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#すのあべ
「及第点、かな。強請るんならもっと可愛く強請れよ」
色気が足りないと切り捨てられ、頬がカッと熱くなる。 そんなことを言われたって、仕方がないじゃないか。こんな恥辱にまみれた台詞を、公衆の面前で堂々と言えるはずがない。
いくら人通りが少ない時間帯とはいえ、皆無というわけではないのだ。もし誰かに聞かれてしまったら……。そう考えるだけで、羞恥で頭がどうにかなりそうだった。
文句の一つでも言ってやろうと口を開きかけた瞬間、強引に顎を掴まれ、唇を塞がれた。 驚いて避ける暇もなかった。咄嗟に寄せてくる身体を押し返そうとしたが、裏腹に指先一つ動いてはくれない。 自分に何が起きているのか分からぬまま、理人はただ呆然とその熱を受け入れた。
「んっ……ん、……っ」
唇に、柔らかく濡れた感触。熱い舌先が、閉じたそこをこじ開けるように入り込んでくる。 歯列をなぞり、上顎を執拗に舐め上げられると、身体の芯を雷に打たれたような衝撃が走り、得体の知れない熱いものが込み上げてきた。
「ぅ、ン……っ」
蠢く舌から逃げるように奥へと引けば、追うように深く絡みつかれ、逃げ場を奪って吸い上げられる。 呼吸すら奪われる激しい口付けに、全身の力が抜けていく。情けないことに膝がガクガクと震えだし、蓮の腕に縋りついていなければ、その場に崩れ落ちてしまいそうだった。
「……ぁ、ふ……っ」
理人の変化を敏感に感じ取ったのだろう。蓮は満足そうに口元を歪めると、煽るようにぐるりと口内を蹂躙した。
(この男、なんてキスを……)
それは、まるで慈しむような、それでいてすべてを奪い去るような――恋人同士が交わすそれと、何ら変わりなかった。 息継ぎの間すら惜しむほどの深いくちづけ。苦しいはずなのに、思考は白く霧がかり、もっと欲しいと無意識に蓮の舌を追いかけてしまう。
だが、不意に唇は解かれ、名残を惜しむように銀色の糸が二人の間を繋いだ。
「は……ぁ……っ、は……」
力尽きた腰を抱き寄せられ、理人はくったりと蓮の胸に預けられる形になる。
「ず、ずるいぞ……こんなの……っ」
キスだけで腰砕けにされた自分が惨めで、掠れた声で文句を絞り出す。蓮は勝ち誇ったように口角を上げると、憎たらしいほど慈愛に満ちた手つきで理人の頭を撫でた。
扇情的な余韻のせいで、下半身は痛いほどに張り詰めている。 その時、ポツリと天から雫が落ち、理人の頬を濡らした。見上げれば、空からは大粒の水滴が次々と降り注いでくる。 それは瞬く間に勢いを増し、ザーザーと激しい音を立ててアスファルトを叩きつけた。
「夕立か。行くぞ」
「ちょっ、止むまでここにいた方が……っ」
「……そんなに待てない」
「な――ッ!」
抗議する間もなく、理人は腕を掴まれ走り出した。 雨は激しさを増し、二人の体温を奪っていく。蓮は理人の手を引いて、すぐ裏手にあったラブホテルのエントランスへと滑り込んだ。
震える指先で適当な部屋を選び、中に入った瞬間――理人はベッドへと突き飛ばされた。
スプリングの反動で沈み込んだ理人の上に、有無を言わさぬ重圧で蓮が覆い被さってくる。
「お、おい……っ! いきなり……っ」
「なんだよ」
「な、なんだよじゃないだろ! せめてシャワーくらい……っ」
「そんなの待てないって言っただろ」
「は、そんな――っん、ぅ」
反論は再び、深い接吻の中に飲み込まれた。 唇を塞がれたまま押し倒され、濡れた服の隙間から、蓮の熱い手が容赦なく侵入してきた。
「ま、て……っ」
「待たないって言ってるだろ」
