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片付けが終わり、自室に戻った。
ドアを閉めても、胸の鼓動はまだ落ち着かない。
(……“咲ちゃん”って)
枕に顔を埋めても、頭の中で繰り返される。
子ども扱いされるのが当たり前だったのに、あんなふうに名前を呼ばれるなんて。
「……どうしよう」
声に出した途端、頬が熱くなる。
窓の外に目を向けると、街灯の明かりが揺れていた。
その光に照らされる夜は、いつもと同じはずなのに――。
咲には、もう“昨日までの間柄”に戻れない気がしていた。