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「駐車場からキジみたいな声がする。」仕事帰りにそういうのは青島令子(あおじまれいこ)の夫、青島海史(あおじまかいじ)は令子に言った。この二人は「保護犬保護猫物語 無愛想なちびねこ」に出てきます。そちらもぜひご覧ください。
令子が外へ出て、敷地内の駐車場へ行くとギャーギャーというような声が聞こえてきた。「え?…もしかして、この大きい声?」「うん。」驚いて辺りを探すと海史のグレーの車の横に見たことない子猫がいた。白茶猫で、枯れた声で無き続けていた。目はかき混ぜられたようにぐちゃぐちゃ。ゆっくり手を伸ばすと逃げて裏庭に周ったりして逃げた。そしてなんとか捕獲成功。獣医へ行くと猫風邪、脱水、栄養失調、ノミダニがいて保護して治療しないと危うかったという。
家にはもう先住猫のうねがいるので里親募集をしようとしたが、海史が、「その必要はないよ」と言った。「え?どうして?」「名前は『ねね』。」「ねね?」「そうだ。新しく家族に迎えようじゃないか。」思いがけない家族宣言でした。「いいわよ。でもなんで?どうしたの?」「だ、だって‥なんでって‥あ、あんな小さな体で必死に鳴き続けて逃げて。そんな姿を見たらさ、もう…」「そっか」令子は少し笑いをこらえながら頷いた。
ワクチン接種も終わり、ノミダニ駆除も終わるといよいよ先住猫、うねとご対面です。
うねもねねも驚いていた。しかし、うねは後ろからゆっくり近づき、ふんふんとさりげなく嗅いだのち、そろりと立ち去った。その様子にねねも落ち着いたのだろう。うねとねねはどんどん仲良しになっていった。
添い寝もするようになり、うねはねねの先生になりました。
そしてうねと同じく、ねねも大きくなると海史にはあまり懐かなくなりました。義姉妹でも似るもんです。
二匹は夫妻に見守られながら暮らしています。