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「…カゲツ、」
『…はは、何? ライ』
昔、宝石のように輝いていた瞳は今は濁っていて、こちらまでその闇に飲み込まれそうになる。
「…、ソレ…なに?」
自分の声が震えているのが分かる。
『なにって…◯◯さん?やったっけ、?ライのクラスにおった子』
やっぱり…そう思った、長くまっすぐとした黒髪に丸い黒縁メガネが足元に落ちていたから
それがなかったらただの肉塊…人かなんてわからなかった。
「…なんで殺したの?」
『なんで?なんでって言うた???』
カゲツの瞳孔が開く
『、なんでやと思う?』
「そ、れは…」
心当たりがある。カゲツが◯◯さんを殺した動機を俺は知っている。
鼻の奥にツンっと血の匂いが染みた。思わず嗚咽が出てしまう。涙で視界がぼやける。
『泣かんでよ、ライ…ぼく……頑張ったんよ?ライのために、』
「……ッ」
涙が溢れ出して止まらない。
◯◯さんは簡潔に言うと、俺のストーカーだった。
勝手に彼女と言いふらしたり、尾行して家を特定してこようとしてきた。髪の毛を送りつけられたり、何が入っているか分からない食べ物を押し付けられた。
だから、俺はカゲツに泣き言を言ってしまったのだ。
「辛い」「怖い」「やめて欲しい」「疲れた」って、…だからカゲツは俺のために〇〇さんを殺した。
『なんで泣くん?コイツもう死んでんで??』
『なんで、褒めてくれんの??…、ぼくのこと、嫌いになった?』
「ち、ちがぅ…ごめ、ん 、、、カゲツ」
『なぁ、ライ…ぼく、ライしか知らん、ライ以外の人間なんて、分からん』
「ぅん…知ってる、」
『でも、ライがぼくのこと邪魔で仕方ないなら、ぼく…』
「邪魔じゃないよ、ありがとう…カゲツ」
「ごめんね、ごめん…」
『ぼく、まだライにとって必要?』
「うん、必要…」
その言葉にカゲツは嬉しそうに目を細め、肉塊になった俺のクラスメイトを道端に捨てて、こちらへ駆け寄ってくる。
そしてぎゅっと抱きついてきた。
あぁ、俺はカゲツが人を殺そうと、誰かを陥れようと、きっと離れられない。
俺は、家族が欲しかった。俺のためだけに生きてくれる家族が、俺に依存してくれる人が…
カゲツは空から落ちてきた。
背中には白くて綺麗な羽が生えていて、多分天使だったんだと思う。
俺はその羽を折った。元々片方折れていて、カゲツが気絶しているうちに折ったのだ。
そして、一度折れた羽は元には戻らないらしい…片方残っていれば別だったが、
だから、俺はカゲツに俺の弟になるように提案した。カゲツは純粋で優しかった。
今日、カゲツが俺のためを思って人を殺してくれた。嬉しさのあまり、涙が溢れた。やっと手に入れた俺の家族。やっと完成したんだって、
昔みたいに光はないけれど、それでも嬉しかったしカゲツは充分綺麗だ。
このまま、ずっと二人だけの世界で生きて行く。永遠に、この生が終わるまで、
「大好きだよカゲツ」
「俺の大切な、大切な、世界でたった一人の弟」
『、僕もライのこと大好きだよ』
伊波ライ:狂人。自分を理解してくれない自分の愛を受け入れてくれない家族を皆殺しにした。
空から落ちてきた天使、カゲツをたまたま見つけて、手に入れたくなったので、折れていない方の羽を折ったと記憶を改竄している。
本当は、カゲツの容姿に一目惚れして、弟にするために、カゲツの家族を皆殺しにして家に連れ帰った。
監禁して、カゲツを洗脳した。
カゲツが洗脳しきれていないのは分かっているので、それも含めて楽しんでいる。
いつか必ずカゲツを兄しか愛せない弟にする。
叢雲カゲツ:一般人。ある日突然、街ですれ違っただけのはずのライに家族を皆殺しにされた。
家に監禁されて、今は洗脳されたフリをして逃げ出せる隙を探している。
ライを少しでも喜ばせて、洗脳がうまくいったと、もう一人にしても大丈夫だと油断させるために〇〇さんを殺した。もう、人を殺す罪悪感なんてなくなってしまっていた。大切な家族を殺したライを心の底から憎んでいる。ただ、精神は擦り切れているので、かなり限界ではある。