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鷹槻れん

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鷹槻れん

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#年の差
水無月 京
84
#大人の恋
月詠 涼
1,024
「やっぱり就職は……母が頼んだんですか?」
「もっと厳しく、生きるための力をつけさせてやらなきゃいけなかったのに、出来なかったと言っていたよ。ただ、君に笑っていてほしくて甘やかしてしまったんだと。いつまでも守ってやれるわけじゃないのに、と後悔しているようだった」
私の瞳から、堪えきれなくなった涙がこぼれた。
お母さんにそんな激動の過去があったなんて知らなかった。
どうしてお母さんは私に何も教えてくれなかったんだろう、と思ったけれど、もしかしたら、言えなかったのかもしれない。
……泣いてしまいそうで。
私には泣き顔なんて見せない人だった。だけどきっと父を思い出すと、母は自然に泣けてしまうのだろう。だから、頑なに父の話を避けてきたのかもしれない。
「君が受付に移動したと聞いて、私は嬉しかったよ。攻と桐子さんの子がここにいるんだと思うと、それだけで幸せな気分になったものだ。しかし、それと時期を同じくして会社のサーバーに不正アクセスが相次ぐようになり、最近では私のもとに、脅迫文まで届くようになった。それで、深山くんに相談したんだ」
話を振られて、深山さんは人のよさそうな笑みを見せた。
「遠田社長からの頼みじゃ断れませんからね。まして、俺の命の恩人の娘にかかわることだというし」
「命の恩人?」
突然のワードに彼のほうを見ると、彼は左眉を指さして言った。
「ここに傷が残っているだろう。これは昔、テロに巻き込まれたときについた傷なんだ。俺の父親は現地の日本領事館で仕事をしていて、攻さんとは顔見知りだった。色々と相談にも乗っていたようだったんだ。当時俺も母も現地に住んでいて、日本人はほぼ領事館の関係者ばかりだったから、毛色の違う彼が物珍しくてさ。彼の後についていこうとしたとき、近くでテロが起こった。銃声が鳴り響き、建物のガラスは一瞬ではじけ飛んだ。その時はじけ飛んだ瓦礫が、目元から頭頂にかけてかすって、出来た傷なんだ。今でこそこんなもんだが、当時は血みどろで髪まで引きちぎれて大変だったんだぞ。俺を庇った攻さんはもっと酷かった。血だらけになって、それでも俺を抱えて逃げてくれた。……おかげで俺は今も生きていられる」
コメント
1件
読み終わりました。第40話、本当に重くて温かい話でしたね。 エミリの母親が「笑っていてほしくて甘やかした」と後悔しているくだり、親の愛情ってこういう形もあるんだなと胸が詰まりました。それと深山さんの左眉の傷のエピソード、父親の攻が血だらけで彼を抱えて逃げたっていうのがもう…。命の恩人の娘のために動くって、この物語の根っこに流れる誠実さを感じます。 設定が丹精に組まれているからこそ、一つ一つの過去の破片が重みを持って響いてくる。続きが待ち遠しいです。