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あぁ危ない。もうちょっとで問い詰められるところやったわ。
「はーい席ついてー。朝の会やるぞー」
怠そうに司会をする先生、猿山らだお。
どこを見てるのか分かりにくくて、感情が読みにくい。第一印象がそれやった。
実際気づいてるのか気づいていないのか分からん。もし気づいてても、絶対踏み込ませないけど。
視線をやった窓の向こうは酷く澄み渡っていて、なんかムカつく。
寝てたらいつのまにか学校も終わっていて、塾や習い事に通ってる奴らは駅の方へ歩いて行く。
「ゾム行くでー」
「あいよー」
ぼーっとしてた俺の腕を引っ掴んで歩き始めるロボロ。そこ、切り跡あるんやけどなぁ。まあええわ。
いつものように遊んで、駄弁って、お菓子食べて。
俺はお小遣いないから何にも買えないけど、みんなちょっとずつくれる。
ええ奴らやわほんまに。まあ絶対言ってやらんけどな!
結局時間ギリギリまで遊んだ俺らは、そのまま帰路に着いた。
体力を消費し尽くしたせいか、くぁ、と欠伸が漏れる。
「じゃあな、ゾム、ロボロ」
「また明日な!」
「おん。今度は宿題やろーな」
家の方向が違うトントン、大先生、シッマとはここでお別れ。
ロボロと二人っきりになって、無言になる。
いつもはゲームの話して、学校の話して、家の話して・・・・
でも今は何だか、口を開くのを躊躇ってしまう。
「・・・・・・なぁ、ゾム」
「な、んや?」
「学校楽しい?」
「え・・・、おん、」
何でもないような質問にあっけらかんとしながらも答えると、ロボロがこちらを振り向いた。
赤い夕日が反射して、メガネから覗くピンクスピネルがきらりと輝く。
「ならよかったわぁ」
「何で、急に・・・」
にかりと笑った口が開かれる。
「何でって、ゾムがちょっとでも幸せになれたらなぁ、って」
「・・・・・・ぇ、」
どくん。
バレた?いつ?口を滑らせた覚えはない。怪我を見られた?
最大限に思考回路を働かせて、何とか弁解に持っていけないかと考える。
いや、今は変に言い訳するよりも。
「・・・・なに急に変な事言い出すねん!俺は毎日お腹いっぱいやで」
どう?バレてない?
ロボロの反応を伺うように前のめりになると、眼鏡の奥がさらによく見えた。
「・・・、それもそうやなwお前はいっつも楽しそうで羨ましいわぁ」
「ポジティブじゃないとやってけへんで、このご時世」
「じゃあテストも頑張ろうなー」
「ぅ、それ関係あらへんやろぉ!」
何か考えるような素振りを見せた後、こちらを向いていつものように軽口を叩くロボロに少し驚いて、それから安心した。
此奴、結構勘いいからな。
さっきまで重たかった口が嘘かのように、いつも通り喋りながら家に向かう。
「じゃ、ゾム。・・・・・また明日」
「おん、じゃーな!」
別れ際にどこか悲しそうな顔をしたロボロは、こちらに背を向けると走っていった。
・・・・なぁロボロ。俺、楽しいで。
やから、そんな顔せんといて。
心の中に本音を押さえ込んで、すくむ足を動かして家に入った。
◇
「欠席確認するぞー。いないやついるかー」
今日も今日とて眠い朝。
だるい体を動かして出席簿を捲る。
「せんせー、ゾムおらへん」
「んー?ほんとだ。誰かゾムから連絡来てる?」
30人余りのクラスを見渡しても、誰も手を挙げない。
「寝坊か体調不良だろーな。後で確認しとくわ。はーい朝の会おわりー」
ぱたんと出席簿を閉じて、教室を出た。
有事じゃない限り、欠席の連絡は朝の会の始まり8時までにしなければならない。
あそこの親、ほんと適当。
前に三者面談の時だって、どうでもよさそう、で・・・・?
ぞわり、と嫌な予感がして、職員室へと向かう足が止まった。
青鬼だと称される俺が感じた気配。
「ゾム・・・?」
答えるように、風がひゅうと吹き付ける。
もしかしたら。もしかしてだけど。
1時間目に授業がないのをいいことに、学校を抜け出した。
◇
忙しくて投稿遅れましたごめんよ
数日立て込んでるのであんま書けないんすけど許してクレメンス。
どうせ書かないので♡設定しません