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雨音が署内に響き渡る。
次第にそれは強くなっていき、予報通りの豪雨と化した。
エントランスのソファから外を見ていたが、夕方のはずなのにまるで夜中のように暗くなってるのが伺えた。
正直雨が降るのはどうでもいい。ただ一つ問題があった。
pin「雷だけはやめてくれ…….」
昔からどうも雷だけは駄目なのだ。
雷の音を聞くと動悸が止まらなくなり、過呼吸になってしまう。
過呼吸は苦しい。辛い。なりたくない。
なにより、情けない姿を後輩達に見られたくない。心配をかけたくない。
だからチル場ではなく、エントランスに来た訳だ。
今日は警察が俺含め四人しかいないから、大型は起こらない。正直安心だ。
pin「あ、無くなっちゃった……」
気を紛らわすために食べていた川上かみレモンが無くなってしまった。
pin「取り行くか…….」
自分の車から取るためにソファを立ち上がる。
すると、
ドゴォン!!
怒号のような音が鳴り響く。
途端に膝から力が抜け、崩れ落ちてしまう。
呼吸が浅くなる。息があがる。
自分の鼓動が早くなっていくのを感じる。
苦しい。
自分の心臓の音しか聞こえない。
誰か、助けて…
・・・
ebs「勝ったー!」
rsn「負けたー」
今日は雨なので、室内でテーザー銃勝負をしている。丁度俺が勝ったところだ。
ドゴォン!!
sb「雷すごいねぇ」
rsn「ちょっとだけ外で散歩しません?」
レッサンがにやついた顔で言う。
sb「危なくなぁい?」
ebs「ちょっとくらいいいんじゃない?」
rsn「ぺいん先輩も誘いましょ!」
ebs「いいね!」
エントランスへ続く扉をガチャリと開けると、床に手をつきうずくまるおごせんがいた。
ebs「おごせん…..?どうしたんです…..」
「!!おごせん!?」
おごせんは、震えて過呼吸になっている。
発汗がすごい……
sb「ぺんぱい!?」
rsn「ぺいん先輩!?」
遅れてやってきた二人が驚く。
rsn「どうしたの!?」
ebs「わかんない、けど過呼吸がすごいから、落ち着かせなきゃ!」
sb「わかった!」
返事をすると、さぶちゃんがおごせんの背中をさする。
レッサンは声掛けをし始めた。俺も同じように声掛けをする。
pin「う、っご…….めんっほんと、にごめんっ、」
過呼吸が落ち着いてきたと思ったら、おごせんは俺達に謝ってきた。
ebs「…….おごせんは、これで俺らが怒る奴だと思ってるんですか?」
・・・
pin「…….へ、いや、そうじゃなくて、」
目からうろこだった。
ここにいる3人がこれで怒るわけない。
rsn「じゃあ、言うことは一つですよね?」
sb「そうだよ!」
pin「…….えっと、これからは、もっと頼るようにします……。」
ebs「それが正解ですよ!」
sb「ぺいんさん、なんでこんな風になったか聞いてもいい?」
そう言われて、思わず息を飲む。
pin「えっ..と、俺、雷が駄目で、……」
rsn、sb、ebs「え」
三人とも目を見開いて固まる。
pin「な、情けないよn」
sb「じゃあなんでこんな日に一人でいるのー!!!」
ebs「一人でいちゃ駄目ーー!!」
rsn「そうですよー!!」
三人が言いながら突っ込んでくる。
pin「うおっ!!」
rsn「もう今日はずっといっしょにいますからね!」
ebs「絶対離さないから、!」
sb「ずっとぎゅっとしてるからね!」
みんな俺に抱き着いてくる。
俺の後輩達は、温かい。
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end
あとがき
前回の「束の間のチル」♡128も押してくれて、ありがとうございます!
こんなに♡を押されたのは初めてで、めちゃくちゃ嬉しいです!
これからも精進していきます!