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夜中、私たちの街が襲われた。
遅かれ早かれ来る時は来る。
覚悟ができていなかったのは重々承知だった。
重い足で上手く回らず、息をすれば暑い空気で喉が渇いて声が出ない。
生理的に目が涙を溜め、視界はぼやけている
焦げた匂いがツンっと鼻を刺激して眠い脳を無理やり起こしてくる。
『ゴッホゴッホ』
鼻に布を当てて下を向きながら水がある方まで走るのが当たり前。
私はそんな余裕なかった。
川がどの方向にあるのか、布は燃えてなくなった、あちこち火傷している体で一体何処に向かおうとしているのだろうか。
全ての思考を止めるのに苦労はしないだろう。
生きることにこんなにも必死になって
誰でもない自分に縋って
“みっともない”
嗚呼ここで止まってしまえば、
ここで終わってしまえば楽な事ぐらい誰でも分かる
死んでしまった友
もう生きてるかもわからない家族
神風特攻隊に入った愛しき人
私を殺すのには十分だった。
だけど、足は体は、まだ生きたいのか走り続けていた
自分の意思でやる事さえも決められないのならいっその事死んでしまった方が良いのよって
心の私が訴える
足は重くて上手いように動けず、意識が遠のいて行くだけだった。
視界がぼやけてうまく立ってもいられない、
あぁ、こんな時に貴方が来てくれるのかしら。
期待するだけ壊れて行く代償が大きくて貴方に期待が出来ないの。