この世界には「呪空」が流れている。
それを練ることによって様々なことが可能
になる
それを利用して芸をする者や
犯罪を犯す者
規律を守る者
まぁ、色んな奴がいるものだ。
だが、そんなことをしているヤツを
見ることが俺のストレスだ。
この世界において呪空を練れない
人間は少ないが、存在する。
だがそんなやつは親から絶縁されたり
学校で悪質ないじめに遭遇したり
周りから人権を軽視されたり、軽蔑
されたり。
小さな町では呪空を練れない者を
生贄として、村の存続を神に促す
「小者犠牲儀式」
というものがあるそうだ
各国は一応そんな人間を保護するための
法律や憲法を作ることを義務として
いるが、本心はどうなのか。
所詮は小者としか思っていないのだろう
憎んだ
悲しんだ
親を
周りを
教師を
政府を
だから俺は修行を重ねに重ねている
重ねすぎて、最近では俺を呪空で
ねじ伏せられた人間は一人もいない
どうでもいいんだ
俺がいくら酷い扱いをされていても
自分が幸せなら
他人を見捨ててもいい。
それが世界共通の考え方であると
自分に言い聞かせたものだ
今思えばとんでもない思考のガキ
だったと思う。
ちなみに、呪空を使って何かをすることを
呪攻という、もはや「呪」という言葉すら
憎い。
今は22歳、適当な都市に寄生して
適当に呪空を練れない小者というのを
隠して仕事をしている。
カフェの仕事をしているが、呪空を
練る瞬間は無いので天職だ。
もしかしたら俺と同じ奴が働いている
かもしれない。
俺は15の時、村の人間を皆殺しにして
村を出た。
俺以外が全員呪空を練れる村だった
その中でも異質な存在、「小者」
村の人間からは軽蔑され、貶され
暴力を受けたものだ
親から受けた暴力は特に酷い
足の健を切られたり、呪攻の実験台に
された。
だが、そんな俺は村の中でも異常に
運動神経が優れていた
視力、反射神経、握力、発想力は
常人の約4.5乗
これがなければ俺は村を無人にすること
など出来なかったかな。
ひたすら耐えるしか無かった12歳
その中で俺はある事実に気づく。
呪空には流れがある
そこで俺は思いついてしまった
先程話した運動神経の話は、その
思いつきを補佐するものに過ぎない。
「呪空に流れがあるのならば、乱せば
使えないのではないか?」
その時の興奮は今でも忘れられない。
だがその乱す方法を開発する必要があった
その村でも当然小者犠牲儀式はあった
だが、行われる年齢が決められており
20歳になった日に行われると決められて
いた。
8年という期間の中でその術を開発し
村を壊滅させる必要がある。
「ぶッッッ殺す」
冷たい冬の馬小屋の中で
そう呟いた12歳の夜は今でも
忘れない。
小さい村と言っても俺以外の全員が
呪空を練れるという状態
生半可な覚悟と技量では押し通せない
ものがあった。
そこで俺は親の目を盗み、技を開発する
ことにした。
さらには肉体の強化、体力の増幅
ただでさえ足りすぎている技術を
さらに磨き、技の開発に拍車をかけた
13歳で段々と現実を見た。
村を壊滅なんて、無理だ。
俺みたいな呪空を錬れない人間…
そこでハッとした
村の人間は俺のないものを持っている
だが、俺もまた村の人間が持っていない
物を持っている。
それをどう使うかは俺次第だ。
必ず腐った現実をぶち壊す
思い出したくは無いが、そんな俺が
特に思い出に残った13歳の7月のことを
話そう。
「…っっふぅ…」
朝だ
親からは学校に行くなと言われている
することはただ一つだ。
村破壊の計画と肉体、技術の強化だ。
計画を思いついた12歳の冬から数ヶ月
経った今の7月
その中で分かったのは、呪空は
季節、湿度、温度、気圧によって
流れが異なること
呪空の流れは3つのパターンがあること
