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彼奴が好きだ。
だから今日、とびっきりの準備をして、特別な日にする。
👑
もうすぐバレンタイン。
世間がそわそわし始めるこの時期。
俺も例外じゃなくて、朝からずっと落ち着かない。
初めて、“そういう気持ち” でチョコを用意した。
手作りなんて恥ずかしいけど、どうせなら本気で伝えたくて。
👾
バレンタインなんて、正直どうでもよかった。
甘いものは好きだけど、もらえるかどうかなんて気にしたことない。
……でも、今年は違う。
いつも隣にいるあいつが、なんとなくそわそわしてるのが気になる。
俺に関係あるのか? ただの勘違いか?
答えを知りたいけど、怖くて聞けない。
👑👾
放課後。
人の多い校舎の中を抜けて、静かな屋上へ。
いつものように隣に並んで、何気ない話をする。
でも今日は、胸がざわついて、うまく言葉が出てこない。
カバンの中に入れたチョコが、ずっと気になってた。
👑
意を決して、チョコを取り出す。
「……あのさ。」
いつもは自然に話せるのに、今日は妙に緊張する。
「バレンタインだから。……受け取って。」
そう言って、あいつの前に差し出した。
👾
「え、俺?」
思わず聞き返す。
……でも、俺以外に誰がいるんだよって話で。
あいつの耳が少し赤くなってるのを見て、心臓が跳ねる。
そっとチョコを受け取って、包装のリボンをなぞる。
「……ありがとな。」
そう言うのが精一杯だった。
👑👾
沈黙。
でも、気まずくない。
甘い匂いがふわりと漂うこの空間が、心地よかった。
そして、俺もそっと口を開いた。
『 俺も好きだよ。 』
ふたりの言葉が重なって、思わず笑い合う。
渡す側も、受け取る側も、同じ気持ちだったみたいで。
あぁ、バレンタインって、悪くないな。