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それでよかった
私達はきっと結ばれていて結ばれていなかったんだと思う
2人ひとつにはならなかったから。
あなたにはあなたの縋るものがあった
「彼女がさ〜」「彼女がね?」
その子に全身全霊で尽くすあなたに
『そう、優しいね』『いいんじゃない』
〝優しい〟私はそう言った
知っていた。
あなたがその子から逃げ出せないことも
逃げ出そうともしていないことも
それをおかしいと笑うことも、拒絶することもしなかった
だって、羨ましかったの
それだけ依存されることがたまらなく羨ましかった
そんな私に彼は安心したように微笑む
私達は友達でも、親友でも、恋人でもない
けれどそれでよかったと思うの
お互い安心できるものがあったから
あなたが今もういなくても
もちろん悲しいと思ったけれどね。
涙も枯れるほど流したわ
それほどあなたに溺れていたのね
でもね
あなたのことを思い出せる私がいる
それで十分
例え「恋人」だとか、言葉で表せなくたってさ
触れられなくたって
それでよかった