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アイスバースとは
アイスと呼ばれる人種がこの世界の中にはいる。
アイスはジュースと結ばれると溶けてなくなってしまう。
ジュースと呼ばれる人種がこの世界の中にはいる。
アイスと結ばれるとアイスが溶けてしまう為罪悪感に悩まされる人も多い。
悲劇の始まりはずっと昔からだった。
会社の帰りに少し酒を飲んだのは覚えている。
だがなんで今ベットの上にいるのかは分からない。
辺りを見渡すとメモ用紙を見つけた。
《おはよう。朝飯は冷蔵庫の中だ。食ってから会社に歩いて行けよ。海より》
あぁ、思い出した。
俺は陸斗。
普通のサラリーマン。
そしてパートナーの海と同居している。
今の時間は6時。
ギリギリ間に合いそうだ。
軽くシャワーを浴びて海の作った飯を食って出社した。
相変わらず会社はクソだ。
だからタヒのうと思ったこともある。
だけど毎回海が止めてくれている。
なんでそこまでして生きていてほしいのかは分からないが。
会社が終わると海が迎えに来てくれる。
いつもは歩くのだが夜は危ないと海が言うのだ。
そこまで心配しなくていいと思うのだが。
まぁいい。
いつも通りのことだ。
ありがとう、そう一言だけ零して車に入った。
車の中では俺たちは無言だ。
本当にパートナーか疑うほどに。
出会った時からこうだったから別に気にしてはないのだが。
というか海は本当に俺のことが好きなのか?
そもそもパートナーって友達みたいなものなのか?
海は最初から愛のないものだったのかもしれない。
それでもまだ同居してくれているのだから海は優しいな。
ピーピー
車がバックしている音が俺の思考を遮った。
もう家に着いたみたいだ。
海はいつも煙草を吸ってから家に上がる。
まるで俺へのストレスを吐き出すように。
もう俺とは居たくないのかもな。
そう思うっても不思議と胸は痛くならなかった。
俺がいつかそうなると思っていたからだろうか。
いや、俺の気持ちなんてどうでもいい。
海がもう耐えきれないと言う前にここを出ていこう。
海が家に上がる前に支度を済ませる。
スマホだけを持って。
俺の金は海がいつか良い人と出会った時用に全て置いて行く。
思い出なんて何も無いと言えば嘘になる。
でも普通のパートナーよりかは少ない。
それでも海と過ごしたあの時間は快適だった。
きっと俺が海の幸せの邪魔になる。
それなら俺は出て行く。
ガチャ。
今海は駐車場に居なかった。
きっと買い物でも行っているのだろう。
運が良かった。
海にバレずに出て行ける。
さようなら、海。
幸せに暮らせよ。
声に出さずに心の中に閉まっておく。
俺なんかが海にさようならなんて言える資格はないから。
俺なんかが海の幸せを願ったって気味が悪いと思われるから。
そんな気味の悪い思いは全て捨てたい。
そう思って俺はある場所に向かった。
歩いて5分くらいのところに残波岬がある。
ここは戦争の時に自決が行われた場所だそうだ。
そんな話とは裏腹に本当に星が綺麗な場所だ。
星をしばらく眺めているとなぜが海がいた。
海は酷く心配した様な表情を見せたがすぐに俺に向けたものではないと分かった。
なぜなら海は俺の上司と話していたからだ。
とても緊急性の高いものなのだろうか。
海が珍しく焦っている。
でももう俺には関係ないことだ。
そう思っていた。
海と話していた上司が俺に向かって走り出した。
しっかりと上司が俺を見つめていた。
まるでワシに見つかった兎のように本能的に俺は逃げていた。
遠くに、遠くに。
捕まったら殴られる、蹴られると思って逃げた。
足場の悪いところが多くなってくるとよく転んだ。
それでも逃げた。
さすがにもう狙われないかと思っても今日は月が出ている。
意外に明るくて周りが見える。
また逃げる。
遠くに、遠くに。
するともう逃げれないところまで進んでいた。
それ以上行くと落ちてしまう。
上司は一度海の元へ走ってまた話していた。
少し経つとと海がこっちと向かっていた。
俺にはもう海の視界に入る資格は無いと思っていた。
だからこうするしか無かったんだ。
これから海の記憶の中に残り続ける最悪な手段を。
選んではいけなかったはずだった。
飛び降りという手段を。
でも記憶の中に残らないのかもしれない。
海はきっと俺のことが嫌いだから。
いっそ海は爽快感を感じたのではないか。
そう思うと心残り無しに落ちていける気がした。
花が咲き乱れるように今までのことがフラッシュバックしてくる。
初めてあった日。
そんなの覚えてないけど体は覚えている。
友達になった日。
友情はあったね。冷めていたけど。
初めてキスをした日。
ほとんどあれは事故だったな。
初めて身体を重ねた日。
そこには愛なんてなかったな。
最後に身体を重ねた日。
海に負担がかからなかったかな。
あぁ、海に伝えてはいけない。
伝える資格すらないのに。
でももうすぐタヒぬから。
お願い、一言だけ。
「好きだよ」
気味が悪いだろうけど海に届いていると良いと思ってしまった。
この気持ちは本当だから。
今回だけは。
この瞬間だけは。
見逃して欲しかった。