慌てて蓮の胸板を押し返そうとするが、岩のようにびくともしない。雨を吸って肌に張り付いたシャツを捲り上げられ、剥き出しの素肌に冷たい空気が触れた瞬間、理人の身体は小さく跳ねた。
腹筋の溝をなぞり、脇腹を這い上がってきた指先が、わずかに胸の突起を掠める。それだけで、理人の乳首は痛いほどに硬く尖りだした。 蓮はそれを見逃さず、愉悦に満ちた笑みを浮かべると、ピンと勃ち上がったそこを容赦なく指先で摘まみ上げた。
「っ、んんッ……!!」
電流が走ったような衝撃に、叫びそうになるのを自らの手の甲を噛んで必死に堪える。 蓮は羽のような繊細なタッチでそこを弄びながら、理人の肩口に顔を埋め、剥き出しの首筋に濡れた舌を這わせてきた。
「んっ……は、ぁ……っ」
指先で弄られるよりも強烈な快感に、理人の口から甘い吐息が溢れ出す。抵抗する力が目に見えて削がれた隙に、ズボンを下着ごと強引に引き摺り下ろされ、露わになった熱い核心を蓮の掌が包み込んだ。
「ぁ……っ、あ……」
「すげぇな。もう、先走りでドロドロじゃん」
「うる、さい……っ」
慌てて隠そうとするが、蓮がそれを許すはずもない。細い手首をがっしりと掴まれ、自由を奪われる。蓮は理人のうなじを、痕が残る寸前の強さで激しく吸い上げると、今度は舌先を尖らせて耳たぶを執拗に食んできた。
「ふあ……っ、耳、や……めっ、あ……っ」
ちゅくちゅくと鼓膜に直接響く水音は、脳を直接犯されているようでたまらない。身体の芯から力が抜けていくのを見計らったかのように、蓮のぬるりとした舌が耳の穴へと侵入し、理人の背筋に激しい震えが走った。
「ひゃっ……っ、あ……っ、んん……っ」
そのまま耳全体を湿った熱で覆われ、ぞくぞくと甘い痺れが全身を支配していく。
「れん……っ、もう、それ……や……だ、ぁっ」
「嫌じゃなくて『イイ』の間違いだろ? 物欲しそうに腰を揺らして、俺の手に自分から擦りつけて……。本当、いやらしいな、お前」
耳元で低く囁かれ、理人は羞恥で発狂しそうになった。だが、どれほど否定したくても、快楽を求めて浅ましく動いてしまう腰を止められない。
「っ……、ん……っ、はぁ……」
蓮の言う通りだ。早く欲しい。もっとめちゃくちゃに掻き乱してほしい。もっと、もっと気持ちよくなりたい――。
蓮の手がくちゅくちゅと音を立てて自身を扱き上げ、その熱い唇が胸元へと降りてくる。そして、待ち兼ねたように敏感な突起を深く吸い上げた。
「っ、や、ぁあっ! それ、やだ……ぁっ!」
「素直になれよ。ここ、舐められるの……本当は大好きだろ?」
「んんっ……っ、あ……っ」
丹念に、チロチロと舌先で先端を追い詰められると、身体の奥底が疼いてどうしようもなかった。
「っ、も……っ、だめ、だから……っ」
「何が駄目なんだよ」
蓮の声色にわずかな苛立ちが滲み、それが理人の興奮をさらに煽る。
「嫌なんだ……俺ばかり、こんな風にされるの……っ。だから、早く……っ、ここに、ぶち込んでくれよ……っ!」
理人は蓮の股間を自らの膝頭で突き上げるように押し上げ、自らの手で震える後孔を割り開いて見せた。ごくりと、蓮の喉が鳴る音が聞こえる。
「っ、おま……っ、マジか……」
「お前も、余裕なくなるくらい……乱れろよ……。悔しいだろ、俺ばかり……っ、あ……っ!んん……ッ!」
すべてを言い終えることはできなかった。 猛獣のような荒々しい接吻に口を塞がれ、腰を強引に持ち上げられる。耐えかねたように覆い被さってきた蓮によって、理人の腿は大きく、無様に開かされた。 期待にヒクついた入り口に、凶暴なまでに熱り立った塊が、ずしりとした重みを持ってあてがわれる。