流れを乱すには一定の距離まで近づく
必要があること。
パターンは先程言った4つの場合で大抵
特定出来てしまうこと。
呪空を練れるのは自分の
半径2.4mが平均だということ。
これは捨ててあった図鑑の1ページに
書いてあった。
つまりは、直径4.8mよりも遠いい範囲で
呪空を乱せれば、攻撃は不可。
こちらが一方的にボコせる方向に
持って行ける。
俺は異常な身体能力でそれを可能にする
ことにした。
大体昼頃だろうか、この時、俺は初めて
村の人間を殺した。
いつも学校が終わったあとにわざわざ
いじめに来る5人のガキ共がいた。
拘束され、反撃のできない状況を
利用し、暴力を振るう
そんな卑怯なヤツら
だが拘束を破る事なんて息をするよりも
簡単だ。
それをしなかったのは奴らの脳に
「コイツは何も出来ない小者だ」
と刻むため。
肉体が鍛えられた頃、奴らは来た。
ザッ…ザッ…
多めの足音が聞こえる、奴らだ
「今日も見舞いに来たぞー?」
そう俺の腹に蹴りを一発
「悔しくねぇの?やられっぱなしで」
そう言われた時、心が少し揺れた
この感覚は初めてだった
「まぁ、やられっぱなしなら俺らは
困らないんだけどな!」
リーダー格のガキがそう言うと、笑いが
どっと起こる
先程も言ったが、俺は馬小屋で生活
している。
しかも割と小さめな
「俺がこいつと同じ環境なら本当、
自殺してたわ」
「へへ….そう、だよなぁ…」
5人の中に1人、金魚のフンがいる。
辛うじて4人に縋り付いているような
ヒョロガリ
コイツも必ず殺すと決めていた。
こいつらは中学一年生
物を飛ばす、打撃を与えるといった
ことは可能だった。
もちろん、それは呪攻によってだ。
腹が立つ。
ゴッ!
リーダー各の奴が俺の顎に膝蹴りを
した時、リミッターが外れた。
俺は拘束の元に手を伸ばす
ガキャッ!!
南京錠を片手で握りつぶした
「なんだ今の音」
そう発した奴の顔面を殴り飛ばす。
ゴキャッ!!
尋常じゃないほどの爆音と鈍い音が
辺りに鳴り響く。
そいつは4、5mほど吹き飛び
木製の壁に叩きつけられる。
4人は叫び声を上げながら
呪攻を使い、俺を吹き飛ばそうとした。
「何、なになになにしてんだよ!?」
俺は反応が遅れ、4人分の呪攻の
反撃を受けてしまう。
「ぐっ!?」
俺は両手でガードしたものの、力は
凄まじく。
天井に凄まじい勢いで叩きつけられた。
「…ユード!!」
4人は殴られた奴の元へ向かう。
俺は衝撃で頭がクラクラとしていたが
12年間貯められ、開放された
怒りは留まることを知らず。
ドギュッ!!
天井を踏み台とし、再びやつらと
同じ土俵へと舞い戻った。
そのうち、たった1人
ヒョロガリが反応
「ひぃぃぃ!?」
俺でも分かる。
とてつもない呪空出力
だが
ブォッ!!!
俺は「ある動き」をし、呪空の流れを
辺り一帯乱す。
「えっ」
そう言い終える間もなく、俺は
ヒョロガリの顎を蹴り飛ばす。
ビュッッッッ…
体重が軽いからか、ヒョロガリは5回転し
壁を突き抜けて吹っ飛んでいった。
今のところ、2人が即死の状態
「まぁ…こんなもんかね」
俺は満足したように腕を回す。
残りの3人はただ呪攻を使うだけじゃ
対処出来ないと判断し
呪攻で物を飛ばす選択をした。
だが、それは俺にとって想定している
パターン。
「死ね!!」
「なんでなんだよ!?」
小石やら葉やら棒やらと、色んなものを
高速で飛ばしてくる。
全て鍛え上げられた身体能力で交わし、
奴らの中心に立つ。
「いつの間に─!!」
俺は奴らの足を蹴り回し、全員を転ばせる
1人は転んでいる最中に後頭部を蹴り上げ
殺し、もう1人は着地した瞬間に顔面を
地面ごと殴り潰し、殺した。
残りは一人。
ちょうどリーダー格のガキが残った。
「ごめん!!ごめんんん!?謝るわ!
