。
「 俺が死んだらどうする ? 」
「 どうもせーへんよ。 」
「 そらそっか 。」
。
泣き叫ぶとでも言えばよかったのか 。
悲しいとでも 、「そんなこと言うな」とでも、言えばニキはまだここにいてくれたのか。
何千回、何万回と伝えられた愛に俺は幾つ答えただろうか。
「 ぼび ー ! ! 今日もよろしく。 好きだよ。 」
「 お前は いつも通りだね 。 可愛いわ。 」
「 愛してる 」
「 好き。 」
そんな言葉が頭を支配する。 もう いないのに。 いつもあいつがいたソファに目を向けても、 こちらを見て笑ってもくれない。寝ている訳でもない。
あいつは 、死んだ。 正確には死んだわけじゃない。 居なくなった。
「 捨てられた。 」
そう、実感したのは ニキを探し続けては 3日目の 深夜だった 。毎日毎日 夜遅くまで 駆けずり回って アイツを探した。
どうしても 諦められなかったから。
「 お前はほんと、俺がいないとダメだね。 まぁ俺もお前がいないとダメだけどさ。 」
「 ずっと一緒だよ。 」
こう言ったんだ。告ったのだけは俺だけど、俺も愛してるニキは。俺にそう言った。
ずっと一緒だと 、 約束したんだ。
ニキと俺は、永遠に相棒で恋人だって 、誇らしげに語る お前を俺は横で見てた。
寂しがり屋な俺のために、 俺が拒否したって一緒に 寝てくれた。
もう ひとりじゃ寝られない。
「 愛してる 」
「 ぼびーは ?」
「 そっかぁ。 」
「大好きだよ 。 」
「 一緒にいてくれる? 」
「 いつか 結婚しようね 」
「 キスしていい? 」
「なんでよ。」
「 恥ずかしい んだ?笑 」
あいつの声ばっか。 静かなはずなのに、煩い。
おれは、 ニキの愛に 応えられなかった。
気持ちだけなら、あいつより大きい自信さえあった。
どうしても 口から出ない。
出したら飽きられる。解釈違い ?
嫌われるかも。
あいつをすきになればなるほど、 俺は 言葉を言えなくなった 。
俺はずっと ニキのために生きてた。
ニキが喜んでくれる服を着て、メイクをして。 なるべく 整形もしてない。
「ニキの俺」という気持ちがいいステータスを失わないように頑張った。
「 愛しとる」
って、 寝てるニキに何度も言った 。
ニキが居ない時に 写真に向かって何度も零した。
笑顔が少ないと悲しむから、 恥ずくても 笑う練習だってした。
ニキの愛を、取りこぼさないように必死に拾って、 夜 緩む頬を必死に隠した。
出ていく前、 悲しそうな 顔をするにきに、 俺は 「大丈夫 か」の一言も言えなかった。
深夜に 、少し寒くて目が覚めたら アイツがいなくて。 トイレかと 思い寝ようとすると、少し 物音がした。
嫌な胸騒ぎに 、急いで玄関に行った。
俺の知らない服で 、 俺の知らない表情をして 、 俺の知らない 鞄で 、俺の知らない 目をしてた。
「 にき ゛ っ、? もう夜 、 遅いんやけど。どこ行くん? その服、買ったん?」
ニキのことなら全部知ってるはずなのに。
「 妙に勘が いいんだね。 ばいばい。 」
ニキが俺に背を向ける。 どこかに行く時は、いつも キスをしてくれて、 場所も帰る時間も伝えてくれた。
俺は多分、今迄でいちばん不安そうな顔をしただろう。 それを、 ニキは無視した。
まだ、 死亡ニュースはないから、ニキは生きてる 。
ニキは、生きてる。 そう思って毎日探してる。
あいつが俺を捨てるわけない。あいつが俺を嫌いになるわけない。あいつが俺に、飽きるわけない。
全部が願望だとしても 、 俺は縋り続けたい。
2年ほど、たったと思う。
もうきっと俺は俺じゃない。生きる意味が無い。あいつは見つからない。
「 ぼび … ー、? 」
海 を見つめていたら 、後ろから 忘れるはずのない声がした。
急いで振り返った。 最後にでも、 見るだけでもするために。
「 そんなに 、痩せて 。 」
困ったように眉を下げて笑うニキに、俺は涙が溢れた。
ニキは幸せそうだったから。女といたから。
腕を組み 、 女は ニキを急かす 。
「 置いてきたっていう 元カノ? 男なの ? キモ くない? 」
ぐさ、っと 心に刺さる 。気持ち悪い。あぁ、そうだ俺は今気持ち悪いんだ。
どうしても耐えきれなくて 、 なんども 手首に薔薇をさかした。 足も手も、今は もう 、綺麗じゃない。
まぁ見えないだろうけど、 長袖だし。
ただ、痩せてくまのあるおれは、どう考えても綺麗じゃない。
綺麗なニキは変わらなかった。 ただ、俺に向いていた愛情は、笑顔は、もう俺のものでは無いと わかってしまった。
「 キモイと 思われるから、言わんでおく。 」
「 付き合ってくれてありがとう 。 男の俺が 愛してごめんな。 」
なにか言おうとするにきはもう見えなくて 、 ただ一心不乱に走った。 走って、走って。 妙な浮遊感を覚えたとき、もう俺は 解放されるんだと、 何となくそう思った。
「 俺は 、!!お前が、俺の事嫌いなのかと思って ゛ っ、!!」
死んでないと思ったら、上から 大声が聞こえる。
「 んなわけないやろ ゛… クソ、゛」
もはや、 これはもう上には上がれない。痛々しい跡だけがニキにバレて。
「 一緒に行く 、ならおれも、 捨てたぶん。 一緒にいよう。 」
俺の手を握りしめ、 深呼吸をしてから ニキは落ちた。
2人で、急速に変わる 背景を少しだけ見たあと、 花火のような音を立てて 。
コメント
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重くて全然描きたいの書けませんでした