恋人の誕生日。昼間にみんなで祝った後は、ふたりで帰って、彼の家に泊まることになった。用意していたプレゼントも渡したし、後はこれからする行為で愛を確かめ合えば計画通り。最高の誕生日にしてあげられると思った。つまり端的に言えば、気分がよかった。だから、誕生日だってこともあるし、ちょっとくらい提案に乗ってやってもいいと思った。
「今日はさ、俺の言う通りにしてよ。セラさん」
「…別に、いいけど」
妖艶な瞳が細くなった
ーーー
返事をしたところで、すぐに唇を塞がれた。いつもより激しいそれにうろたえていると、セラさんからもしてよ、なんてお願いされて、聞かないわけにはいかなかった。それにいっぱいいっぱいになっていると、スウェットのなかに入ってきた冷たい手が胸の突起を掠めてきて驚いて、思わず唇を離す。
「なんでやめちゃうの?」
「っは、あ、そんな、とこ…っさわられ、てたらっんぅ、あ、しゅうちゅう、できないのっ」
「あは、セラさん乳首触られるの大好きだもんね」
「…べ、つに、ぁあ、っそん、な、あ、んじゃ、ないけどぉ」
「嘘つき。今日は素直になってよ。お願い」
素直になる、とか、俺だってなりたい。お願いされて簡単にできるなら、いつもそうしている。けれどもそれは、この難儀な性格が許さない。と、言うのは彼も良くわかっていたらしい。お願いを即座に変えられた。
「あー、ごめん。えっとね。そうだなぁ…あ、セラさん乳首気持ちいいって言ってよ」
「は…?」
「あのね、セラさんの思ってること言ってってことじゃなくて。俺に言われたこと復唱するだけ。ね、これならセラさんもできるでしょ?」
「…っでも」
それでも、恥ずかしいことに変わりはない。でも、でも。
「ほら、言って?ほら、セラさん、乳首気持ちいい、だよ?」
言え、言わなきゃ。今日は誕生日だから、小柳の言うこと、聞くって約束があるから。言うだけ、声に出すだけ。
「…あ、あ、ぅう…っち、くび…んぅ、はっ、き、もちぃっ」
「ふふ、よく言えたじゃん♪」
ご褒美と言わんばかりに頭を撫でられて、気恥ずかしさが増した。
「…こどもあつかいっ、はぁ、あ、し、ないでよ、ねぇ」
「なんで?だってセラさんよりは年上だよ、俺」
そう。こいつはこう見えて俺より何百歳も年上。だからこいつの言っていることは事実、なんだけど、雲雀には後輩面して俺にはしないっていうのがむかつく、とまた、いいことを思いついたという顔でお願いをしてくる。
「そうだ。セラさん、今日は俺のこと、お兄ちゃんって呼んでよ」
「はぁ?…っや、なんだ、けどっんぅあああぁ」
拒否したところで、今まで撫でていただけのそこをぐりっとつままれた。急な痛みと快楽に、やめてほしいと懇願する。
「っこ、や、なぁあぎぃっそれ、や、やだぁあっ」
「セラさん、小柳じゃなくて、お兄ちゃん」
有無を言わせない瞳。言うまでやめないという意思表示。
「…ばかぁっふぅう、ん、うぅ、もっやぁ、お、にいちゃっ、おにいちゃんっ」
「…は、やば…思ったよりいいかもっ」
またご褒美というように、今度はそこを労わるように数回撫でると、小柳の手は俺の体から離れていった。
「セラさん、服脱いで」
「んぅ、う、ん…?」
快楽で緩くなりはじめた頭をゆっくり動かして、言葉を理解する。
「はやく」
「…ふく、ぬぐ…?」
「うん、そう。ぜーんぶ脱いで、お兄ちゃんにセラフの全部見せてよ」
「…っ」
さっき自分が口走ったことを思い出して急に恥ずかしくなった。でも、恥ずかしがっている姿を見せるなんて、こいつの思惑通りって感じがして悔しいから、努めて冷静に、なんにも思ってない風を装って服を脱いでいく。
「セラさんかわいい~」
「…どこが」
「表情だけ繕ってもさ、顔も乳首も真っ赤だよ」
「…っほんと、うざぁい…」
悔しい、恥ずかしい。でも、まだこんなものじゃなかった。
「そういやセラさん、セラさんってオナニーするとき後ろいじってるよな?」
「なんで知ってっ…あ、」
「あ、やっぱりそうなんだ。」
我ながら、こんな安っぽい手に引っかかるなんて信じられない。
「じゃあさ、今日は後ろ、自分で慣らしてみてよ」
「え…なんで…」
小柳がいるのに、自分でやらなきゃいけないの?いつもひとりでするときは、小柳のじゃなくて、上手くできなくて、もどかしいのに。小柳がいるときは、ちゃんと触ってほしいのに。だけど、そんなことまでは言葉にできなかった。
「いいでしょ。お願い、セラさん」
コメント
4件
めちゃくちゃ好きです、、、;;
最高かよ最高かよ最高かよ最高だよ。オタクさんこないだ先生と生徒で書いて欲しいとか言ってたから書きましたよ、プレゼントです