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「ちょっと待って!落とし物が…。」
「うるせぇ!!俺としばらく関わんなコノヤロー!!」
『パラオ』はデストロイヤー落とし物を届けるため森の中を駆け抜ける彼を追いかけていた。デストロイヤーの足は速く、パラオでは追いつけることができなかった。
しかし、彼らがいる場所は森である。『パラオ』にとって遊び場であったこの森は、足の速さなど関係ない。
木の上を身軽に移動していく『パラオ』は木の枝や葉に足が絡まれたデストロイヤーを追い越し、『パラオ』は木からぶら下がりデストロイヤーの前に現れた。
「はぁはぁ…なんでお前は目の前で木にぶら下がってんだよコノヤロー!!もう追いかけてくんなコノヤロー!!」
「はぁ、はぁ…ち、ちょっとまって…!落とし物してるから…!」
『パラオ』はデストロイヤーが落とした家族写真を彼に見せた途端、デストロイヤーは一瞬だけ悲しい顔をした。だがすぐに眉間に皺を寄せ怒鳴った。
「返せ…これは俺のモンだコノヤロー!!」
そう言ってすぐ写真を奪ってしまい、彼は遠くへ走り去ってしまった。
『パラオ』は木にぶら下がったまま考えていた。何故デストロイヤーは悲しい顔をしたのか、疑問だった。
「写真の人達と、会えていないのかなぁ…。」
そう考えながら、木から降りて森を抜け出そうと海へ向かった。
帰った頃にはあの交流会は終わっていたようで、日本軍人達は船に乗る準備をしていた。その中にはデストロイヤーの姿もある。
『パラオ』はデストロイヤーに何も言えないままお別れをしてしまうのではと思った。家族に会えない寂しさがわかるからこそ、せめて何か言葉をかけたい。何か、何か…。
『パラオ』は必死に言葉を探していた。