朝
俺は今日の早朝昨日のリーダー格に呼ばれていた。
言われた場所は人気のない校舎裏。
朝は誰も通らないであろう場所だ。
蓮「もしかしていじめられるのか?」
そう思いながらも行くしかなく目的地に向かった。
恐る恐る校舎裏に近づくと目を疑った。
そこに居たのはリーダー格を含めた男女5人と手足を縛られた日向の姿だった。
日向は5人に蹴られたり殴られたりと暴力を受けている。
俺はそれを校舎の端っこから顔を覗かせていた。
日向の悲鳴に口を歪めていると、日向と目が合った。
日向はこちらを必死に向いていた。
助けてと懇願していた。
救いを求めていた。
俺は助けたかった。
だけど無理だった。
あそこに入れば俺もボコボコにされる。
しかも入ればこれから余計いじめられるだろう。
でも行かなければ唯一の希望である俺に裏切られて、日向は……
そう考えると余計俺の頭を悩ませた。
俺はもういじめられたくなかった。
2対5は明らか無理だ。
日向もそれを分かってくれるだろう。
自分に必死に言い聞かせ、俺はその場を離れた。
昼休み
俺はいつも通り屋上に来ていたが日向にまず謝ろう。
そう思っていた。
ドアを開けるとそこにはフェンスの奥に下を眺めた日向の姿だった。
蓮「日向!」
俺は咄嗟に近づいた。
あの時の光景に似ていた。
蓮「日向、本当にごめん。あの時の約束さえ俺は守れなかった。」
そういうと日向はこっちを向いた。
光のない目を俺の目に合わせて。
日「こんなにも酷い人生だなんて……神様なんているわけないよね。」
酷く傷跡の残る顔を笑わせてそうつぶやいた。
俺はそれに反応することができなかった。
日「なんかあの日と似てるね。私は裏切られた。親友からも先生からも両親からも、そしてあなたからも。私の信じたもの全てに、裏切られた。」
俺は顔を歪ませた。
蓮「本当に申し訳ない。だけど頼む、こっちに戻ってきてくれよ。頼むよ」
俺は泣きながら懇願する。
日「今回のは蓮のせいでないことも分かるし、私がこんなんだからってことも分かってる。でも、もうこれ以上生きたくないんだ!」
日向の心からの悲痛な叫び。
日「あなたは私を救ってくれた。それと共に私を裏切った。」
日向が俺の目を見て話す。
蓮「本当に、やめてくれよ……俺はあの日から楽しかったんだ。だけど、自分の保全を優先した馬鹿だ。こんな馬鹿にお前がいなきゃ俺は…!」
そう俺は嘆くも日向の意思は硬かった。
日向はフェンスから手を離した。
日「本当にごめんね。ありがとう」
日向は俺にそう言うと体を宙に投げ出しそのまま……
蓮「ああああああああぁぁぁ!!!」
俺はその瞬間叫んだ。
人1人の人間さえ守れなかった。
俺は短い間の日向と過ごした日々がたまらなく楽しかった。
このまま続くんだろう。
そう思っていた。
しかし違かった。
あれはただの想像だった。
自分で夢を作り自分で壊した。
ただそれだけの事。
俺はその場で泣き崩れ叫び続けた。