今までごめんな!?な?」
そのガキは土下座の体制で必死に
謝っていた。だがその謝罪も虚しく。
「これがお前らが自分に与えた物
だってこと、忘れんな。」
ガゴゥッッ!!!!
俺はかかとを奴の頭目掛けて
振り下ろした。
ビチチッ…
肉片と地面が周囲に飛び散った。
俺の足と右手は血塗れになっていた。
不思議と安心感と満足感に満たされ
罪悪感や焦りなんかは一つも感じや
しなかった。
それは誰からも期待されていない
ことによる自由感からか
どうせあいつはろくでもないと
思われているという思い込みによる
どうでも良さからかは分からなかった
けど、どうせどちらもだろう。
俺は5人の死体を集め、観察する。
まずは最初に殴り飛ばした
ユード?だか
顔面は完全に陥没し、それは脳にまで
達しており、ぐちゃぐちゃだ。
そしてヒョロガリ、顔の輪郭がおかしく
目の焦点が合っていない。
もしかしたら生きているかもしれない
まぁ、復活したとしても植物状態か
次に後頭部を蹴ったヤツ。そいつは
目を開きっぱなしにし、口と目から血を
流していた。死んでいる。
そして地面ごと頭を潰したヤツ
コイツはユードと同じだ
最後にリーダー。
そいつの頭は無かった。
以上。
俺は大いに満足し、死体を隠して
眠りについた。
狂っているだろうか
その時から、俺にっての命の価値が
空気よりも軽くなった。
気に入らないやつは裏で殺せばいい
そうすれば何も問題ない。
そう思うようになった。
それからしばらくの時が経ち
15歳の春となった。
その頃、段々と俺の親は異変に気づき
始めた。
村で5人の子供が行方不明となったと
話題になった。
「殺人犯の仕業か」
「神隠しだ」
「誘拐犯が攫った」
という噂がそこら中にたむろした時は
笑った。
そんな大層な人間が起こしたことじゃない
1人の小者が起こした事件なのだ。
しかも、今更
何故今その話が浮き彫りになったかは
分からなかったが、俺に焦点が
当てられることは無かった。
馬鹿な連中だよ、本当に
その日は母親の知り合いが訪問しに来た
俺は聞き耳を立てる。
「ちょっと、お宅の息子さん、ちゃんと
縛ってあるの?」
「ええ、あんなゴミは自分から
動きませんよ。」
母親が言う言葉だろうか
まぁいい、いずれは両親もこの村のカス共
も全員死ぬんだ、それまでは全て
見逃そう。
そして来る15歳のクリスマス
村は賑わっていた。
俺の住む馬小屋以外は
その時はもう体は鋼のように固くなり
俺が使用する「乱呪」の技術も
レベルがカンストし始めていた。
大抵の人間は俺に対して呪攻を使用する
ことは出来なくなっていた。
この村のクリスマスでは村の
中心に大きなクリスマスツリーを
設置し、それを中心に皆で円を作り
踊りを踊るというものだった。
俺はそこでの歴史に残るであろう
大虐殺を決行した。
クリスマスツリーが点灯を始める。
色鮮やかな光のもとで、カス共が
踊り始める。
音楽は上品な物を使っている。
俺はそれまでに武器を一つ
開発していた。
長物の先端に刃が着いたもの
それは呪空の流れを乱すような作りに
なっており、虐殺にもってこいだ。
家族はそのダンスに参加している。
俺は家から武器を持って忍び出た
まずはダンスが終わるまでに全ての
家に侵入し、人間がいるかを確認
いたら殺す。
そしてそれが終わったら本番
カスを集めた環境を利用して
世に思い知らせる。
バババババ….
俺は超速的なスピードで家に次々と侵入
して行った。
その時、ひとつの家の出来事だ。
俺は玄関を蹴破り、侵入する
どうせ皆死ぬのだから、問題は無い。
そこで2階から足音がした
「なんだ?誰だ?」
老人が姿を顕にした。
「お前はっ!クズのガキか!」
「…そんな通り名かよ。」
俺は1階から踏み込み、刃先を老人の
心臓に向けて突撃した。
ドゴッ!!
