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#片想い
天楽°
97
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#異世界転生
しめさば
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#オリジナル
重田💋(omoda)
931
「何をしてるの?」
私がさっきもらった指輪に、カトルが何かしている。
「光の紋章をいれているんだ」
指輪をみると、さっきまではなかった小さな紋様がはいっていた。
「あとはこれを――」
そういって、カトルは小さな宝石がついた指輪をライトの指輪の上にはめた。
「形式だけだけどね」
形式? なんのことだろう。
「これで終わりだよ」
「これで聖女なの?」
「あぁ、君は聖女だ」
なんだか、とてもあっけない。こんなに簡単になれるものなのかしら。
心配とはよそに、カトルは続ける。
「今日はもう遅い、眠れそうなら眠ろう。続きは明日教えてあげるから」
そういって、手を引いて長い廊下を歩きだした。けれど、私がいま欲しい手の温もりじゃないことに、とても戸惑った。
ーーー
これで、本当に聖女になれたのかしら?
用意してくれたという、私の部屋に戻ってきて、カトルは王様のところに用事があるからと行ってしまった。ベッドに座り、私は二つの指輪をながめる。
ライトに貰った指輪は指にぴったりとはまってキラキラと小さな光をたたえていた。
カトルに貰った指輪は小さな宝石が煌めいていて綺麗だけどサイズに少し余裕があるのかするりと外れてしまう。
そうだ、魔法!
ランプの灯りを落として暗くなった部屋を光らせようと思い、私はライトの言った言葉を思い出す。
明るくなる光をお願い。
「ライト」
そう呟くと、あたりがポゥッと、明るくなった。
すごい、ホントにできるんだ。
明るくなった部屋がまるで自分の部屋のあかりみたいで、また辛くなってしまった。
私、帰れるのかな。
なんだか、急にすごく眠くなってきたので私はそのまま目を閉じ、意識を手放した。
カナがよんだ先ほどの残光がカナに近づいて、それからそっと泡のように消えた。
「同い年の彼氏作れよ。オレなんかに告白してないでさ」
何よ、私が好きになったのは他の誰でもない。タツミなのよ? 同い年になんて興味ありません。失礼しちゃうわ。
「私は、タツミがいいの!!」
小さい頃から大好きだから。やっと勇気をだして告白したのよ?
ーーー
目が覚めても変わらない。知らない部屋。
私は手の甲をつねって痛みを確認する。
「痛いよ……」
夢じゃない。現実であることにか、つねった痛みかわからないけれど、涙がでてきた。
「聖女様、お目覚めですか?」
外から知らない女の人の声がする。
「失礼します。朝のご用意のお手伝いに参りました」
あぁ、昨日のお水を持ってきてくれた人だ。たぶん。
私はされるがまま、着せ替え人形のように手伝いにきたという人たちによって着替えさせられた。
「何、これ……」
動きにくいし、重たい。苦しい。
ドレス自体はとてもキレイで素敵なんだけど。
何も考えたくないのに、これじゃあ余計にいやになりそう。聖女ってこんな格好しないといけないの?
コンコン
ノックの音がする。
「カナ、用意はできたかい? 一緒に朝食をとりにいこう」
カトルの声だ。ここで唯一の知っている人。
だけど、私は帰れないと言いきった人。
あまり信じないようにしようと心に決めて、私は外に出た。
「おはようございます。カトル様」
カトルは目を見張っている。
「あの?」
「あぁ、すまない。とても似合っている。綺麗だよ、カナ」
「ありがとうございます。カトル様」
「カトルでいいよ」
「王子様に失礼では?」
「いや、カナなら、かまわない」
呼び捨てなんて、タツミだけのつもりなのに……。
「よろしくお願いします、カトル」
「あぁ、さあ行こうか」
腕をとられて、エスコートされるけれど私の心は曇ったままだった。
「そうだ、これを」
そういって、契約の場所に行く時に使ったと思う鍵と小さなピンク色の宝石がついたネックレスを渡された。
「なぜ、これを?」
「この鍵はあの部屋に行くための鍵だ。あの場は光の精霊を強く感じることができる。カナの役に立つかもしれないから持っていてくれ」
「はい、わかりました」
じっと、手の上にのせられたネックレスを見ていると、カトルがそっと取り上げて言った。
「つけてあげるよ」
カトルが後ろにまわり留め具をとめるとき、首筋に指が触れる。
なんでこの手がタツミじゃないんだろう。
でも、タツミだったらきっと照れてこんなことはしないか。
「出来たよ」
ピンク色の宝石がきらりと光っている。
「良かった、似合ってる」
「ありがとうございます」
私は無理やり笑顔を作って、笑った。
ーーー
大きな長いテーブル。こんなところでご飯を食べるの?
綺麗な食器の上にはパンや果物、スープ。ピカピカに磨かれたシルバー。きらびやかな食事風景なのだけど……。
席について、私は一口、くちにする。
美味しくない。
タツミと食べたラーメンのほうが何倍も美味しい。
「カナ、口に合うかい?」
カトルに聞かれたので私は笑顔を張り付けて答える。
「はい、美味しいです」
「そうか、何かあれば言ってくれ」
「はい。優しいですね」
「カナの為なら何でもするよ」
カトルの笑顔が、タツミの笑顔とかぶってきちんと見えなかった。
コメント
1件
うわぁ…第7話、すごくもやもやする気持ちが伝わってきました…😢💔 カナの「タツミの手の温もりじゃない」っていう違和感とか、「美味しくない」って思うところ、すごく切ないです。聖女になって魔法も使えるようになったのに、心は曇り空のままなんですね…。 光を灯す魔法が使えるようになった瞬間、逆に「帰りたい」って涙が出ちゃうところ、胸が詰まりました。カトル様は優しいけど、それが逆に辛いんだろうな…。 ピンクの宝石のネックレス、似合ってるのに笑顔が作れないカナの心情が痛いくらい伝わってきました。花月夜れんさんの心理描写、本当に繊細で好きです…🌙🤍