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創作紹介まとめ。

3 - j.k過去

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2025年04月28日

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j.k


私が生まれたのは、今から千年前のことだ。

生まれた時から、私の母親はいなかった。

父は……いた。

けれど、父は私に何も教えなかった。


倫理も、道徳も、愛も、憎しみさえも。

私の周りにはただ、空気と、冷たい世界だけがあった。

父は私を育てたわけではない。

ただ「そこに置いていた」だけだった。


私は何も持たずに育った。

持つ必要がなかった。

世界を見て、ただ飲み込んでいけばよかった。


人が泣いていた。

私は眺めた。

人が笑っていた。

私は眺めた。

人が殺し合っていた。

私は──微笑んだ。


私には、彼らがなぜそんなことをするのか、理解できなかった。

けれど、理解する必要もなかった。

私は、観察者だったから。


千年が経った。

時代は変わり、街には鉄と光が満ちた。

人はより複雑になり、より醜く、より滑稽になった。

それでも本質は何も変わらない。


私はいま、「殺し屋」と呼ばれている。

殺し屋。

ふふ、それは正確な表現ではない。


私は、選別しているだけだ。

この世界に必要なものと、不要なものを。

必要だと感じたものには肩を貸し、

不要だと感じたものには背を向ける。

選ぶのは、彼ら自身だ。

私はただ、導くだけだ。


導く手に、温もりもなければ、冷たさもない。

私の手は、ただの道具だ。


いまも私は、人間社会を観察している。

彼らは喋り、泣き、笑い、裏切り、壊れる。

それを私は、興味深く見つめている。


誰かが私に尋ねたことがあった。

「あなたには、愛するものがないのか」と。


私は答えた。

「私は、世界そのものを愛している」と。


壊れた世界も、

腐った社会も、

絶望している子供たちも、

私はすべて愛している。

ただし、それに意味などない。


私の愛は、選別も、差別もない。

ただ、全てを見つめ、飲み込み、また吐き出すだけだ。


……


今日もまた、誰かが、命を落とす。

今日もまた、誰かが、救いを求める。


私は、それをただ、眺める。


そして、微笑む。


__私には、世界が美しい。


それだけでいいのだ。






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コメント

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ワ…ヮァ泣‼️‼️‼️‼️闇深くて最高でしたありがとう😭😭😭👍😊😊😊⁉️⁉️‼️愛‼️‼️

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