

しかし、気づいたこともある。


ひとつ、奴の突進は発動にクールタイムが必要であること。硬質化をした身体は、一度硬質化を解除しなければ再び硬質化はできないのだ。

ふたつ、全身の硬質化は不可能。もしくはリスクがあること。硬質化をその都度解くならば、全身を硬質化してしまった方が早い。それをしないということは、「できない」「やらない」と考えるのが妥当だろう。

みっつ、奴は己の手で私を下そうとしていること。周囲を囲む輩はよほどきつく言われているのか、一切手を出そうとしない。私の異能の特性上、多数対1になればかなりキツかった。

とはいえ、気づいただけではどうにもならない。


「おいおい、避けてばかりじゃねぇか。お前からかかってくることはねぇのか?」

「何を。あなたが強すぎるんですよ」

「嬉しいことを言ってくれるねぇ」


1つの賭け。

自分にはそれに賭けるしかない。

しかし、そも賭けに乗るかどうかも分からない。

思案しながら私は銃を上へと向けた。

そして、一発。二発。三発。


「なんだ?お仲間でも呼ぶのか?」

「残念ながら本日は全員出払っていますので」

「降参ってことか?…いや、お前に限ってそれはないか」

「…いいえ、降参です。依頼人を離しなさい」

「へいへい」


男が視線を向けると、依頼人を掴んでいた男は手を離し、指輪を投げた。依頼人はホッとした表情を浮かべるも、私の方を不安そうな目で見る。それはそうだろう。己のせいで1人の人間が死にそうになっているのだから。


男は無防備に、警戒をしながら、ゆっくりと、大股で、ため息をつきながら、目に歓喜の色を馴染ませて近づいた。


「安心しろ、殺しはしねぇ。だがな、俺の目の清算はしてもらう」

「…」


男が手を伸ばした。

1メートル。

70センチ。

40センチ。


「ところで、あなたは異能力を進化させているのが自分だけとは、思っていませんよね?」

「あ?」

「あなたは以前よりも硬く、速く、強くなった。現に私は手も足も出なかった」

「何を言って」

「あなたは、私が銃しか使えないとは考えていませんね?


20センチもあれば、十分私の間合いだ。

私は確かに銃を多用している。

それは私の筋力がないからだ。

故に、それを補う為に武器を使っている。


でもー銃だけとは言っていない。


人間の体力は無限じゃない。

それは異能も同じだ。

連発すれば、自ずと次に使用するまでのラグが発生するだろう。


懐から、外に出る前に仕舞っておいた獲物ー社長から渡された小刀を取り出す。いざと言う時の為の保険。国木田先輩から、武器の仕舞い方を習っておいてよかった。


それを、小刀を私は、男の首へと突き立てた。

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