「ゴブッ!?」
見事に刃は心臓を貫き、さらには
後ろのドアも突き刺している。
「なぜお前はこんなことを…!!」
目を目開いて怒鳴る。
「…」
ドッ!
俺は刃を引き抜き
ザッッ!!
斜めに切り裂く。
「お前らが生み出した化け物だろうが」
俺は唾を吐いて家を出た。
そうして家を全て探索したあと
クリスマスツリーに目を向けた
まだ祭りは終わっていない
俺はあることを思いつく
今日は最高の日だ
今日は妻のディニーとこの村
ガマー村のクリスマスの祭りに来た。
皆自分の踊りを披露して盛り上がって
いる。
その時だ
ザザッ…
クリスマスツリーの飾りの上に
一人の男が飛び移る。
「なんだあれは?」
一人の男性が指摘したのを筆頭に
みんながその男の方を見る。
私はこの村の祭りのクオリティーに
心底驚いた。
「さぁて…」
俺は注目を集めたところで、地面へと
飛び降りた
「うぉお…」
周りがうろついているのを無視し
叫んだ
「皆さん!!この祭りはこれにて終わり
です!!」
そう言うと、周りが先程とは違う
困惑のざわめきを見せる。
俺は長物の武器を振り回し
自分に、開始の合図をした。
………..
…..
…
..
.
サァァァァァ…
俺は赤まみれのボロい服を着て
誰も居ない荒野に突っ立っていた。
終わった
終わったんだ
俺を縛るものは無くなった
「はは…はぁ….ははは…」
俺はため息混じりの笑いをしながら
武器をへし折ってそこら辺に投げる。
俺にとって、生まれてきてから
この瞬間が祭りだったんだ。
だが、終わりだ。終わらせた。
自分で始めた祭りを。
それから数年が経ち今に至る。
たまに夢に出てくる。
どうでもいいと思ったものの、
よく分からないものだ。
後にわかった事だが、俺は村の人口
約2000人を殺していた。
天国には行けないかな
俺は都市をほっつき歩いていた
特に目的はない。
それは夜の事だった
大体2時くらいだろうか
路地裏から声がしたんだ
「ちょっ!?」
「しぃ!黙れ…」
「…?」
俺は通りすがりに覗いた
「なんだ、喧嘩かよ」
俺はただの痴話喧嘩にしか見えなかった
ため、そのまま通り過ぎようとした。
だが、俺の感覚が感じ取った
「異質の違和感」
それと、エロマッチョの言った
「悔しいだろ!?やられっぱなしでなぁ」
という言葉で俺は踏みとどまった
「んだと…?」
俺の顔は歪んだ。
「聞き分けの悪い女だ!!」
そいつは腕を振り上げた
俺はそいつの足を蹴り抜いた
バッ!
「んぁ!?」
マッチョはすっ転んだ
「え…嘘だろ…えっ」
自分がいちばん強いとでも思っていたのか
驚いた顔だ
それは女の方もだった
「つまらん痴話喧嘩だろ?」
俺は吐きかけるように聞く。
「いや…違うんです。」
女が食い気味に答えた。
「…なんなんだよ」
「この人がいきなり…」
俺はふと女の服に目をやった
あることに気づいた
「…エータ新聞か?」
俺は再び聞く
「あ…はい。」
「あ”ー、わぁったよ。」
俺はある記事を思い出した。
その題名は
「エータ新聞 美人多め故の悩みとは」
きっとそれに関連したものだろう
「結局クソなのはテメェか」
「っ違」
バキャッ!
俺はそいつの顔面を蹴った
流石に手加減はしている。
あの頃とは違うのだから
「…」
女が心配そうに男を見つめる
「死んでねぇよ。」
「えっ?…はい」
『…』
気まずい
「…帰る」
「え!?いや!」
「…あ?」
「いや…何も。」
「ちなみに名前はリリー スペードな」
「えっ」
「どうせ聞きたかったんだろ」
「ま、まぁ…」
「それじゃ…」
俺はあの異質な違和感の正体を
掘り下げることにした。
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